愛知・名古屋|南海トラフ臨時情報が出たら住まいはどうする?判断フローと備え

「南海トラフ地震臨時情報」は、2019年5月から運用されている情報です。
これまでに発表されたのは2024年8月の一度きりで、多くの人にとってはまだ経験が浅く、判断の基準を持ちにくい情報といえるでしょう。

ただし、この情報が出たときにとるべき行動は、あらかじめ国と自治体によって決められています。
そして求められる行動は、住んでいる場所によってはっきり分かれています
そのため、自宅がどの地域に該当するのかをあらかじめ確認し、家族間で共有しておくことが大切です。

この記事では、臨時情報の読み方と家族間で共有しておくべき判断フロー、そして住まい選びの段階で織り込める備えを整理します。
愛知県・名古屋市にお住まいの方やこれから住まいを探す方はぜひ参考にしてみてください。

「南海トラフ地震臨時情報」とは?

4つのキーワードと必要な防災対応

「南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合や、大規模地震の可能性が平常時より相対的に高まったと評価された場合に、気象庁が発表する情報のことです。

情報名の後ろに4つのキーワードのいずれかが付き、そのキーワードによって求められる行動が変わります

発表される条件求められる行動
調査中想定震源域とその周辺でM6.8以上の地震が発生した場合や、ひずみ計に通常と異なる変化が観測された場合など続報に注意する(この段階で具体的な防災行動は求められない)
巨大地震警戒想定震源域内のプレート境界で、モーメントマグニチュード(※)8.0以上の地震が発生したと評価された場合日頃の備えの再確認に加え、すぐ逃げられる態勢を1週間維持する(事前避難対象地域では1週間の避難)
巨大地震注意監視領域内でモーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生した場合、または通常と異なるゆっくりすべり(※)が発生したと評価された場合日頃の備えを再確認し、すぐ逃げられる態勢を維持する
調査終了「巨大地震警戒」「巨大地震注意」のいずれにも当てはまらないと評価された場合地震の発生に注意しながら通常の生活を送る
※モーメントマグニチュード:断層がずれ動いた規模から計算するマグニチュードのことで、ニュースで速報される数値とは異なる場合があります。
※ゆっくりすべり:プレートの境目が地震の揺れを起こさないままゆっくりとずれ動く現象を指します。

ここで押さえておきたいのが、「巨大地震警戒」だけが事前避難を伴うという点です。
2024年8月に発表されたのは「巨大地震注意」で、事前避難の対象にはなりませんでした。

発表までの流れは「調査中」から始まる

異常な現象が観測された場合、まず5〜30分後に「調査中」が発表されます。
その後、気象庁が「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」を臨時に開き、最短で2時間後に「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」のいずれかが発表される仕組みです。

つまり「調査中」の時点では、まだ結論は出ていません。
政府広報オンラインは、この段階では具体的な防災行動を求められているわけではないものの、最新情報に注意しながら避難などの準備を早めに始めておくと、その後の対応がスムーズになると説明しています。
「調査中」は、慌てる時間ではなく準備を始める時間と捉えてください。

臨時情報は「地震の予知」ではない

もう一点、誤解しやすいポイントがあります。
臨時情報は、地震がいつ・どこで・どの規模で起きるかを予知する情報ではありません。

気象庁は、南海トラフ地震の発生前に必ずしも異常な現象が観測されるとは限らないため、臨時情報が発表されないまま南海トラフ地震が起こることもあると明記しています。
名古屋市も、臨時情報の発表がないまま、先に南海トラフの東側で最初の地震が発生する可能性に触れています。

また、気象警報や注意報と違い、臨時情報に「解除」はありません。
防災対応をとる期間は政府の計画であらかじめ決められており、その期間が過ぎれば通常の生活に戻る仕組みです。
裏を返せば、臨時情報が出ていない今この瞬間も、備えの必要性は変わらないということになります。

出典
気象庁「南海トラフ地震臨時情報について
内閣府「南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!
名古屋市「南海トラフ地震って、一度で終わらないかも!?

【愛知】事前避難の対象となる地域は?

名古屋市は5区21学区の一部が対象

市町村が定める事前避難対象地域の住民は、「巨大地震警戒」が発表された場合に1週間の避難が求められます。
名古屋市の場合、対象となるのは熱田区・中川区・港区・南区・緑区の5区、21学区の一部です。
いずれも川沿いの一部地域で、区内全域が対象になるわけではありません。

なお対象地域に指定された理由は津波そのものだけではない点に注意が必要です。
名古屋市は、地震の揺れによって堤防が沈下する影響で、おおむね地震発生から30分以内に30センチメートル以上の浸水が生じる地域を事前避難対象地域としています。

この想定は、マグニチュード9クラスの地震が起き、液状化によって堤防に甚大な被害が生じた場合という、あらゆる可能性を考慮した最悪のケースに基づくものです。
対象地域では、1週間の事業中止や公共施設の閉鎖など、社会活動が一定程度制限されます。

愛知県内では14市町村が指定されている

愛知県全体で見ると、事前避難対象地域を指定しているのは以下の14市町村です(2025年10月1日時点)。

市町村指定されている地域の性格
名古屋市熱田区・中川区・港区・南区・緑区の一部(21学区)
豊橋市明海町、神野新田町、前芝町など臨海部・河口部の町丁
碧南市前浜町、中江町の一部(高齢者等が対象)
刈谷市港町、浜町、小垣江町などの一部(高齢者等が対象)
西尾市一色町、吉良町、小栗町などの一部(高齢者等が対象)
東海市 南柴田町イノ割
高浜市新田町二丁目
田原市伊良湖自治会、堀切自治会など(一部は高齢者等が対象)
愛西市西保町、森川町、立田町などの一部
弥富市佐古木、鍋田町、竹田、神戸などの一部
あま市七宝町安松、七宝町下田などの一部
大治町西條地区の一部
蟹江町蟹江新田、須成、富吉などの一部
飛島村新政成、梅之郷、渚などの一部
※上表は愛知県公表資料(2025年10月1日現在)をもとに整理したものです。町丁単位・自治会単位で細かく指定されているため、実際の該当可否は各市町村にご確認ください。
※「高齢者等が対象」と記載した地域は、住民全体ではなく高齢者等事前避難対象地域として指定されています。

ここから読み取れるのは、事前避難の対象は臨海部と河川沿いの一部に限られるという事実です。
ただし、愛知県全域が南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されている点は変わりません。
事前避難の対象外であることと、地震の影響を受けないことは別の話です。

対象地域外でも備えは必要

事前避難対象地域に該当しないエリアの方は、日常生活を続けながら備えを再確認することになります。
内閣府のガイドラインでは、この期間にとるべき「特別な備え」として、昼夜を問わず揺れを感じたり津波警報が発表されたりしたときに速やかに避難できるような状態を維持することが挙げられています。
具体的な内容は以下の通りです。

  • すぐに逃げ出せる態勢での就寝
  • 非常持出品の常時携帯
  • 危険な場所にできるだけ近づかない
  • 高いところに物を置かない

いずれも、揺れを感じてから避難を始めるまでの時間を短くしておくための行動です。
愛知県も、この期間に確認すべき点として、自宅の耐震性、家具の転倒防止、非常持ち出し品と備蓄、家族の安否確認方法、避難場所とそこまでの経路を挙げています。
なお液状化や浸水のリスクは地域によって大きく異なるため、自宅周辺のリスクを調べたうえで適切な備えをとれるようにしておきましょう。

出典
愛知県「南海トラフ地震対策
名古屋市「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)発表時に事前避難が必要な地域があります
内閣府「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン 概要版(令和7年8月改訂)

臨時情報の発表後1週間にとるべき行動

発表当日にやるべきこと

臨時情報が発表された直後は、テレビやSNSで大量の情報が流れます。
その中で優先度が高いのは、次の3つです。

①家族の居場所と安否確認手段の共有

平日の日中であれば、家族はそれぞれの職場や学校にいることが多いでしょう。
電話がつながりにくくなることを前提に、災害用伝言ダイヤルやメッセージアプリなど、どの手段で連絡を取るのかを共有しておくようにしましょう。

②自宅が事前避難対象地域かどうかを確認

事前避難対象地域に該当する場合は、市町村の呼びかけに従って避難します。
該当しない場合は、自宅にとどまりながら備えを整えることになります。

③非常持出品を手元に置く

飲料水、常備薬、懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリー、身分証明書などを1か所にまとめ、寝室や玄関など持ち出しやすい場所に移しておきましょう。
なお、この段階で買い物に出るより、すでに家にあるものを集める方が確実です。
臨時情報が「調査中」の段階で準備を始めておけば、より落ち着いて作業を進められます。

発表後1週間は「すぐ動ける状態」を維持する

「巨大地震警戒」が発表された場合、防災対応をとるべき期間は1週間です。
後発地震が発生しないままその1週間が経過した場合、国は警戒の呼びかけを解除したうえで、さらに1週間にわたって注意の対応を呼びかけます
この期間中に維持したいのは、次のような状態です。

  • すぐに動ける服装で就寝し、靴を枕元に置く
  • 非常持出品を持ち歩く、または常に手の届く場所に置く
  • 寝る場所の上や周囲に倒れてくる物を置かない
  • 家具の固定やガラスの飛散防止の状態を点検する

なお学校や仕事は原則として続きます。
事前避難対象地域の外では社会活動が継続されると名古屋市も明示しているため、旅行や外出を一律に取りやめる必要はありません
ただし行き先が沿岸部にあたる場合は、避難場所を事前に調べる等の対策をとっておくと良いでしょう。

呼びかけが終わったあとの対応

国による呼びかけが終了したからといって、地震が起きる可能性がなくなるわけではありません。
臨時情報には気象警報のような「解除」という区切りがないため、気持ちの整理を自分たちでつける必要があります

現実的な着地点は、1週間の特別な備えを解いたあとも、家具の固定や備蓄といった日常の備えはそのまま残しておくということです。
臨時情報のたびに一から準備し直すのではなく、平常時の水準を一段引き上げておくことで、次に情報が出たときの負担が軽くなるでしょう。

出典
気象庁「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)に伴う政府としての特別な注意の呼びかけの終了について

住まい選びの段階で地震対策を考える

立地|事前避難対象地域かどうかは購入前に調べられる

検討している土地が事前避難対象地域に含まれるかどうかは、愛知県や市町村が公開している資料で契約前に確認することができます
またあわせて押さえておきたいのが、津波災害警戒区域です。
この区域内の物件を取引する場合、宅地建物取引業法にもとづき重要事項として説明することが義務づけられています。

ただし説明されるのは法令上の事項に限られるため、液状化のしやすさや浸水の深さ等は自身でハザードマップを開いて確かめる必要があります。
エリアごとの特性を踏まえた土地選びについては以下の記事をご参照ください。

建物|自宅にとどまれるかが避難生活を左右する

事前避難対象地域の外では、基本的に地震発生後も自宅で過ごすことになります。
そのため、自宅が想定される地震に対して十分な耐震性を備えているかを事前に確認しておくことが大切です。
すでに建っている家では、耐震診断や補強工事が必要となりますが、新築であればあらかじめこの条件を満たした状態で住み始めることができます

中央防災会議のワーキンググループが令和7年3月に公表した被害想定では、南海トラフ巨大地震による全壊焼失棟数は最大で約235万棟とされています。
建物の強さは、この数字の内側にいるかどうかを分ける大事な要素です。

設備|停電と断水を前提に考える

大きな地震のあとは、電気・水道・ガスが同時に止まる可能性があります。
自宅にとどまる前提で考えるなら、電気を自分でつくれる状態かどうかが生活の質を左右します。

たとえば太陽光発電を備えた住宅なら、停電時でも日中は電力を使える可能性があり、冷蔵庫を動かす、情報を得る手段を確保するといった行動を続けられます。
東新住建の発電シェルターハウスは、太陽光発電を標準搭載したうえで、国土交通大臣認定を受けた壁量4.3倍の耐力壁を用いた2×4工法と、砕石パイル工法による地盤補強および20年間の地盤保証を組み合わせた住宅です。

建物と設備を一体で満たす選択肢として検討する価値があるでしょう。
導入コストと回収年数については以下の記事で詳しく解説しています。

出典
愛知県「津波災害警戒区域の指定について

南海トラフ地震臨時情報に関するよくある質問

Q1. 臨時情報が出たら仕事や学校は休みになりますか?

事前避難対象地域では、1週間の事業中止や公共施設の閉鎖など社会活動が一定程度制限されます。
一方、対象地域の外では、日常生活を送りながら備えを再確認することが基本で、社会活動は継続されます
勤務先や学校の対応は個別に判断されるため、それぞれの案内を確認してください。

Q2. 賃貸と持ち家で対応は変わりますか?

臨時情報が出たときにとるべき行動そのものは変わりません。
違いが出るのは、建物の安全性に手を入れられるかどうかです。

持ち家であれば耐震補強や設備の追加を自分の判断で進められますが、賃貸では管理者との調整が必要になります。
なお家具の固定や備蓄といった室内の対策は、どちらでも今日から取り組めます。

Q3. 臨時情報が出ないまま地震が起きることはありますか?

あります。
気象庁は、南海トラフ地震の発生前に必ずしも異常な現象が観測されるとは限らず、臨時情報を発表していなくても南海トラフ地震が発生することがあると明記しています。
そのため臨時情報を待つのではなく、日頃から備えておくことが大切です。

Q4. 事前避難対象地域の土地は避けた方がよいですか?

事前避難対象地域は、後発地震が起きた際に避難が間に合わないおそれがある地域として指定されたものです。
被害が最も大きい地域を示すものではないため、指定の有無と合わせてハザードマップ上の浸水深、避難場所までの距離等を並べながら確認するようにしましょう。

Q5. 発生確率が2つ示されているのはなぜですか?

地震調査委員会は2025年9月、南海トラフの長期評価を一部改訂し、今後30年以内の発生確率として「60%〜90%程度以上」と「20%〜50%」の2つを示しました。
計算方法が2種類あり、どちらが適当かは科学的に優劣をつけられないためです。
ただし委員会は、どちらも3段階のうち最も高いランクに分類されるとしたうえで、防災対策では高い方の確率を念頭に行動してほしいとしています。

まとめ

  • 臨時情報は4種類のキーワードで発表され、事前避難を伴うのは「巨大地震警戒」のみ
  • 愛知県内で事前避難対象地域を指定しているのは14市町村で、名古屋市では5区21学区の一部にとどまる
  • 自宅が対象かどうか、建物が揺れに耐えられるかは、住まいを選ぶ段階で確認できる

南海トラフ地震臨時情報は、突然の避難を強いる情報ではなく、備えを点検する合図です。
そして点検の結果を左右するのは、住む場所と建物そのものの条件になります。
これから住まいを選ぶなら、ハザードマップと耐震性能を、間取りや価格と同じ優先度で確認することが大切です。

《完成済み》
DUPレジデンス
フレスト一社駅
2,480万円~
《完成済み》
発電シェルターハウス
E-LOOP豊田市前山町
3,280万円~
《完成済み》
平屋回帰
岩倉市神野町
3,880万円
《ハーフオーダー》
平屋回帰
刈谷市泉田町II
4,480万円~