2026年(令和8年)7月1日、国税庁から令和8年分の路線価が公表されました。
この記事では、名古屋市16区の主要地点の路線価を一覧にまとめ、区ごとの水準と上昇率を比較しています。
あわせて、国土交通省「不動産情報ライブラリ」のデータから16区の中古戸建て相場も独自に集計しています。
土地の評価と実際の住宅価格を並べて、名古屋市内のエリアごとの特徴を見ていきましょう。
※路線価は令和8年1月1日時点、中古戸建て相場は2025年4月〜2026年3月の取引データを集計しています。
【令和8年】名古屋市16区の路線価一覧と読み取れる傾向
名古屋市16区の路線価一覧表
令和8年分の路線価を、名古屋市16区ごとに一覧にまとめました。
各区の「区内最高地点の路線価」と、区内の調査地点のうち「最も上昇率が大きかった地点の上昇率」を掲載しています。
| 区内最高地点 | 路線価(円/㎡) | 区内最大上昇率 | |
| 中村区 | 名駅4-7-1(ミッドランドスクエア)付近 | 11,360,000 | +2.9% |
| 中区 | 栄3-5-1(栄交差点)付近 | 9,310,000 | +5.4% |
| 西区 | 牛島町5-6(名古屋ルーセントタワー)付近 | 3,700,000 | +6.6% |
| 東区 | 東桜1-11(名鉄瀬戸線 栄町駅)付近 | 3,400,000 | +5.7% |
| 熱田区 | 金山町1-7-8(金山新橋南交差点)付近 | 2,500,000 | +10.9% |
| 千種区 | 今池4-9(地下鉄桜通線 今池駅)付近 | 1,200,000 | +11.5% |
| 昭和区 | 阿由知通3-23(地下鉄鶴舞線 御器所駅)付近 | 560,000 | +9.8% |
| 名東区 | 藤が丘141(リニモ 藤が丘駅)付近 | 540,000 | +4.3% |
| 北区 | 大曽根3-14-31(名鉄大曽根駅前通り)付近 | 520,000 | +5.9% |
| 瑞穂区 | 桜山町5-103(地下鉄桜通線 桜山駅)付近 | 460,000 | +8.3% |
| 天白区 | 八事天道313(地下鉄名城線 八事駅)付近 | 380,000 | +5.8% |
| 中川区 | 松重町4-1(岩井橋東交差点)付近 | 320,000 | +8.5% |
| 南区 | 駈上1-11-29(市バス 新郊通1丁目停留所)付近 | 290,000 | +6.9% |
| 緑区 | 乗鞍2-223(地下鉄桜通線 徳重駅)付近 | 195,000 | +7.4% |
| 港区 | 東海通4-22-1(地下鉄名港線 東海通駅)付近 | 190,000 | +5.6% |
| 守山区 | 小幡中1-29(名鉄瀬戸線 小幡駅)付近 | 175,000 | +4.2% |
※各区の主要な路線から10地点を抽出して集計しています。国税局が公表する「税務署管内の最高路線価」とは地点が異なる場合があります。
※「区内最大上昇率」は、区内最高地点とは別の地点の数値である場合があります。
※出典:国税庁「令和8年分 財産評価基準書(路線価図)」をもとに編集部作成
各区の上位10地点の詳細は、記事末尾の区別ランキング記事で確認できます。
そもそも路線価とは?公示地価・固定資産税路線価との違い
路線価とは、道路に面する標準的な宅地1平方メートルあたりの評価額のことです。
国税庁が毎年1月1日時点の価格を定め、7月に公表しています。
主に相続税や贈与税を計算する際の土地評価の基準として使われる価格で、地価公示価格などの80%程度を目安に設定されるのが特徴です。
土地の価格を示す指標には、路線価のほかにも次のようなものがあります。
| 指標 | 決定機関 | 価格時点 | 主な用途 |
| 路線価 | 国税庁 | 1月1日 | 相続税・贈与税の土地評価 |
| 公示地価 | 国土交通省(土地鑑定委員会) | 1月1日 | 一般の土地取引の指標 |
| 基準地価 | 都道府県 | 7月1日 | 一般の土地取引の指標(公示地価を補完) |
| 固定資産税路線価 | 市町村 | 評価替えの基準日 | 固定資産税・都市計画税の計算 |
いずれの指標も実際の売買価格そのものではなく、あくまで評価や取引の目安となる価格です。
なお同じ「路線価」という名前でも、当記事で扱う「路線価」と固定資産税の計算に用いられる「固定資産税路線価」は異なる指標である点に注意しましょう。
路線価からわかること①都心3エリアの水準が突出
路線価の水準は、名駅・栄・金山の3エリアを抱える区が大きく上回っています。
最も高いのは中村区のミッドランドスクエア付近で、1平方メートルあたり1,136万円でした。
中村区ではほかにも大名古屋ビルヂング付近が1,071万円となり、1,000万円を超える地点が2つあります。
また中区の栄交差点付近が931万円で続き、名駅に隣接する西区、栄に近い東区も300万円台となりました。
熱田区は金山駅周辺の地点が上位に入り、250万円に達しています。
一方、郊外の守山区・港区・緑区では、区内最高地点でも10万円台にとどまりました。
最も高い中村区と最も低い守山区の差は約65倍にのぼり、同じ名古屋市内でも土地の評価に大きな開きがあることがわかります。
路線価からわかること②上昇率は都心周辺の拠点が上位
上昇率に目を向けると、水準の高さとは異なる傾向が見えてきます。
区内最大上昇率が最も大きかったのは千種区の池下駅付近で+11.5%、次いで熱田区の神宮前駅付近が+10.9%、昭和区の御器所駅付近が+9.8%でした。
中川区(+8.5%)や瑞穂区(+8.3%)も上位に並び、都心に近い駅周辺の拠点で伸びが目立ちます。
反対に、路線価が最も高い中村区の区内最大上昇率は+2.9%で、16区の中では最も小さい結果です。
すでに価格水準が高い名駅周辺よりも、その周辺エリアの方が伸び率が大きい傾向にあるといえるでしょう。
なお、今回集計した16区160地点において、前年から路線価が下がった地点は1つもありませんでした。
一部に横ばいの地点はあるものの、名古屋市全体として上昇基調が続いている様子がうかがえます。
名古屋市16区の中古戸建て相場一覧と読み取れる傾向
16区の中古戸建て取引価格一覧表
以下の表は国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引データから、名古屋市16区の中古戸建ての取引価格を集計したものです。
価格は極端な高額・低額の取引に左右されにくい中央値を基準として高い順に並べています。
| 取引件数 | 取引価格(中央値) | 土地面積(中央値) | 築年数(中央値) | |
| 千種区 | 111件 | 5,500万円 | 125㎡ | 21年 |
| 東区 | 20件 | 5,500万円 | 92.5㎡ | 24.5年 |
| 昭和区 | 55件 | 5,300万円 | 135㎡ | 17年 |
| 中区 | 7件 | 4,800万円 | 80㎡ | 12年 |
| 瑞穂区 | 69件 | 4,400万円 | 135㎡ | 24年 |
| 名東区 | 121件 | 4,000万円 | 165㎡ | 20年 |
| 天白区 | 116件 | 3,450万円 | 130㎡ | 17.5年 |
| 緑区 | 229件 | 3,300万円 | 165㎡ | 23年 |
| 中村区 | 104件 | 3,050万円 | 100㎡ | 19.5年 |
| 熱田区 | 31件 | 3,000万円 | 80㎡ | 13年 |
| 西区 | 80件 | 3,000万円 | 107.5㎡ | 25年 |
| 守山区 | 145件 | 3,000万円 | 155㎡ | 19年 |
| 北区 | 97件 | 2,800万円 | 110㎡ | 21年 |
| 中川区 | 165件 | 2,500万円 | 130㎡ | 24年 |
| 南区 | 104件 | 2,450万円 | 100㎡ | 27年 |
| 港区 | 79件 | 2,200万円 | 125㎡ | 23年 |
| 名古屋市全体 | 1,533件 | 3,200万円 | ― | 22年 |
※出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報・成約価格情報(2025年4月〜2026年3月)をもとに編集部集計
※種類が「宅地(土地と建物)」のうち、用途が住宅のもの(成約価格情報を含む)を対象としています。
※築2年以上を中古戸建てとし、競売や関係者間取引など特殊な事情のある取引は除外しました。
※中区・東区は取引件数が少ないため、参考値としてご覧ください。
中古戸建て相場からわかること①千種区・東区・昭和区で価格が高い
中古戸建ての取引価格は、千種区と東区が中央値5,500万円で最も高く、昭和区の5,300万円が続きました。
いずれも名古屋市全体の中央値(3,200万円)を大きく上回る水準です。
瑞穂区や名東区も4,000万円台となり、市全体より高い価格帯で取引されていることが分かります。
一方、港区は2,200万円、南区は2,450万円、中川区は2,500万円と、市の西部・南部では比較的手ごろな価格帯となっています。
最も高い区と最も低い区の差は約2.5倍で、約65倍の開きがあった路線価と比べると、区ごとの差は小さいといえるでしょう。
中古戸建て相場からわかること②土地面積や築年数にも区ごとの違いがある
取引された物件の条件にも区ごとの違いがあり、たとえば土地面積の中央値は名東区と緑区が165㎡と最も広く、守山区も155㎡でした。
これに対して中区と熱田区は80㎡にとどまり、都心に近い区ではコンパクトな敷地の物件が多いことが分かります。
また築年数を見ると、中区(12年)や熱田区(13年)では比較的新しい物件の取引が中心となっています。
反対に、南区(27年)や西区(25年)では築年数の古い物件が多く取引されていました。
このように、中古戸建ての価格は立地だけでなく、土地の広さや建物の築年数によっても左右されます。
区ごとの相場を比べる際は、取引価格とあわせて物件の条件にも目を向けることが大切です。
路線価×中古戸建て相場を見るときのポイント
2つの指標を並べて比較
ここまで紹介した路線価と中古戸建て相場を、区ごとに並べてみました。
カッコ内は16区の中での順位です。
| 区内最高地点の路線価 | 中古戸建て取引価格(中央値) | |
| 中村区 | 11,360,000円(1位) | 3,050万円(9位) |
| 中区 | 9,310,000円(2位) | 4,800万円(4位) |
| 西区 | 3,700,000円(3位) | 3,000万円(10位) |
| 東区 | 3,400,000円(4位) | 5,500万円(1位) |
| 熱田区 | 2,500,000円(5位) | 3,000万円(10位) |
| 千種区 | 1,200,000円(6位) | 5,500万円(1位) |
| 昭和区 | 560,000円(7位) | 5,300万円(3位) |
| 名東区 | 540,000円(8位) | 4,000万円(6位) |
| 北区 | 520,000円(9位) | 2,800万円(13位) |
| 瑞穂区 | 460,000円(10位) | 4,400万円(5位) |
| 天白区 | 380,000円(11位) | 3,450万円(7位) |
| 中川区 | 320,000円(12位) | 2,500万円(14位) |
| 南区 | 290,000円(13位) | 2,450万円(15位) |
| 緑区 | 195,000円(14位) | 3,300万円(8位) |
| 港区 | 190,000円(15位) | 2,200万円(16位) |
| 守山区 | 175,000円(16位) | 3,000万円(10位) |
※同額の区は同順位としています。
路線価と戸建て相場の順位が一致しない理由
表を見ると、路線価の順位と中古戸建て相場の順位が一致していない区が少なくありません。
たとえば中村区は路線価が1位である一方、中古戸建ての取引価格は9位でした。
反対に千種区は路線価6位ながら、中古戸建ては1位となっています。
このずれが生じる理由のひとつは、2つのデータが対象とする土地の性質の違いです。
今回の路線価は区内で最も高い地点を取り上げており、その多くは駅前や幹線道路沿いの商業地にあたります。
これに対して中古戸建ての取引は、主に住宅地で行われたものです。
また路線価は土地だけの評価額ですが、中古戸建ての取引価格には建物の価値も含まれます。
土地の広さや築年数も区によって異なるため、路線価が高い区ほど戸建てが高いとは限らない点を押さえておきましょう。
件数が少ない区は参考値として見る
中古戸建て相場は、取引件数によって数値の安定性が変わります。
中区(7件)や東区(20件)のように件数が少ない区では、1件の高額取引や低額取引で中央値が大きく動く可能性があります。
実際の住まい探しや売却を検討する際は、区全体の相場だけで判断しないことが大切です。
最寄駅や土地の広さ、築年数など、条件の近い物件の取引事例もあわせて確認するとよいでしょう。
名古屋市の路線価と中古戸建て相場に関するよくある質問
Q. 名古屋市で路線価が最も高い場所はどこですか?
今回集計した地点では、中村区名駅4丁目のミッドランドスクエア付近が1平方メートルあたり1,136万円で最も高くなりました。
次いで中村区の大名古屋ビルヂング付近が1,071万円、中区の栄交差点付近が931万円です。
なお、名古屋国税局が公表した名古屋中村税務署管内の最高路線価は、中村区名駅1丁目(名駅通り)の1,304万円となっています。
地点の選び方によって数値が異なるため、特定の土地の路線価を知りたい場合は路線価図で直接確認しましょう。
Q. 令和8年に路線価の上昇率が大きかった区はどこですか?
区内で最も上昇率が大きかった地点で比べると、千種区(+11.5%)が最も高く、熱田区(+10.9%)、昭和区(+9.8%)が続きます。
いずれも池下駅や神宮前駅、御器所駅といった、都心に近い駅周辺の地点で大きく上昇しました。
一方、路線価の水準が最も高い中村区は+2.9%にとどまっています。
Q. 名古屋市で中古戸建てが比較的安い区はどこですか?
2025年4月〜2026年3月の取引データでは、港区が中央値2,200万円で最も手ごろでした。
南区(2,450万円)や中川区(2,500万円)も、名古屋市全体の中央値である3,200万円を下回っています。
ただし、物件の広さや築年数によって価格は大きく変わるため、あくまで目安として参考にしてください。
Q. 路線価を使って土地の評価額を計算するにはどうすればよいですか?
路線価が定められている地域の土地は、「路線価×土地の面積」が評価額の基本的な考え方です。
実際の相続税評価では、土地の奥行きや形状、角地かどうかなどに応じた補正率を掛けて計算します。
たとえば路線価20万円の道路に面した100平方メートルの整形地であれば、補正前の評価額はおよそ2,000万円です。
正確な評価額は土地の条件によって変わるため、相続税の申告が必要な場合は税理士などの専門家に相談すると安心でしょう。
Q. 路線価はどこで調べられますか?
路線価は、国税庁のホームページ「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で誰でも無料で確認できます。
都道府県・市区町村を選んで路線価図を開くと、道路ごとに1平方メートルあたりの価格が千円単位で記載されています。
令和8年分に加え、平成30年分以降の路線価も掲載されているため、過去からの推移を調べることも可能です。
まとめ
- 令和8年分の路線価は、今回集計した16区160地点すべてで前年から下落がなく、名古屋市全体で上昇基調が続いている
- 路線価の水準は名駅・栄を抱える中村区・中区が突出する一方、上昇率では千種区・熱田区・昭和区など都心周辺の拠点が上位となっている
- 中古戸建ての取引価格(中央値)は千種区・東区の5,500万円から港区の2,200万円まで幅があり、路線価の順位とは必ずしも一致しない
路線価は土地の評価、中古戸建て相場は実際の住宅取引を映すデータで、2つをあわせて見ることでエリアの特徴がより立体的に見えてきます。
住まい選びや資産の確認に役立てる際は、区全体の傾向に加えて、個別の物件の条件もしっかり確認しましょう。
各区の詳しい路線価ランキングは、下記の区別記事からチェックしてみてください。
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