最近話題になってきている「不動産特定共同事業」は、不動産を数人〜数十人でシェアして、その収益を配分しましょう。という仕組みです。それでは、よく聞くREIT(リート)とは何が違うのでしょうか?その違いについて解説します。
REITとは?
REITとは、Real Estate Investment Trustの略です。元々はアメリカで生まれた仕組みで、それを日本版としてアレンジする際に「J-REIT」という名前になりました。

J-REIT投資法人は金融機関や投資から資金を募り、募った資金で不動産を購入します。その不動産を賃貸したり、あるいは売却したりして収益を上げると、その収益を金融機関への返済や投資家に分配します。
J-REITは証券取引所に上場されており、一般の方がそこで自由に売り買いすることが出来ます。J-REITそのものは投資信託の仕組みですが、株式やETFと同じように毎日活発に売り買いがされています。
また、日銀が金融政策としてETFの買い入れを行っていますが、J-REITも一部買い入れを行っています。
証券取引所に上場することで、銀行融資ではまかないきれない量のリスクマネーを集めることに成功しています。
市場を通じて広く不動産に投資を募り、その収益を還元できる仕組みとなっており、我が国の不動産取引の流動性、安定性を高める上で非常に重要な役割を果たしています。
REITは値動きする
J-REITの特徴は証券取引所で自由に取引ができることです。まるで株のように活発に取引が行われていることから、毎日、毎分、価格が変わります。

これは日本で最も時価総額の大きなJ-REIT銘柄である「日本ビルファンド投資法人」のJ-REITの値動きを表すチャートです。4年間程ですが、活発に値動きしているのがよく分かります。
一方で、REITの場合、不動産の裏付けがありますので、株式ほど激しく値段を上げたり、下げたり、ということは有りません。
通常、REITはそれぞれの投資法人ごとに特徴があります。「都心のビル開発のみ」や「住宅のみ」など、なんらかのテーマ性を持っています。
また、同じ物件をずっと保有していると経年劣化により資産価値が下がっていくことがほとんどです。そのため、J-REIT投資法人では、物件の入れ替えなども行っています。その他、賃貸管理や物件管理に関する業務を行っています。収入から管理に関するコストを引いた金額が収益として投資家に配分されます。
REITの値上がり、値下がりと利回りの関係
REITの場合、売買のタイミングを上手く掴んで値上がり、値下がり(キャピタルゲイン・ロス)で儲けることと、ずっと保有し続けて利回りを得る(インカムゲイン)の2つの収益の得方があります。
価格と利回りは市場原理によって決まります。

不動産の場合、収益分配金は不動産経営の優劣や景気に左右されます。より確実に収益を増やしてくれそうな投資法人の場合、利回りが低くてもお金が集まります。逆に、ハイリスクになるほど、利回りは高くなる傾向になります。
逆の見方をすると、「賃料収入=収益」が一定なら、REITの価格が下がると利回りは高くなり、REITの価格が上がると、利回りは低くなります。
コロナショックが発生して、「ホテル・旅館」をテーマにしたREITはすべて収益性が不透明となり、価格が下がりました。その後、テナントなどを扱う総合型のREITもそれに続いて値段を下げています。その結果、多くのREITは利回りは上がっています。
このように、ずっと保有してた場合、値段が下がって資産が目減りする可能性があるのがJ-REIT投資の特徴です。投資するにあたって、銘柄選びは慎重にする必要があります。
J-REITと「不動産特定共同事業」の違い
まず、2つの共通点ですが、これは、投資を募って、不動産を運用する、というところになります。どちらも、投資家はファンドを通じて、不動産に投資することができ、そのリターンの分配を受けることが出来ます。
2つの違う点ですが、J-REIT投資法人は証券取引所に上場しており、不動産特定共同事業の方は上場していないという点が挙げられます。この事によって、両者にいろいろな違いが発生しています。
買う人の違い
J-REITの場合、証券取引所に上場していますので、いつでも売り買いが可能です。従って、市況を予測して、キャピタルゲイン狙いで買う人が多いようです。
一方、不動産特定共同事業の場合は、その事業の契約内容によるのですが、売買よりは、所有し続けてリターンを得る、インカムゲイン狙いに向いています。J-REITと違ってマーケットの動きに左右される部分も小さいので、じっくりしっかり資産形成を行いたいという人に向いています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?コロナショックのせいでREIT銘柄は値動きが激しくなってきています。利回りだけを見ると6%を超えるようなものもあり、魅力的に見えます。
しかし、いつまた、緊急事態宣言や外出自粛、渡航禁止といった事態になるかわかりません。
REITの投資銘柄には社会の動向の影響を受けやすい大型物件を扱っているものもの多く含まれます。
しばらくは「不動産特定共同事業」のほうが投資妙味がある時期が続きそうです。
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