【かかった費用は1500万!】突然の床上浸水。その時、一体何をしたら?具体的な片付け方法や注意事項について

河川の氾濫や洪水、津波などで住居が浸水した場合、どのように対処すればいいでしょうか。2019年台風19号の際に床上2mまで浸水した家屋の手伝いに行った方の体験談を元に、浸水した時具体的に何をするか、どんなことが大変だったかについて解説していきます。また補償についても詳しくみていきます。

最初に写真を取る

床上浸水でも床下浸水の場合でも、その被害状況を写真に収めます。家の4方向と家の中を撮ります。罹災証明を取得する時や、保険会社への請求に使います。

 床上浸水の場合

1.家屋の周囲や内部が泥臭い場合、ハイターなどの家庭用塩素系漂白剤を濃い目に薄めたものを撒きます。そうすることで、臭気に悩まされないで作業できます。

2.家の中や周辺の不用品を片付けます。泥まみれになった場合、洗って再度使い直すことはあまり無いです。まだ使えるとしても臭いし汚いので、何度も洗わなければなりません。その労力を考えると、新品を買ったり、知人から譲ってもらったりしたほうがいいとのこと。処分しなかったものは、重要な書類・置き物などだけだったそうです。

泥だらけの冷蔵庫などは、表面がツルツルして持ちにくく、引っ越しで運ぶ時より何倍も大変です。また水分を吸ってしまった畳は二人では運べずにカッターで半分に切ってから屋外に搬出しました。

家族3人で住んでいる一般的な2階建ての住居でしたが、処分した不用品は軽トラックで2〜3台。農家だったので、農機具などを更に2台分を処分したそうです。作業する人数にもよりますが、ここまでで2日かかります。 

床下浸水の場合は以下の3から

 3.床板を剥がします。床下浸水の場合は、家具や畳を屋外に出してからになります。床上浸水で壁も水分を吸っている場合は、床と同じように壁も剥がします。水を吸ってしまった壁材は再度使うことはできないからです。床下はゴミや泥をスコップやほうき・ちりとりなどを使って出します。水が溜まっている場合は、排水用ポンプを使います。汚れがなくなるまで何度も水で洗い流します。最後に雑巾やスポンジで拭き取ります。

4.乾燥させます。小さな扇風機で風を送ります。その際、温風ではなく送風します。体験した方によると2程度かかったとのこと。季節や住居の規模によっては、1週間かかる場合もあります。生乾きのままではカビが発生する原因となり、嫌な臭いが発生します。しっかりと乾燥させてから次の作業に移ります。

5.乾いたら、ハイターなどの家庭用塩素系漂白剤を薄めて消毒します。泥臭い場合はニオイ消しになります。

6.さらに消石灰(しょうせっかい)を撒きます。1平方メートルにつき1キロを撒くと良いでしょう。見た目がきれいになっていても、下水の排水や泥の雑菌が残ると食中毒の原因にもなります。まんべんなく全体的に撒くようにします。

7.消石灰は家の周りにも撒きます。

 床上浸水した体験者はここまでで約1週間かかったそうです。乾燥に時間が要すれば、2週間近くかかる可能性もあります。

人手が足りない場合は、ボランティアをお願いします。大規模な災害の場合、ボランティアセンターが設置されます。詳しくは「浸水したときに荷物の移動や撤去を手伝うボランティアが必要なときは社会福祉協会へ」(https://www.saigaivc.com)を確認してください。 

作業するときの服装や注意点

長ズボン・長袖にマスク・軍手・長靴で作業します。消毒液を使うときは、ゴム手袋・メガネ(またはゴーグル)も必要です。作業の際はこまめに手洗い・うがいをしっかりしましょう。作業後は手指を消毒することも忘れずに。水分補給も大切です。家の中だけではなく、家の周辺も片付けます。地形によって泥が溜まりやすい場所があります。大洪水の場合は、周囲からゴミが集まってきます。そうすると、ゴミの片付けの時間と労力がかかります。体験者によると、泥が溜まっている場所での作業は思った以上に重労働だったそうです。根気のいる作業になります。

 新たに床を設置する時は?

浸水被害に遭った場合、周囲の家も同じように浸水するケースがほとんどです。床工事をお願いしようとしても、大工さん・工務店さんの手が足りず、いつまで経っても元の生活に戻れません。体験者の場合は、ホームセンターで床材を購入し大工仕事をしたことのある方にお願いして、住める状態にしたそうです。

補償について

火災保険は、ほとんどの場合「住宅火災保険」と「住宅総合保険」がセットになっています。そして、その住宅火災保険では水災を補償が補償されます。しかし最近は火災契約の内容が自分で選択できる保険会社もあります。ご自身の火災保険に水災補償があるかどうか確認してみましょう。

また水災補償を受ける場合、以下の要件を満たす必要があります。

  1.   建物(家財も含む)の保険価額の、3割以上の損害を受けたとき
  2.   「床上浸水」した場合、または「地盤面すなわち、建物が周囲の地面と接している位置より45センチを超える浸水に遭った場合」で、損害を受けたとき。これは、床下浸水でも適用される場合があります。具体的な例を挙げると、地盤面からフロアラインが55センチで、浸水した高さが46センチだった場合です。しかしほとんどの場合、床下浸水では保険は適用されないと思っておいたほうがいいでしょう。その場合は全額自己負担となります。

 水災補償以外の補償

床上浸水だった場合、家具などにも損害が及びます。火災保険の契約内容が家財も対象の場合、補償の対象になります。不要品を片付けるためにかかった費用は、残存物片付け費用保険金で補償してもらうことができます。しかし、保険の種類によっては、保険の対象外になっている場合もあります。保険契約内容を契約書で確認するか、保険会社に問い合わせしましょう。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

https://kasai.insweb.co.jp/floor-sinsui/

国や自治体の補償

市区町村の役所に浸水したことを報告すると、役所の職員が被害を調査します。そして、その被害の程度を証明する罹災証明書が発行されます。要件に該当すると国や都道府県から「被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給」がされます。また、自治体によって見舞金が出されます。税金や保険料の減免申請が可能となり、融資を利用することもできます。

お話をお伺いした体験者の方によると、今回の被害で元の生活に戻るまでにかかった費用は1,500万円。うち、800万円を水災補償で賄うことができたそうです。

平成29年水害統計によると、平成29年度の一般資産被害額は1,660億円。被災家屋1棟あたりの被害額は約600万円となっています。いずれにしても大金がかかることは間違いありません。

また、浸水被害が大きい場合、元の生活ができるまで、期間が3ヶ月以上かかる場合もあります。その間アパートを借りたり、親戚の家に身を寄せたりする必要があります。その期間出費がかさむと考えておいたほうが良さそうです。

 最後に

浸水被害に遭った場合、労力と根気が必要です。焦らずひとつずつの作業を行ってください。1日でも早く普段の生活に戻れるために、この記事がお役に立ったら幸いです。

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