30年以内の南海トラフ地震発生率が70%~80%と予測される中、地震による直接的な被害はもちろん、その後の液状化現象や地盤沈下といった二次災害への対策も考えていく必要があります。
この記事では、南海トラフ地震に伴う愛知県の震度分布・液状化危険度・浸水想定域等およびこれらのデータに基づく被害状況の試算データを紹介します。
液状化が起こりやすい条件や愛知県内の危険エリアもまとめているので、合わせて参考にしてみてください。
液状化とは?液状化するとどうなるの?
まずは地震発生に伴う液状化現象のメカニズムと影響について詳しく見ていきましょう。
液状化が発生するメカニズム
液状化現象とは、地震が発生した際に地盤が液体のような状態になる現象のことです。
砂や土が地下水で満たされている場合、地震による振動で地下水の圧力が高まると、砂や土同士の結びつきが弱まって地盤が泥水のような状態になります。
その後、泥水の中の砂粒が沈下することで地盤沈下や亀裂を引き起こし、住宅が傾いたりマンホールが浮き上がったりする等の被害を生み出します。
液状化の影響
液状化による代表的な被害と生活への主な影響は以下の通りです。
被害 | 生活に与える影響 |
噴水・噴砂 | 自転車の埋没による避難の遅れ宅地や生活道路内に堆積した土砂の撤去乾いた土砂の飛散による粉塵被害 |
宅地や建物の被害 | 地盤沈下による上下水道管の損傷住宅の機能障害(戸の開け閉めの不具合等)健康被害(めまいや吐き気等) |
道路の被害 | 道路の損傷に伴う避難・救助活動の難航通行障害に伴う物流の停止道路の損傷に伴う転倒や事故の発生 |
ライフラインの被害 | 上水の供給不足に伴う生活障害下水道管の破損による生活障害電気やガスの供給停止による生活障害 |
液状化が起こりやすい土地の条件とは
液状化はどこでも起こる現象というわけではなく、以下の条件を満たす土地で発生しやすいとされています。
- 海岸や河口付近、埋没地等の緩い砂地盤となっている場所(N値(地盤の硬さを示す値):20以下/粒子:0.03mm~0.5mm程度)
- 地下水位が10m以内の浅い場所
- 震度5以上の大きな揺れが発生した場所
- 過去に液状化現象が発生した場所
愛知県内の危険エリアをチェック
続いて、南海トラフ地震に伴う愛知県の震度分布・液状化危険度・浸水想定域およびこれらのデータに基づく被害状況の試算データを見ていきましょう。
愛知県の震度分布・液状化危険度・浸水想定域
以下は、国が公表する愛知県の震度分布・液状化危険度・浸水想定域のデータです。(※平成24年8月時点)
上図から、以下のエリアは地震発生に伴う液状化のリスクが高いことが分かります。
- 尾張エリア(一宮市・稲沢市・岩倉市・北名古屋市・清須市・名古屋市)
- 海部エリア全域
- 西三河エリア(西尾市・岡崎市)
- 東三河エリア(豊橋市)
また名古屋市南区・熱田区・港区・西尾市・碧南市・豊橋市・田原市等の一部の地域においては、津波発生に伴う浸水被害についても対策を進めていく必要があると言えるでしょう。
その他、液状化による地盤沈下の危険地域についてはこちらの記事もご参照ください。
愛知県の被害想定
前述したデータに基づく愛知県の最大被害想定は以下の通りです。
データ元となる国の地震動ケース・津波ケースの詳細についてはコチラをご参照ください。
建物被害(冬・夕方18時を想定)
揺れによる全壊 | 約236,000棟 |
液状化による全壊 | 約26,000棟 |
浸水・津波による全壊 | 約2,300棟 |
急傾斜地崩壊等による全壊 | 約500棟 |
地震火災による焼失 | 約116,000棟 |
合計 | 約380,000棟 |
人的被害(冬・深夜5時を想定)
建物倒壊等による死者(うち屋内収容物移動・転倒、屋内落下物) | 約15,000人(約1,000人) |
浸水・津波による死者 | 約6,000人 |
急傾斜地崩壊等による死者 | 約50人 |
地震火災による死者 | 約2,300人 |
ブロック塀・自動販売機の転倒、屋外落下物による死者 | わずか |
合計 | 約23,000人 |
まとめ
南海トラフ地震が発生した場合、地震の被害は愛知県全域にわたるものの、液状化や浸水被害は特定の地域に限定されると考えられています。
南海トラフ地震の発生確率は年々高まってきているため、これから愛知県への引っ越しをお考えの方は、こうしたリスクを踏まえた土地選び・住宅選びを行うことが大切です。