住宅などの建物は土地に固定されており、通常は動かせません。
しかし、実は「動かせる家」というのも存在します。その一つが「トレーラーハウス」です。
建物を移動させる必要はないと思ってしまう人もいるかもしれませんが、東日本大震災の際には体育館、公民館などの避難所や仮設住宅から自立された方々の住宅や店舗、事務所として活躍しました。また、2016年の熊本の地震では「緊急避難所」として認められ、2018年西日本豪雨では、初めて仮設住宅として認められました。さらに同年、北海道胆振東部地震では、被災者敷地内に仮設住宅として使用されています。
また、需要に応じて設置場所を気軽に変更できることから、ホテルとして使用されるなどの活用事例もあるようです。この記事では、そんな「トレーラーハウス」のメリットについてご紹介します。
車でけん引して移動できるトレーラーハウス
トレーラーハウスとは、具体的にどのようなものを指すのか見ていきましょう。
トレーラーハウスの概要
トレーラーハウスとは、本体下部にタイヤ(車軸)が付いていて、車でけん引すれば場所を移動できる「住宅」や「店舗」のことです。
外見はタイヤが付いていること以外は、通常の建物とそう大きく変わりません。
ただ、道路を走行できるように幅が狭めに作られています。
内装も基本的に通常の建物と同じで、キッチンやお風呂、トイレ、洗面化粧台なども備え付けることができるほか、水道や電気、ガスなども接続できるので家電製品も一般住宅と同様の使い勝手です。
トレーラーハウスの設置基準で適応する法律が変わる
トレーラーハウスは建築基準法においては、「建築物」に該当せず、「車両を利用した工作物」として扱われます。
上記の条件にあてはまる条件として、ライフラインである水道やガス、電気などの接続や取り外しを特殊な工具なしで行える状態でなければなりません。
トレーラーハウスにはいくつかの分類がありますが、保安基準内で移動を目的とするトラベルトレーラーやボートトレーラーにはナンバープレートが必要なものもありますが、定地置きを目的とするトレーラーハウスはナンバープレートは不要です。適法な方法で公道を走行するには、基準緩和申請と特殊車両通行の許可を得て走行しなければなりません。
トレーラーハウスの法律について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
トレーラーハウスの設置できる場所
建築基準法の適用を受けないことから、法律上建物を建てられない場所に設置しても問題がなく、市街化調整区域にも設置可能です。ただし、移動する経路に狭い場所があるため運び入れることができない土地には設置できません。一般的には、幅3.45m×長さ11.0mのトレーラーハウスの場合、角を曲がるためには道幅が8メートル必要とされています。また、農地にも設置できる場合がありますが、農業委員会などとの相談が必要になるので注意しましょう。
しかし、他人の土地の上に許可なく置くことはできませんし、法律上車両を長期間にわたって車両を駐車ができない場所にトレーラーハウスを置くことも許されていません。
トレーラーハウスは独立したジャッキの為、不等沈下をおこさないようにしっかりと地盤を固める必要があります。
トレーラーハウスの耐震性
トレーラーハウスは、通常の住宅と異なり地面に固定されていないことから、地震に弱く見えるかもしれません。
しかし、トレーラーハウスはけん引されるときの揺れに耐えられるように作られており、意外と強い耐震性を持ちます。
また、トレーラーハウスにはジャッキが付いているため、各ジャッキが制振構造となり揺れを軽減してくれるのです。通常の住宅同様、家具などは備え付けで固定されることをおすすめします。
【トレーラーハウスの活用事例】消費者向けサービス
トレーラーハウス店舗などの消費者向けサービスで活用されています。
店舗を運営する上で営業許可は必要ですが、土地やテナントを購入・賃貸する必要がないことが特徴です。
テナントの場合は原状回復と修繕が必要になるため、それが必要にならないトレーラーハウスは費用面でもメリットがあります。
トレーラーハウスの工法・構造には決まりがなく、天井・壁の厚み(断熱性能)や仕様が各メーカーバラバラの現状です。目的に応じ、ご確認されることをおすすめいたします。
ここでは、消費者向けサービスのトレーラーハウス活用事例を紹介します。
飲食店
トレーラーハウスをカフェ、ダイニング、Bar、焼肉、ラーメン店等様々なジャンルで活用している例があります。
トレーラーハウスは、満足する土地があれば自由度の高いお店にできるほか、転売や移動も可能です。
外から見ると、通常の飲食店とそう大きく変わりません。
ハウス内に調理設備とカウンターやテーブル席を設けて、通常の飲食店と同様に営業しています。
サイズによりますが、横幅が狭いため、店内に多くのテーブル席を設けるのは難しいですが、カウンター席だけでも十数席程度は設置可能です。
外にはテラス席を設置して、数人でテーブルを囲んで食事を楽しむこともできます。
飲食店はお店の場所がかなり重要です。美味しい料理を提供しているお店でも、場所が良くないとお客さんはあまり来てくれません。「ここぞ」という土地を見つけたら、トレーラーハウスですぐに出店することを検討してみてはいかがでしょうか。
美容院、ネイル・マツエク・ボディサロン
街中にある美容院・サロンは、店舗の建物を賃貸で借りているところが多いです。
美容院の建物は立地だけでなく、外見のオシャレさが客入りに影響を与えます。
オシャレな建物は賃料が高いため、悩ましいところです。
そこで、美容院を経営するのにトレーラーハウスを活用例もあります。
トレーラーハウスなら、低予算でもオシャレで品質の高い美容院の店舗を作れるのが大きなメリットです。店舗面積に関しても、トレーラーハウスくらいの広さで十分間に合います。
また、建物を建てるのが難しいような場所や自宅の駐車場でも営業可能です。場所を移転したいときにも、トレーラーハウスなら手間が大幅に省けます。
通常の美容院なら、お店の場所を移転する際には、備品なども全て移転先の建物に運び込まなければなりません。しかし、トレーラーハウスなら美容院ごと移動できるので、備品などはそのままで済みます。
飲食店と同じく、ターゲット層が多く住んでいる地域に移動したい場合であっても、簡単にできるのが大きなメリットです。
【トレーラーハウスの活用事例】法人・団体向けサービス
法人向けや団体向けのサービスで、トレーラーハウスを活用している例について見ていきましょう。
災害時の仮設住宅
トレーラーハウスは自由に移動できることから、災害時に仮設住宅として利用できます。
プレハブなどで作る仮設住宅の場合、一箇所に集めて建てられることが多いです。
人によっては、自宅の敷地から距離のある場所に移り住まなければなりません。その点、トレーラーハウスなら設置場所は自由に選べます。地震などで自宅が倒壊してしまっても、自宅の敷地内にトレーラーハウスを設置できるスペースさえあればそこで過ごせます。
そして、2018年9月6日に発生し大きな被害をもたらした北海道胆振東部地震では、トレーラーハウスが実際に被災者の敷地内に初めて仮設住宅として活躍しました。
牛・馬・鶏などの畜産農家は生き物相手のため、長時間離れることはできません。また、北海道では広大な敷地の農家が多く、隣家との距離がかなり離れている家も少なくありません。
移動可能で設置場所に自由が利くトレーラーハウスは、そのような環境に適していました。
グランピング・キャンプ
トレーラーハウスはアウトドアなどのレジャーでもよく利用されています。
レジャーで使う車といえば、キャンピングカーをイメージする人が多いのではないでしょうか。
確かにキャンピングカーでもキャンプを楽しめますが、大人数の場合にはやや狭いと感じるかもしれません。
トレーラーハウスであれば、大人数でも広々とした空間でキャンプを楽しめます。
また、最近では通常のキャンプとは別にグランピングを楽しむ人も多いです。
通常のキャンプでは、テントを張ったり食事を自ら用意したりするでしょう。
それもまたキャンプの楽しみのうちですが、グランピングはもっと豪華にアウトドアを楽しめるのが魅力です。しかし夜は、ホテルのように快適にくつろげる空間で寝泊まりし、キャンプのような自然体験もできます。
そんなグランピングを楽しむのに、トレーラーハウスはピッタリなのです。
トレーラーハウスのようなコンパクトな移動式住宅の種類
トレーラーハウスの他にも、移動式住宅はいくつか種類があります。
では、どんな移動式住宅があるのか見ていきましょう。
キャンピングカー(自走式RV)
キャンピングカー(自走式RV)とトレーラーハウスの違いはなんでしょうか?
トレーラーハウスは移動時にけん引しますが、キャンピングカー(自走式RV)は自走できるのが大きな違いです。
キャンピングカー(自走式RV)の大きさはさまざまですが、軽自動車サイズのものから、トラックベースの大型車両、カスタマイズされた特殊車両など、様々なものが存在します。
小さいものであれば、普通免許で運転可能です。
内部にはシャワーやトイレなどもありますが、トレーラーハウスと比べると簡素で、電気もバッテリーを使用しています。
そのため、長期間の居住にはあまり向きません。
トラベルトレーラー(けん引式RV)
トラベルトレーラー(けん引式RV)とは、車でけん引できる「部屋」のようなもので、特に、宇宙船のような外観をした、アメリカのブランド「エアストリーム」などが有名です。
内部にはキッチンやトイレ、洗面所なども付いており一定期間の居住が想定されている作りになっています。エンジンはついておらず、自走するのではなく、けん引して利用します。
「トレーラーハウス」が、住宅や店舗として一定の土地に「据え置き」して利用することを目的としているのに対し、「トラベルトレーラー(けん引式RV)」は、基本的に自動車でけん引して「移動・旅行」することを目的とした作りになっています。したがって、全幅が2.5メートル未満になっていることが多いです。
トレーラーハウスに興味を持った方はドリームプロジェクトまで!
ドリームプロジェクトのトレーラーハウスは車軸以外、全て国内の工場で製造しています。
一般住宅の建築実績は年間100棟以上で、寒冷地仕様や地震に強い戸建て住宅に関しても建築実績が豊富です。
水回りや建具などは、国産大手設備メーカーのものを使用しており、通常の住宅と品質に差はありません。
耐久性にも優れており、安全かつ快適に居住できます。
また、ドリームプロジェクトの圧倒的な強みは、トレーラーハウスの企画や製作から移動まで全て自社で管理を行っています。そのため、注文住宅のようにフルオーダーが可能で、高い満足度を得られるでしょう。
費用面では、通常の注文住宅を購入する場合と比べるとかなり安く済むのが魅力です。
製造開始から最短約1ヶ月半で完成し、設置場所に運びライフラインの接続をすれば、すぐに居住できます。
(全幅2.5m超のサイズは基準緩和申請や特殊車両通行許可申請が必要になります。この場合は、運送・設置まで3カ月以上かかる場合があるので注意しましょう。)
トレーラーハウスに固定資産税がかからないって本当?トレーラーハウスにまつわる税金やお金の話についてはこちらの記事をご覧ください。
トレーラーハウスの場合には、離れや倉庫などとしての利用もできるため、庭などに設置しておけば便利に使えるでしょう。
トレーラーハウスに住んでみたいと考えている方は、ぜひドリームプロジェクトまでお問い合わせください。
まとめ
トレーラーハウスは、車でけん引して自由に移動できて、基本的にどこにでも設置できます。
内部は通常の住宅とほとんど変わらない設備が整っており、数十年の居住も可能です。
住居の他に別荘、ホテル、事務所、店舗や飲食店、また、災害時の避難所として利用されることもあり、幅広い用途に使用できます。さらに、リフォームをして再利用することが可能な点も魅力の一つです。
「土地はあるんだけど、なんかちょっとおもしろいことをしたい」と思っている方は、ぜひトレーラーハウスも視野に入れて検討してみてください。