相続した不動産を売却するにはどのような手続きが必要となるのか

不動産は相続してから売却するまでに様々な段階を踏む必要があります。それだけでは終わらず、売却した後にも必要となる手続きがあります。
相続が発生した時に慌てないためにも、不動産の相続から売却後の流れについて一度確認しておきましょう。

遺産分割協議書を作成する

法律によって定められた相続割合(法定相続分)に従って不動産を相続する場合には遺産分割協議書を作成する必要はありません。
しかし、法定相続分は必ずその通りにしなければならないというわけではなく、相続人の間で協議を行うことにより、相続割合を自由に定めることができます。そして、その場合遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺産分割協議書には決まった書式などはなく、基本的には自由に作成することができます。
しかし、一定の要件を満たしていなければ遺産分割協議書として認められないこともあります。
間違った遺産分割協議書とならないよう、下記の事項について特に注意して作成してください。

遺産分割協議を行う

遺産分割協議書の作成前に遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどのような割合で相続するのかについて定めなければなりません。

遺産分割協議は相続人が確定し、相続財産についての財産調査が終わってから、相続人全員で行うようにしてください。これらの要件を満たさない遺産分割協議は無効となることがあります。

遺産分割協議書に必要な項目

遺産分割協議書には最低限下記の項目を盛り込む必要があります。特に難しい部分はありませんが、念のため確認しておきましょう。

被相続人について

被相続人(亡くなった方)について下記のような情報を明記する必要があります。
・名前
・本籍
・住所
・死亡日

相続財産の内容

土地や建物、金融資産など相続の対象となる財産全てを記載します。土地や建物の場合は、所在や地番、地目、地積などの記載も必要となります。

相続財産について記載漏れがあった場合、漏れていた分について再度遺産分割協議書の作成が必要となってしまいます。
相続財産の内容に漏れが無いよう、注意して記載しましょう。

また、新たに相続財産が見つかりそうな場合には、新たに相続財産が見つかった場合の取り扱いついても併せて記載しておきましょう。
あらかじめ処分方法を定めておくことにより後の争いを防ぐことができます。

各相続財産における承継人

誰がどの財産について相続するのか記載します。その際、条件や代償金について取り決めがある場合にはそれについても必ず明記してください。

相続人の全員の署名と実印での押印

相続人全員が合意した証として署名と押印を行います。押印は実印でなければなりません。署名は印刷で代用することも可能ではありますが、トラブル防止のためにも自筆で署名するべきでしょう。署名の際は名前だけでなく、住所も忘れずに記載する様にしてください。

成立の日

遺産分割協議がいつ成立したのか記載します。成立日は遺産分割協議書に全員の署名と押印がなされた日とします。相続人によって署名と押印の日付が異なる場合、最後に署名と押印の行われた日を成立日とすることが一般的です。

その他

作成する遺産分割協議書は容易に書き換えができないように、パソコンでの印字や、ボールペンなどを使用して作成することとされています。
また、作成する内容が複数枚に渡ってしまう場合は、左上をホッチキスで綴じ、各ページの境に相続人全員の実印で割り印を押す必要があります。また、後の争いを避けるためにも相続人全員分の遺産分割協議書を作成し、各自保管しておくことが望ましいです。

相続した不動産の名義変更を行う

相続した不動産を売却するには、被相続人から相続人へと名義変更をする必要があります。
この名義変更は所有権移転登記と言い、被相続人から相続人へ所有権を移す登記となります。

所有権移転登記の申請先

所有権の移転登記は、対象となる不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。被相続人の住所地とは限らないことに注意してください。

所有権移転登記に必要な書類

所有権移転登記には下記のような書類が必要となります。その際、必要となる書類は全て原本であることが求められます。コピーでは申請を受け付けてもらうことができません。

登記申請書

登記に必要となる申請書は法務局のホームページからダウンロードすることができます。
また、必要事項を白いA4の用紙に直接記載して作成する方法でも問題ありません。
申請書への記載はパソコンでの印刷やボールペンなど、簡単に消えない方法で記載してください。
鉛筆や摩擦によって薄くなってしまう種類のインクで記載した申請書では登記を受け付けてもらうことができません。

被相続人の戸籍謄本

被相続人の死亡から出生までの戸籍謄本が必要となります。
本籍がほとんど動いていない人であればさほど手間はかからないのですが、本籍が何度も移動している人の場合は集めるのが大変になります。
取得の際は役所の窓口で「相続に使用するため可能な限り遡って欲しい」と伝えると確実です。

被相続人の住民票の除票または戸籍の附票

被相続人の証明に必要となるため必ず本籍地について記載されているもので揃えるようにしてください。

相続人全員の戸籍謄本

相続人全員の戸籍謄本です。したがって、不動産を相続しない相続人についても戸籍謄本が必要となります。また、被相続人の死亡時に生存していたことを証明するため、必ず被相続人の死亡後に発行されたものであることが求められます。

住民票または戸籍の附票

不動産を相続する相続人の住所証明書としての役割を果たします。そのため、不動産を相続しない相続人については不要です。また、不動産登記においてマイナンバーは不要であるので、マイナンバーの記載されていない住民票を添付するようにしてください。

遺産分割協議書と印鑑証明書

遺産分割協議書に押印した印鑑の印鑑証明書を添付する必要があります。別の印鑑の証明書と間違えないよう注意してください。

固定資産評価証明書

市町村役場で入手することができます。地域によっては呼び方が多少異なることもあります。役場に問い合わせて確認すると良いでしょう。

委任状

相続人のうちの一人が代表して登記申請を行う場合、他の相続人の委任状が必要となります。

その他

状況によっては上記の他にも書類の添付を求められることがあります。申請にあたっては、申請先の法務局と相談のうえ確認するようにしてください。

添付する書類は原本が基本

登記の申請に使用する書類は原本であることが原則で、添付した書類は返還されません。
返還を希望する場合は、希望する書類をコピーし、「原本に相違ありません」と記載し、署名と押印をすることにより原本が返還されます。ただし、登記申請のためだけに作成したものや印鑑証明書などは返還を請求することができないため注意が必要です。

所有権移転登記に必要な費用

相続を原因とする所有権移転登記には登録免許税が必要となります。
登録免許税の額は固定資産課税台帳に記載されている価格の1,000分の4です。

算出された価格において1,000円未満の端数がある場合は切り捨てとなります。
算出された価格が1,000円に満たない場合は1,000円となります。

申請の方法

登記の申請は、不動産の所在地を管轄する法務局の窓口へ必要書類を持参して行うことが基本となっていますが、郵送による申請やオンライン上での申請も可能となっています。
法務局の業務時間内に窓口へ出向くことが難しい場合は、これらの方法により申請するとよいでしょう。

仲介業者へ売却の仲介を依頼する

不動産の売却に関する手続きを全て自身で済ませようとすると、多くの時間と費用が必要となってしまい非効率です。そこで不動産の売却を専門としている仲介業者に仲介を依頼すると良いでしょう。
仲介業者へ依頼することにより、時間と費用を最小限に抑えつつも、仲介業者の交渉力により高値で不動産を売却することができます。

売却する不動産に合わせて業者を選ぶ

一口に不動産の売却と言ってもマンションタイプや一戸建て、あるいは土地など、不動産には様々なパターンがあります。
仲介会社によっても得意な分野が異なるため、売却予定の不動産について得意としている仲介業者を選びましょう。

相性のいい担当者を選ぶ

会社だけでなく、営業担当の方との相性も重要です。いくら不動産の売却に強い仲介業者であっても、実際に対応する担当の方との相性が悪ければ意味がありません。
同じ仲介業者の会社内であっても営業担当者の方の質についてはどうしてもバラツキが生じてしまいます。
こちらのニーズを汲み取ったうえで、責任を持って仕事にあたってくれる営業担当の方を選びましょう。
営業担当の方とどうしても相性が合わず、変更もできない場合には仲介業者を変えたることも検討してください。

実際に売却する

仲介業者が決まり次第、売却に向けて進めていきます。現状のまま売却するのか、それとも地目を変更するのかなど、売却にあたっては地域や様態によって様々な戦略が考えられます。仲介業者と二人三脚で戦略を練りながら売却を進めましょう。

戦略について安心して相談することができるよう、仲介業者を選ぶにあたっては妥協することなく本当に信頼することができる業者を選ぶようにしてください。

変形地でも、車が入れなくても。すぐに買い取ります。

売却後は確定申告を

不動産の売却によって利益が発生した場合は確定申告によって「譲渡所得税」という税金を納める必要があります。
逆に売却によって損失が発生してしまった場合には確定申告する義務はありません。
しかし、その損失を給与所得など、他の所得と損益通算することもできるため、損失が発生してしまった場合でも確定申告はしておくべきだと言えます。
確定申告はいつでも行えるわけではありません。毎年2月から3月の間の決められた時期にのみ行うことができます。
確定申告の手続きは少々複雑ではありますが、確定申告の時期には役所内に臨時で相談窓口が設置されていることもあります。
確定申告を単独で行うことが難しい場合には役所と相談しながら対応すると良いでしょう。

相続から確定申告まで、慌てず順番に対応しましょう

相続した不動産を売却するためのステップは大まかに説明すると以下の順序となります。

①必要に応じて遺産分割を行う

②所有権移転の登記を行う

③仲介業者を選んで売却する

④確定申告を行う

登記や確定申告にあたっては様々な法律問題が関わってくるため、確実に対応していきましょう。
権利関係が複雑になってしまうと個人での対応が難しいこともあります。
個人の力で対応することが難しい感じた場合には思い切って専門家に依頼するとよいでしょう。
相続に関する問題は突然に訪れます。そのような状況の中、売却までスムーズに行うためには慌てず確実に対応していくことが大切です。

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