知っていますか?バリアフリー法と障害者差別解消法

バリアフリーという言葉を知らない人は少ないかもしれませんが、バリアフリーの実態について詳しく知っている人は多くないはずです。今回は概念やバリアフリー法、障害者差別解消法について解説していきます。

そもそもバリアフリーの概念とは?

バリアフリーという言葉を聞くと、自宅前のスロープや階段に手すりを設置することを思い浮かべる方も多いでしょう。「バリアフリー」は英語ではなく、日本で生まれた言葉です。「障害物(バリア)」が無い。という意味の言葉として使われています。同じ意味の言葉で「ユニバーサルデザイン universal design 」「アクセシビリティ accesibilty」という言葉もあります。こちらはちゃんとした英語です。最近では、バリアフリーに変わって、これらの言葉が使われることも増えてきました。

「バリアフリー」のバリア(障害物)とは、単に物理的な障害物だけを指すわけではありません。一部の人にとって障害と感じられるような制度的なバリアや文化・情報面でのバリア、意識上のバリアも、可能な限り取り除く必要があると考えられています。

2006年に施行されたバリアフリー新法

かつて、病院やデパートなどの不特定かつ多数の人が利用する建物を対象とした法律「ハートビル法」と、鉄道などの交通機関を対象とした「交通バリアフリー法」がありました。この2つの法律を統合したものが「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー新法)」で、2006年から施行されています。

旧法の対象者は高齢者と身体障害者でしたが、新法では身体障害者だけでなく精神や知的などすべての障害者が対象となりました。(旧法は新法が施行されることに伴い廃止されています)

新法では急激な高齢化に対応するべく市町村による重点整備地区を設定。駅から市区町村役場や病院などの頻繁に利用されるルート上の、バリアフリー化を促進することを目的として施行されました。一定の基準を超えた建築物は、原則としてバリアフリーの設備がなければなりません。新しく建てられたデパートなどには、車いすで利用できるトイレが設置されていますし、ノンストップバスを頻繁に見かけられるようになったこと、階段がある場所には手すりが設置されていることは新法が施行されたおかげです。

バリアフリー新法の基準

バリアフリー化をしなければならない建築物や基準は決まっています。建築物の種類には特定建築物と特別特定建築物の2種類があります。

特別特定建築物は床面積が2000㎡以上、不特定かつ多数が利用する、または主に高齢者が利用する建築物に適用されます。たとえば病院や診療所、百貨店、保健所や税務署などの不特定かつ多数の者が利用する官公署があります。なお床面積が2000㎡以下でも、地方公共団体が床面積の基準を下げているところもあります。

特定建築物には学校や病院、共同住宅や公衆便所などがあります。

出入口や廊下、エレベーターおよびその乗降ロビーや便所などには、建築物移動等円滑化基準(義務基準)や建築物移動等円滑化誘導基準(誘導基準)があります。誘導基準はいわば努力目標のようなものです。

たとえば出入口の義務基準は80cm以上、誘導基準は90cm以上(直接地上に通じる出入口は120cm以上)になっています。廊下等は廊下の幅が義務基準の場合は120cm以上、誘導基準は180cm以上です。便所の主な基準として車いす使用者用の便房の数については義務基準が建物に1以上、誘導基準は各階に原則2%以上。オストメイト対応水洗器具を設けた便房の数については、義務基準は建物に1以上、誘導基準は各階に1以上となります。

公共施設の多くがこの対象に当てはまります。

2018年にバリアフリー新法の一部改正が行われた理由

バリアフリー新法が施行されてから12年。さまざまな課題が表面化してきています。2020年には東京オリンピック・パラリンピックも開催予定だったため、高齢者や障害者に対する配慮が海外からも注目されていました。そのような理由から2018年11月に政府はバリアフリー新法の一部改正を行いました。

表面化した課題として「ハード面やソフト面」、「地域の取り組み」、「利用のしやすさ」の3つがあります。

ハード面やソフト面に関しては、ハード面でのバリアフリー化をより一層進めていくことと、駅員などの支援をしていく人材を教育していく必要性があります。

利用しやすさについては空港アクセスバスや長距離バスのバリアフリー化が必要なことと、建築物等に関してバリアフリー情報を利用者に提供すること、障害者が利用したときの評価や視点を反映させることが必要なことです。

障害者差別解消法について

障害があることによって不当な差別を受けることがあってはいけませんし、生活がしづらいことがあってもいけません。そのために障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(通称:障害者差別解消法)が2013年に制定されました。

不当な差別的扱いとは、学校受験や入学を拒否することや受付での対応を断ることなどが上げられます。また合理的配慮とは、書類の記入をするときに本人でなくても記入ができるものなら代わりに書くことや、段差があるところはスロープを使って補助をすることなどです。

どんな人でも暮らしやすい社会を

バリアフリー化が進むことで、今までに活躍してこなかった人たちが社会に参加できるようになっていきます。そのことによって日本の未来もより良い方向へ変化していくことになっていくことでしょう。

バリアフリー法 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/barrier-free.html

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