住宅建築に関わる各部材の耐用年数

住宅の耐用年数は構造によって変わります。
ここを知っておくことは住宅を建てるときの基本です。
各部材の耐用年数も大まかでいいのでどれくらいかを理解しましょう。
住宅の寿命を延ばすには定期的なメンテナンスが必要です。
住宅から住宅設備の交換時期やチェックポイントを解説します。

木造建築物の耐用年数

そもそも耐用年数とは

建物の耐用年数とは法定耐用年数のこと

耐用年数とはものの使用可能な期間のことをいいます。
建物の耐用年数には法定耐用年数がメインで使われています。
これは、固定資産の減価償却費を計算するために税法で規定された年数です。
居住用の建造物の耐用年数として、法的耐用年数×1.5で算出します。

建築物の構造によって耐用年数は異なる

木造、 鉄骨鉄筋コンクリート造、レンガ造・石造・ブロック造など建築物の構造によって耐用年数は違います。

木造建築住宅の耐用年数

財務省の減価償却資産の耐用年数等に関する省令で、木造建築の耐用年数は22年と定められています。
ただし、これは事業用(賃貸)のケースで自己の居住用、マイホームでしたら耐用年数は33年です。では、耐用年数を越えた木造住宅は、もはや寿命なのか心配になります。
そうではありません。耐用年数は税務上の減価償却のための数字なので建物の寿命とイコールではないのです。
築数十年経った木造住宅でも怠りなく手入れをしていれば、美しい外観や快適な住み心地を実現しています。

各部材の耐用年数の目安

木造建築物の耐用年数は構造に基づいています。
建物をつくっているのは基礎や骨組み、軸組の構造体と屋根材、外壁材、床材など各部材からです。
各部材にも耐用年数はあります。
その目安を表で紹介します。

<各部材の耐用年数の目安>

区分 内容 耐用年数の目安
外部 屋根 陶器瓦葺き 25年~50年
化粧スレート葺き 20年~40年
鋼板葺き 20年~40年
外壁 サイディング(窯業系) 20年~40年
モルタル壁 20年~40年
外部建具 20年~40年
内部 床(塩ビタイル 半硬質) 30年
巾木(塩ビ巾木) 30年
壁(ビニールクロス 準不燃) 30年
天井 天井(岩綿吸音板) 30年
内部建具 アルミ建具 50年
ステンレス建具 65年
鋼製建具 40年
木製建具 40年

出典:「建築物のライフサイクルコスト」監修/国土交通省大臣官房庁営繕部
編集・発行/財団法人建築保全センター 発行/財団法人経済調査会

木造建築物のメンテナンス

建物の構造自体はしっかりしていても、屋根がサビたりモルタルにヒビが入ったりするなど、部材の経年劣化は避けられない問題です。
木造住宅の性能や品質を保持して寿命を延ばすには、各部材の耐用年数を迎える前に適宜メンテナンスを行うことが不可欠です。

外壁の塗り替え時期

外壁の塗り替えは、築10年おきに行いましょう。
外壁の防水性、断熱性、美観を保持します。

スレート屋根の塗装とふき替え(瓦などを新しいものに交換する)時期

屋根がスレートでしたら、点検と塗装の時期は築7~10年目と築20年目です。
ふき替えは築年数30年が目安です。

瓦屋根の点検時期

10年~15年ごとに点検を行います。
下地などに欠損があれば補修します。

鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐用年数

鉄骨鉄筋コンクリート造建築住宅の耐用年数は47年

財務省の減価償却資産の耐用年数等に関する省令で、鉄骨鉄筋コンクリート造建築住宅の耐用年数は47年と定められています。
鉄骨鉄筋コンクリート造建築住宅の耐用年数は木造の倍以上ある長持ち住宅です。
ただし、これは事業用(賃貸)の場合で自己の居住用やマイホームの場合、耐用年数は70年とされています。

各部材の耐用年数の目安

鉄骨鉄筋コンクリート造建築住宅の耐用年数は構造に準じています。
建物は構造体 (基礎、骨組み、軸組)と屋根材や外壁材、床材など各部材から構成されています。
各部材の耐用年数の目安を表で紹介します。

<各部材の耐用年数の目安>

区分 内容 耐用年数の目安
外部 屋根 陶器瓦葺き 25年~50年
化粧スレート葺き 20年~40年
鋼板葺き 20年~40年
外壁 サイディング(窯業系) 20年~40年
モルタル壁 20年~40年
外部建具 20年~40年
内部 床(塩ビタイル 半硬質) 30年
巾木(塩ビ巾木) 30年
壁(ビニールクロス 準不燃) 30年
天井 天井(岩綿吸音板) 30年
内部建具 アルミ建具 50年
ステンレス建具 65年
鋼製建具 40年
木製建具 40年

出典:「建築物のライフサイクルコスト」監修/国土交通省大臣官房庁営繕部
編集・発行/財団法人建築保全センター 発行/財団法人経済調査会

鉄骨鉄筋コンクリート造建築物のメンテナンス

耐用年数が長い鉄骨鉄筋コンクリート造建築物ですが、メンテナンスで寿命をさらに長くすることができます。

コンクリートのクラック(亀裂)

コンクリートのクラックはそのままにしておくとクラックから雨水が入る原因になるので補修します。

外壁塗装の塗り直し時期

外壁塗装は10数年が耐用年数です。
その前に塗り直しをしておけば美しい外観を保てます。

屋上の防水処理の補修

屋上はウレタン塗膜防水などで防水処理されていますが、20年~30年余りで劣化が目立ちます。
劣化具合で一部補修、もしくは貼り換えをしなければなりません。

れんが・石・ブロック造建築物の耐用年数

れんが・石・ブロック造建築物の耐用年数は38年

れんが・石・ブロック造建築物の耐用年数は38年と定められています。
これは事業用(賃貸)の場合で自己の居住用(マイホーム)の場合、耐用年数は57年とされています。

各部材の耐用年数の目安

れんが・石・ブロック造建築物の耐用年数は構造に基づいています。
建物 は基礎や骨組み、軸組の構造体と屋根材、外壁材、床材など各部材から成り立っています。
各部材にも耐用年数があります。
主な部材の目安を表で紹介します。
れんが・石・ブロック造建築物では、構造よりも部材の耐用年数が短いので、メンテナンスが必須です。

<各部材の耐用年数の目安>

区分 内容 耐用年数の目安
外部 屋根 陶器瓦葺き 25年~50年
化粧スレート葺き 20年~40年
鋼板葺き 20年~40年
外壁 サイディング(窯業系) 20年~40年
モルタル壁 20年~40年
外部建具 20年~40年
内部 床(塩ビタイル 半硬質) 30年
巾木(塩ビ巾木) 30年
壁(ビニールクロス 準不燃) 30年
天井 天井(岩綿吸音板) 30年
内部建具 アルミ建具 50年
ステンレス建具 65年
鋼製建具 40年
木製建具 40年

出典:「建築物のライフサイクルコスト」監修/国土交通省大臣官房庁営繕部
編集・発行/財団法人建築保全センター 発行/財団法人経済調査会

れんが・石・ブロック造建築物のメンテナンス

重厚感のあるれんが・石・ブロック造建築物はメンテナンスフリーといわれています。
しかし、モルタルで付着しているため、地震などでひび割れが出ることもあります。
定期的なチェックはもちろん、ひび割れを発見したら早めのメンテナンスが大事です。

ブロック造建築物の塗装剥離

上塗りの塗装が劣化するとブロックが水分を吸って剥離します。
塗り直しで外観も美しくしましょう。

モルタルのひび割れ補修

ひび割れができるとそこから雨水が入りやすくなりますので補修します。

住宅設備の交換時期とチェックポイント


住宅設備にも耐用年数があります。
キッチンやトイレや風呂など住宅設備の劣化によりトラブルが起きると生活に支障をきたします。
住宅設備の耐用年数と取り換え時期などの目安を紹介します。
古い設備機器の場合、修理を依頼したら部品がなく新たに買い替えとなることも多いようです。
ふだんからの各設備をこまめにチェックしておくことが重要です。

キッチン

キッチンは毎日の調理で火や水を大量に使用するので、汚れや傷みがつきやすい場所です。

天板・シンクなどの耐用年数は15~20年

こんな場合は交換時期
・ステンレスシンクの水垢が落ちない
・傷がある
・サビが出てくる

水栓の耐用年数は10年

こんな場合は交換時期
・水栓レバーが重くなった
・蛇口から水漏れがする

キッチン機器

キッチン機器は耐用年数をオーバーすると性能が下がることもあります。
不具合が出る前に早めの交換をしましょう。

食器洗い機の耐用年数は10年

こんな場合は交換時期
・食器の洗浄や乾燥がきちんとできない
・水漏れがする

ガスコンロの耐用年数は10年

こんな場合は交換時期
・ガスコンロが着火しづらい
・弱火にすると消える

レンジフードの耐用年数は10年

こんな場合は交換時期
・煙の吸い込みが悪い
・異音や振動がする

給湯器

給湯器は老朽化で熱効率が悪化することもあります。
万が一の事故に備えて、気になったらすぐ点検をお願いするようにしましょう。

給湯器の耐用年数は10年

こんな場合は交換時期
・お湯の温度が不安定
・異音がする
・高温に設定してもお湯がぬるい

浴室

浴室は15年過ぎたあたりからカビや汚れが目立つようになってきます。
水漏れで浴室の土台が腐食する可能性も出てきます。
将来に備えて手すりなどのバリアフリー対策も考えておきたいものです。

風呂の耐用年数は15年前後

こんな場合は交換時期
・浴室の壁やバスタブのカビがひどい
・バスタブが水漏れしている
・水栓金具の温度調節がきかなくなってきた

洗面所

毎日の洗顔や歯みがきで利用する洗面台。
子どもが大きくなってそれぞれの化粧品などで洗面台があふれたら替え時です。

洗面台の耐用年数は15年~25年

こんな場合は交換時期
・洗面台がヒビ割れ
・栓をしても水がたまらない
・鏡が割れている

トイレ

トイレはタンクの水漏れや便器の変色や汚れが目についたら替え時のサインです。

トイレの耐用年数は10~15年

10~15年で温水便座の交換、20年~30年を目安に便器の交換を行いましょう。
こんな場合は交換時期
・掃除をしてもトイレの臭いが取れない
・タンクから水漏れが止まらない
・排水の流れが弱くなる

まとめ

建物の耐用年数と住宅設備の交換時期などについて紹介しました。
劣化や不具合は早期発見、早期修繕。これが鉄則です。
家をつくるのと同様に家を繕うことにも重きを置きましょう。
住宅も住宅設備機器も必要なメンテナンスを適切にすることで、結果として長持ちさせることができます。

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