梅雨が明け、晴れ間の見える日が増えてきましたが、これからの季節に注意したいのが「線状降水帯」です。
この記事では、線状降水帯の特徴と、発生時の対策について解説していきます。
愛知県でこれまでに発生した線状降水帯による被害などもまとめているので、水害の起きやすい地域の方は早めに対策方法をチェックして備えておきましょう。
線状降水帯ってどんな現象?
まずは、線状降水帯がどのような現象なのか、メカニズムや特徴について詳しく見ていきましょう。
線状降水帯の特徴
線状降水帯とは、激しい雨を降らせる積乱雲が線状に発生している状態のことです。
明確な定義づけはされていないものの、おおよそ線状に見える雨雲が連続し、停滞することで集中豪雨をもたらす状態をこのように呼んでいます。
具体的には、長さ50~300km程度、幅20~50km程度の雨域を指す場合が多いようです。
線状降水帯が発生する条件やメカニズムについてはいまだ明らかになっていませんが、線状降水帯が発生しやすいポイントとして以下の3つが挙げられています。
- 雲の元となる暖かく湿った空気が流入し、山や冷たい前線とぶつかるなどして上昇
- 積乱雲を生みやすい不安定な大気状況
- 積乱雲を流しては生む一定方向の風
しかしこれらの気象状況を一般人が判断することは難しく、天気予報で線状降水帯の発生が発表されてから対策を講じるというのが現状です。
梅雨・ゲリラ豪雨との違い
線状降水帯は雨を降らせる積乱雲の連なりを指すものですが、梅雨やゲリラ豪雨とはどのように違うのでしょうか。
まず梅雨ですが、これは温かい空気と冷たい空気がぶつかることで発生する「梅雨前線」によるものです。
日本では5月~7月頃に梅雨前線が発生し、長期間にわたって雨の多い日が続きます。
またゲリラ豪雨とは、局地的に積乱雲が発生し、一部の地域で突然強烈な雨が降り出す現象のことです。
線状降水帯のようにまとまった地域で雨が降るのではなく、限られた地域だけで大雨となるため、ゲリラ豪雨と呼ばれています。
線状降水帯が発生したときの注意点
続いて、線状降水帯の発生が発表されたときに行った方が良い対策・注意点を解説していきます。
また愛知県で過去に発生した線状降水帯による被害も合わせて見ていきましょう。
大雨発生時の対策
線状降水帯の発生が発表された場合、その後数時間にわたって大雨となる可能性があります。
また発表された時点ですでに雨が降っている場合もあるため、以下のような点に注意して対策をとることが大切です。
- 外出や屋外での作業を避ける
- 川沿い・海沿いに近づかない
- 避難所への避難・垂直避難・在宅避難など、状況に応じて適切な避難を行う
- 気象情報・自治体からの避難情報を随時確認する
愛知県で発生した線状降水帯による過去の被害
日本では集中豪雨発生時に線状降水帯が発生するケースがしばしば見られ、その頻度は年々増加傾向にあります。
愛知県も例外ではなく、過去に発生した「東海豪雨」(平成12年9月)では、各地に大きな被害を残しました。
これは台風14号の影響で形成された線状降水帯によるもので、名古屋の1時間の雨量は97.0mm、日降水量は428.0mmを観測し、いずれも過去の記録を更新しています。
名古屋市内を流れる新川や天白川などが氾濫し、22,000棟以上で床上浸水となるなど甚大な被害となりました。
このように、線状降水帯は広範囲に被害をもたらす現象であるため、巻き込まれると復旧までに時間がかかる可能性が高いです。
日頃から食料や飲料水・非常用セットなどを整え、万が一の場合に備えておくことが大切です。
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