家を買うとき、多くの方が活用する制度のひとつとして住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)があります。
年末のローン残高に応じて所得税や住民税が還付されるこの制度は、住宅購入における大きな後押しとなっています。
ところが、2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱では、2028年(令和10年)以降に建築確認を受ける新築住宅について、一定の省エネ性能を満たさない住宅は原則として住宅ローン控除の対象外とする方針が示されました。
2028年以降は、現行の省エネ基準(断熱等性能等級4相当)では不十分となり、より性能の高い「ZEH水準」以上が求められる見通しとなっています。
この記事では、2028年に何がどう変わるのか、どんな家が対象外になるのかなど、住宅購入を検討している方が今から知っておくべきポイントを整理します。
愛知・名古屋エリアでマイホームの購入をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
住宅ローン控除とは?まず基本を確認しよう
住宅ローン控除(減税)とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した際に、年末時点のローン残高の0.7%が最長13年間にわたって所得税・住民税から控除される制度です。
正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、国税庁および国土交通省が所管しています。
たとえば、年末のローン残高が3,000万円であれば、その0.7%にあたる21万円が1年分の控除額の目安です。
控除しきれなかった分は翌年度の住民税からも差し引かれるため、所得税の納税額が少ない方にとっても一定の恩恵があります。
なお控除を受けられる金額の上限(借入限度額)は、取得する住宅の省エネ性能によって異なります。
現行制度(2026〜2027年入居)の新築住宅を例に挙げると、以下のとおりです。
| 住宅の区分 | 借入限度額(一般世帯) | 借入限度額(子育て・若者夫婦世帯) |
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,000万円 | 4,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 4,000万円 |
制度全体の変更点や補助金との組み合わせについては、以下の記事で詳しく解説しています。
2028年に何が変わるのか
今回の制度変更は、突然決まったものではありません。
政府は2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標)の実現に向けて、住宅の省エネ性能を段階的に引き上げる方針を示してきました。
その一環として、2030年度までにすべての新築住宅でZEH水準の省エネ性能を確保することを目指すとされており、今回の住宅ローン控除の要件変更はその流れに沿ったものです。
なお、本項で説明する内容は令和8年度税制改正大綱(2025年12月19日与党公表)に基づいています。
2026年の国会審議を経て正式に成立する見込みであり、今後内容が一部変更となる可能性もある点をあらかじめご了承ください。
省エネ基準適合住宅が「原則として対象外」になる
現行制度では、「省エネ基準適合住宅」も住宅ローン控除の対象となっています。
しかし2028年(令和10年)以降に建築確認を受ける新築住宅については、省エネ基準適合住宅は原則として住宅ローン控除の対象外となる方針が示されました。
ここで注意したいのは、切り替えの基準が「入居日」ではなく「建築確認を受けた日」である点です。
2028年に入居する予定であっても、建築確認の取得が2027年末までに完了していれば、経過措置として控除を受けられます。
経過措置の内容をまとめると以下のとおりです。

つまり、2028年以降に建築確認を受けた省エネ基準適合住宅で、かつ登記簿上の建築日付が2028年7月1日以降のものは、住宅ローン控除を受けられなくなるということです。
着工から入居までの期間を考えると、実質的には2027年前半までに建築確認を取得するスケジュールで動くことが安全といえるでしょう。
ZEH水準省エネ住宅が”最低ライン”になる
2028年以降も住宅ローン控除を受けるためには、「ZEH水準省エネ住宅」以上の性能が必要となります。
ZEH水準省エネ住宅とは、国土交通省の定めにより、以下の両方の基準を満たす住宅です。
- 断熱等性能等級5以上(外壁・窓などの断熱性能の高さを示す指標)
- 一次エネルギー消費量等級6以上(冷暖房・給湯・照明などの設備が使うエネルギー量を示す指標)
またZEH水準の上位には、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅なども存在します。
これらはいずれも2028年以降も控除の対象となるため、性能が高いほど制度上は有利な扱いを受けることになります。
「省エネ基準適合住宅」と「ZEH水準省エネ住宅」の違い
この2つは名前が似ていますが、求められる性能水準が異なります。
それぞれの要件を比較すると以下のとおりです。

省エネ基準適合住宅(等級4)は、2025年4月から全ての新築住宅に義務化された”現行の最低ライン”です。
一方、ZEH水準(等級5)はそこからさらに断熱・省エネ性能を高めた水準であり、現行基準と比べて一次エネルギー消費量を約20%削減することが求められます。
「省エネ基準は満たしているから安心」と思っていた方にとっては、2028年のルール変更は見落とせない内容といえるでしょう。
愛知・名古屋エリアで家を買うときに知っておきたいこと
2028年のルール変更まで、現時点(2026年3月)から約2年です。
「まだ先の話」と感じるかもしれませんが、住宅の購入・建築には土地探し・プラン打ち合わせ・建築確認取得・着工・完成と、多くのステップがあります。
余裕を持ったスケジュールで動くためにも、今の時点で制度変更の内容を把握しておくことが重要です。
入居時期別に見る、今やるべきこと

2026年・2027年中の入居を予定している方
現行制度の対象となるため、省エネ基準適合住宅(断熱等性能等級4以上)でも住宅ローン控除を受けられます。
ただし、将来の資産価値や光熱費削減の観点から、可能であればZEH水準以上の性能を検討しておくことをおすすめします。
2028年以降の入居を検討している方
ZEH水準(断熱等性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6以上)を満たす住宅を前提に計画を立てる必要があります。
また前述のとおり、建築確認の取得日が2028年1月1日以降になると経過措置の対象外となるケースがあるため、住宅会社との打ち合わせ開始はできるだけ早い段階で行うことが大切です。
「建築確認」のタイミングに余裕を持つ
注文住宅の場合、土地の購入からプランの確定・建築確認の取得まで、一般的に半年〜1年程度かかることも珍しくありません。
「2027年末までに建築確認を取得したい」と逆算すると、遅くとも2026年末〜2027年初頭には住宅会社との本格的な打ち合わせを始めている状態が理想的です。
分譲住宅(建売住宅)の場合は、すでに建築確認を取得済みの物件も多いため、購入検討時に建築確認取得日と省エネ性能の等級を必ず確認するようにしましょう。
愛知・名古屋エリアとZEH水準住宅
愛知県は国土交通省の省エネ地域区分において「6地域」(比較的温暖な地域)に分類されています。
ZEH水準の高い断熱・遮熱性能は、冷房効率の向上や光熱費の削減という形で、夏の暑さが厳しい名古屋エリアの暮らしにも着実にメリットをもたらすでしょう。
近年は愛知県内でもZEH水準・長期優良住宅の供給が増えており、以前と比べて性能の高い住宅を選びやすい環境が整ってきました。
2028年のルール変更は「制約」である一方、省エネ性能の高い住まいへの移行を後押しする機会ともいえます。
省エネ性能と予算のバランスについては、早い段階から住宅会社に相談しながら検討を進めていくとよいでしょう。
住宅ローン控除と省エネ基準に関するよくある質問
Q 2027年中に建築確認を取得すれば、2028年以降の入居でも控除は受けられますか?
受けられますが、条件があります。
2027年12月31日以前に建築確認を受けた省エネ基準適合住宅であれば、2028年以降の入居でも住宅ローン控除の対象となります。
ただし、その場合の借入限度額は2,000万円・控除期間10年となり、ZEH水準住宅に比べると恩恵は限定的です。
控除を最大限に活かしたい場合は、ZEH水準以上の住宅を選ぶことを検討するとよいでしょう。
Q 中古住宅を購入する場合も、2028年以降は住宅ローン控除が受けられなくなりますか?
中古住宅(既存住宅)の取得については、今回の変更の対象外です。
2028年以降のルール変更は新築住宅の建築確認を基準としており、中古住宅の購入には適用されません。
省エネ基準を満たす中古住宅であれば、2026年度の税制改正により借入限度額の拡充・控除期間の13年化といった優遇も受けられるようになっています。
Q 「ZEH水準」の住宅にすると、省エネ基準適合住宅と比べてどのくらい費用が変わりますか?
建物の仕様・規模・施工会社によって大きく異なるため、一概にはお答えが難しい部分です。
一般的には断熱材のグレードアップや窓の性能向上などが主なコスト増の要因となりますが、みらいエコ住宅2026事業などの補助金を活用することで、追加費用の一部を補填できるケースもあります。
具体的な費用については、住宅会社へ早めに相談し、補助金の活用も含めたトータルコストで比較することをおすすめします。
ZEH水準にかかるコストと光熱費削減効果を詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてみてください。
Q家を建てた後で省エネ性能を上げることはできますか?
部分的には可能ですが、新築時と比べると制約があります。
窓の断熱改修(内窓の設置など)や高効率給湯器への交換といったリフォームであれば、建築後でも省エネ性能を高めることができます。
一方、外壁・屋根・床の断熱性能は建築時に決まる部分が大きく、後から大幅に改善するには大規模なリフォームが必要となります。
住宅の省エネ性能は、建てる段階で計画的に決めておくことが最も効率的です。
まとめ
- 2028年(令和10年)以降に建築確認を受ける新築住宅では、ZEH水準を満たさないと原則として住宅ローン控除を受けられなくなる見通し
- 2027年12月31日以前に建築確認を取得した省エネ基準適合住宅には経過措置が適用されるものの、借入限度額2,000万円・控除期間10年と恩恵は限定的
- ZEH水準の住宅は光熱費の削減や補助金の活用など長期的なメリットも多く、2028年のルール変更は「制約」であると同時に「より良い住まいへの移行を後押しするきっかけ」でもある
「どんな家でも控除が受けられる」時代は、2028年を境に終わりを迎えます。
愛知県・名古屋エリアで住宅購入を検討している方は、省エネ性能を早い段階から計画に組み込むことで、減税メリットを最大限に活かした住まい選びができるでしょう。
建築確認のタイミングや住宅性能については、信頼できる住宅会社に早めに相談することをおすすめします。




















