住宅ローンの「借り換え」完全ガイド|変動から固定へ切り替えるべき3つの判断基準

日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%まで引き上げることを決定しました。
これは1995年以来、実に31年ぶりとなる高水準です。

こうした状況を受け、変動金利で住宅ローンを借りている方の中には「そろそろ固定金利に借り換えるべきか」と悩み始めた方も少なくないでしょう。
一方で、借り換えには諸費用がかかるため、タイミングを誤ると逆に損をしてしまう可能性もあります。

そこでこの記事では、現段階で借り換えを検討すべきかどうかを判断するための3つの基準を解説します。
名古屋・愛知エリアで住宅購入を検討している方はもちろん、すでに住宅ローンを返済中の方もぜひ参考にしてみてください。

借り換えを検討する人が増えている背景

日銀の利上げが借り換え検討の引き金に

2026年6月16日の金融政策決定会合で、日本銀行は政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げることを正式に決定しました。
政策金利の上昇は、住宅ローンにおける変動金利の基準となる短期プライムレートにも影響を及ぼします。
すでに変動金利で借り入れている方の中には、今後の返済額の増加を見据えて、固定金利への借り換えを意識し始めたという方も少なくないでしょう。

日銀による利上げの経緯と、変動金利への影響やすべき準備については、以下の記事で詳しく解説しています。

借り換えのきっかけは「インターネットでの情報収集」が最多

住宅金融支援機構が実施した「住宅ローン(借換え)利用者調査」(2025年4月調査)によると、借り換えを検討したきっかけとして最も多かったのは「インターネット(住宅ローン比較サイト等)」で26.2%でした。
次いで「収入・支出の変化による家計の見直し」が18.1%、「金融機関からの案内(返済予定表)」が16.1%と続きます。
なお「政策金利引き上げ等のニュース」をきっかけとした回答は11.0%にとどまっており、ニュースそのものよりも、日々の家計管理の中で借り換えに気づくケースが多いことがうかがえるでしょう。

借り換えの理由は金利タイプによって異なる

同調査では、借り換え後にどの金利タイプを選んだかによって、借り換えの理由にも違いが見られます。
借り換え後に「変動型」を選んだ方は、「(借換えにより)金利が低くなるから」が42.4%と最多でした。
一方、借り換え後に「固定期間選択型」または「全期間固定型」を選んだ方は、「今後の金利上昇や毎月の返済額増加が不安になったから」が最も多い理由となっています。

つまり金利の低さを求めて動く層と、将来の不安を解消するために動く層の2つが存在するということです。
自分がどちらの動機で借り換えを検討しているのかを整理しておくと、次章で紹介する判断基準にも当てはめやすくなるでしょう。

出典:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年6月16日)/住宅金融支援機構「住宅ローン(借換え)利用者調査(2025年4月調査)

借り換えで得をする人の3つの判断基準

借り換えは「金利が下がるから得」と単純に言い切れるものではなく、返済期間や諸費用まで含めた総合的な条件で判断することが大切です。
ここでは、判断のベースとなる3つの基準を見ていきましょう。

基準1|金利差がどのくらいあるか

借り換えの効果を左右する最も基本的な要素が、現在の借入金利と借り換え後の金利との差です。
金利差が大きいほど、月々の返済額や総返済額の圧縮効果も大きくなります。

住宅金融支援機構の調査でも、借り換えによって実際に金利差が生まれていることが確認できます。
借り換え前の借入金利は「年1.0%超~年1.5%以下」の割合が最も多かったのに対し、借り換え後は「年0.5%超~年1.0%以下」の割合が最も多くなっており、多くの人が借り換えによって金利帯を1段階下げることに成功しているといえるでしょう。

ただし、金利差がわずかな場合は、後述する諸費用によって効果が相殺されてしまうケースもあるため注意が必要です。
金利差だけで判断せず、他の基準とあわせて確認することが大切です。

基準2|残りの返済期間と借入残高

金利差が同じであっても、残りの返済期間が長いケースや、借入残高が大きいケースでは、借り換えによる総返済額の圧縮効果が大きくなりやすいという性質があります。
利息は「借入残高×金利」で計算されることから、この2つの数値が大きいほど、金利差1%あたりの利息軽減額も大きくなるためです。

反対に、残りの返済期間が短い場合や、借入残高がすでに少なくなっている場合は、金利差があっても圧縮できる総額は限られます。
借り換えを検討する際は、「あと何年、いくら残っているか」を必ず確認した上で試算することが大切です。

基準3|諸費用を含めた損益分岐点で考える

借り換えの際は、新たな借入れに伴う諸費用が発生します。
金利が下がっても、諸費用がそれを上回れば、結果的に損をしてしまう可能性があるため、諸費用を含めた損益分岐点で判断することが欠かせません。

代表的な諸費用のひとつが、抵当権の設定登記にかかる登録免許税です。
国税庁の税額表によると、抵当権設定登記の登録免許税は原則として債権金額(借入額)の0.4%とされています。
このほか、事務手数料や司法書士報酬なども踏まえておく必要があるでしょう。

なお、フラット35の借換融資を利用する場合、住宅金融支援機構の公式案内によれば保証料と繰上返済手数料は不要とされています。
こうした諸費用の内訳や金額は金融機関によって異なるため、借り換え後の金利だけでなく諸費用の総額まで含めてシミュレーションを行い、そのうえで判断することが大切です。

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」/住宅金融支援機構「借換融資のご利用条件

変動から固定への借り換えシミュレーション

借り換えによる金利タイプの変化

住宅金融支援機構の調査によると、借り換え前後で最も多い金利タイプは変わらず「変動型」でした。
金利タイプ別に見ると、傾向ははっきり分かれています。
借り換え前が「変動型」だった方は、81.8%が借り換え後も変動型を選択しており、同じタイプを維持する傾向が強く出ています。

一方、借り換え前が「全期間固定型」だった方は、46.3%が全期間固定型を継続したものの、38.9%は変動型へ借り換えており、変動型ほど「同じタイプを維持する」傾向は強くありませんでした。
つまり、変動型を選んでいた人は変動型のまま借り換える傾向が強く、全期間固定型を選んでいた人はタイプの選び直しが起きやすいという違いが見られます。

このように、借り換え後も変動型を選ぶ方が多数派であることは事実です。
一方で、借り換え前が変動型だった方のうち14.8%は固定期間選択型へ、2.8%は全期間固定型へと、一定数は固定型への切り替えを選んでいます。
少数派とはいえ、「返済額を確定させたい」というニーズを持つ層は確実に存在するといえるでしょう。

フラット35借換融資を使った試算例

ここでは、フラット35の借換融資を使って変動金利から固定金利へ借り換えた場合の試算例を紹介します。
なお以下はあくまで試算用の仮定であり、実際の金利や返済額は金融機関の審査結果によって異なる点に留意してください。

  • 借入残高:2,000万円
  • 残りの返済期間:25年
  • 借り換え後の金利:年3.14%(2026年7月・フラット35借換融資の金利、融資率9割以下・新機構団信付き)
  • 返済方法:元利均等返済

この条件で試算すると、借り換え後の毎月の返済額はおよそ9万6,000円、総返済額はおよそ2,889万円となります。
仮に借り換え前の金利が今回の試算(年3.14%)よりも低い水準であった場合、固定金利への借り換えは総返済額を増やす可能性があります。

どの程度の差が生まれるのか、借入残高2,000万円・残り25年・元利均等返済という同じ条件で、借り換え前の金利水準を変えて試算してみましょう。

借入金利毎月の返済額総返済額借り換え後(年3.14%)との差
年0.5%約7.1万円約2,128万円約761万円増
年1.0%約7.5万円約2,261万円約628万円増
年1.5%約8.0万円約2,400万円約489万円増
年3.14%(借り換え後・フラット35)約9.6万円約2,889万円
※実際の返済額は金融機関の審査結果によって異なります。
※比較対象とした年0.5%・1.0%・1.5%は、JHF「住宅ローン(借換え)利用者調査」で示された借り換え前の借入金利帯の区分を参考にした仮定の水準であり、現在の市場金利の実勢値を示すものではありません。

借り換え前の金利が低い水準であるほど、固定金利へ切り替えた際の総返済額の増加幅が大きくなることが分かります。
固定金利への借り換えを検討する際は、「今の金利が思ったより低かった」ということがないよう、借入時の契約書やインターネットサービスで現在の適用金利を必ず確認してから判断しましょう。
固定金利への借り換えの目的は「総返済額を必ず減らすこと」ではなく、「将来の金利上昇リスクを遮断し、返済額を確定させること」にある点を踏まえて検討することが大切です。

金利差だけでなく「安心料」という視点も

前章で整理した3つの判断基準は主に金額面の損得に関するものですが、固定金利への借り換えには返済額が変わらない安心感という金額に換算しにくい価値もあります。
とくに、今後の収入減少やライフイベントによる支出増を見込んでいる方にとっては、多少の総返済額の増加を許容してでも、返済額を固定するメリットの方が大きい場合があるでしょう。
逆に、手元資金に余裕があり、金利上昇時も繰上返済で対応できる方であれば、変動金利を維持するという選択肢も十分に合理的です。

出典:住宅金融支援機構【フラット35】「新規借入れをご検討の方」(2026年7月現在の金利情報)

借り換えの条件と手続きの流れ

借り換えの条件とは

借り換えを行うには、新たに借り入れる住宅ローンの審査基準を満たす必要があります。
ここでは、フラット35の借換融資を例に、主な条件を確認しておきましょう。

住宅金融支援機構の公式案内によると、フラット35の借換融資には主に以下の条件が設けられています。

  • 申込時の年齢が満70歳未満であること
  • 総返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)が、年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下であること
  • 住宅取得時の借入日から借り換えの申込日まで1年以上経過していること
  • 借り換えの申込日前日までの1年間、正常に返済していること

借り入れて間もない方や、返済が遅れがちな方は、借り換えの対象にならない可能性があるため注意しましょう。
このほか、床面積の要件(一戸建てはおおむね50㎡以上、マンションなど共同建ては30㎡以上)や、住宅金融支援機構が定める技術基準への適合も条件に含まれます。
借り換え先の金融機関によって取り扱いが異なる場合もあるため、事前に複数の金融機関へ相談し、条件を確認しておくことをおすすめします。

借り換え後も住宅ローン控除を適用できる?

借り換えを検討する際、見落とされがちなのが住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の扱いです。
国税庁の案内によると、借り換えによる新しい住宅ローンは、原則として住宅ローン控除の対象にはなりません。
ただし、次の要件をすべて満たす場合は、借り換え後の借入金についても引き続き控除を受けることが可能です。

  • 新しい住宅ローンが、当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明らかであること
  • 新しい住宅ローンの償還期間が10年以上であることなど、住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること

また控除の対象となる年末残高は、借り換え直前の当初ローンの残高を上限として計算される仕組みになっています。
借り換えによって控除が受けられなくなる、あるいは控除額が想定より少なくなるケースもあるため、借り換えを申し込む前に、現在の年末残高や控除の残り適用年数を確認しておくことが大切です。

借り換えの手続きの流れ

条件を確認できたら、実際の手続きに進みます。
借り換えの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 複数の金融機関の商品を比較検討し、借り換え先の候補を絞り込む
  2. 金融機関に事前審査(仮審査)を申し込む
  3. 事前審査に通過後、必要書類を準備して本審査に進み、金銭消費貸借契約を締結する
  4. 契約後、融資が実行され、その資金で現在の住宅ローンを一括返済する
  5. 旧ローンの抵当権抹消登記と、新ローンの抵当権設定登記を行い、手続きが完了する

候補を絞り込む段階では、前章の試算のように金利差だけでなく諸費用まで含めたシミュレーションを行っておくと、後の判断がスムーズになります。

なお現在の住宅ローンを全額繰上返済する際には、金融機関ごとに定められた繰上返済手数料がかかる場合があります。
借り換え全体にかかる諸費用を把握する際は、新しいローンの諸費用だけでなく、旧ローンを完済する際の手数料も含めて確認するようにしましょう。

出典:住宅金融支援機構【フラット35】「借換融資のご利用条件」/国税庁 No.1233「住宅ローン等の借換えをしたとき

借り換えに関するよくある質問

Q. 借り換えの審査に通らないことはある?

あります。
フラット35の借換融資の場合、総返済負担率の基準(年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下)を超えていたり、住宅取得時の借入日から1年以上経過していなかったりすると、条件を満たさず借り換えができません。

また直近1年間の返済に延滞があると、審査に通らない可能性が高くなります。
借り換えを検討する際は、まず自分がこれらの条件を満たしているかを確認することから始めてください。

Q. 借り換えの申込み時点と、実際の融資実行時点で金利が変わることはある?

あります。
住宅金融支援機構の公式案内によると、フラット35の借換融資では申込時ではなく、資金を受け取る時点の金利が適用されるとされています。
借り換えの手続き中に市場金利が変動した場合、申込時に想定していた金利と、実際に適用される金利にずれが生じる可能性があるということです。
とくに金利が上昇局面にある時期は、審査に時間がかかるほど、想定より高い金利が適用されるリスクがある点に注意してください。

Q. ペアローンや収入合算で借りている場合も借り換えはできる?

条件を満たせば可能です。
住宅金融支援機構の公式案内によると、借り換えの申込みは原則として借換対象となる住宅ローンの債務者と同一人物であることが必要ですが、借り換えに伴って債務者を追加することも可能とされています(連帯債務者を含めて2名まで)。
ただし、債務者を追加する場合や、借り換えに伴って住宅の持分を変更する場合は、住宅ローン控除の扱いなど税金に関する取り扱いが変わることがあるため、最寄りの税務署や税理士に確認することをおすすめします。

まとめ

  • 2026年6月、日銀の政策金利は1.0%まで引き上げられ、変動金利で借りている人の中には固定金利への借り換えを意識し始めた方も増えている
  • 借り換えで得をするかどうかは「金利差」「残りの返済期間・残高」「諸費用を含めた損益分岐点」の3つの基準で総合的に判断する必要がある
  • フラット35の借換融資には年齢や返済負担率などの独自条件があり、住宅ローン控除の継続にも別途要件を満たす必要がある

借り換えは、金利が下がるという一点だけで判断すると、諸費用や控除への影響を見落としてしまうことがあります。
まずは自分の借入条件を整理した上で、複数の金融機関を比較しながら、総返済額と安心感の両面から検討することが大切です。
住宅ローンの借り換えについて具体的に相談したい場合は、東新住建までお気軽にお問い合わせください。

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