競売とは?公売、任意売却との違い

競売とは

競売とは、オークションのこと。物の値段を決めずに売り出し、買い手が好きな値段を宣言し、終了時点で一番高い値段をつけた人がその商品を買うことができます。インターネットの普及により広く知れ渡るようになりました。一方、借金で行き詰まった人からその借金を回収するために、債権者からの申立を受けて裁判所が強制的にその人の不動産を売り出すことがあります。これを競売(けいばい)といい、売主と買主が契約するのではなく裁判所主導で行います。競売には、2つのパターンがあります「担保不動産競売」と「強制売買」です。

担保不動産競売とは

担保不動産競売とは債務者が住宅ローンの支払いができなくなった不動産を、債権者(金融機関)がその物件を管轄する裁判所に競売を申し立てることです。

不動産に抵当権や根抵当権などの担保権を設定している債権者が、その権利を行使します。担保権とは返済困難になった時に、担保にとった不動産を処分して優先的に返済にしてもらえるという権利のこと。担保権を設定することにより、債権者は債務者の不動産を強制的にお金に変えて、ローンを回収することができます。管轄は裁判所であり、事件番号は「令和〇〇年(ケ)第〇〇〇〇号」と表されます。裁判所が売却まで全ての手続きを行ってくれるため、競売を申し立てる人(債権者)は負担が少ないやり方です。しかし、市場の相場よりも2、3割は安く売却される可能性が高くなります。

強制売買とは

強制売買とは金銭債権を有する債権者が、強制的に債務者の財産を競売にかける強制執行のこと。申し立て時に該当する債権を有することの証明として、判決書や公正証書などの債務名義を裁判所に提出する必要があります。よくある例としては、無担保のカードローンの滞納やマンションの管理費を滞納し管理組合に競売にかけられる、事件の犯罪者の罪が裁判などで確定した後、その損害賠償のために無理やり資産を売り出されるケース、などがあります。

こちらも管轄は裁判所であり、事件番号は「令和〇〇年(ヌ)第〇〇〇〇号」と表されます。申し立てから処分までの流れは、担保不動産競売と強制競売で変わりありません。ただし、申し立て者が無担保の債権者である場合には優先的に配当は得られず、債権額によって他の無担保債権者と配当を分け合う必要があります。事情が複雑ですので、価格も割安なことが多いですが、その分、慎重な扱いが必要です。競売の全体の1割程度がこのヌといわれています。

公売とは

公売とは、国税や地方税を滞納した場合、国税庁や税務署が滞納者の財産を差し押さえて滞納された税を回収する目的で強制的に売却すること。入札または競売りの方法があります。

競売とよく似ていますが、競売は「債権者(金融機関などの民間企業や個人)」が「裁判所」に申し立てて不動産を売却するのに対し、公売は「債権者(国税庁や自治体)」が国税徴収法に基づいて不動産を売却します。
物件情報はインターネット公売サイトで見ることが出来るので、情報へのアクセスが容易です。

任意売却とは

競売に似た方法で「任意売却」があります。裁判所が行う競売を行うと、一般的に値段が市場一般の価格を下回ってしまうため、金融機関にとってベストとは言えません。そこで、債務者と話し合った上で、抵当権を抹消することと引き換えに売却に出します。これを「任意売却」と言い、市場価格に近い価格で売れる可能性があります。ただし、金融機関が承諾しないこともあります。また、任意売却に伴い、共有所有者、連帯保証人、入居者への連絡と連帯保証人の同意が必要になります。

借金はなくなる?

競売、公売、任意売却を行い、売れて手元に入ってきた金額が借金の金額を上回った場合は、借金を返済することができます。しかし、大抵の場合、そうはなりません。そうなる見通しが立つのであれば、通常通りの仲介販売で売って返済するのが普通だからです。残債よりも売値のほうが安くなってしまいそうだから、競売や任意売却に至っていることがほとんどです。従って、競売や公売、任意売却をしても借金は残ります。

一方で、競売や任意売却をすると、抵当権はなくなります。そうなると、住宅ローンの残債務は無担保の一般債務となり、より一層の債務整理が可能となります。その場合の選択肢は二つあります。一つは自己破産、もう一つは個人再生です。

自己破産は申し立てただけでは借金は帳消しとなりません。日用生活品を除く財産がある場合には99万円を超える範囲のものについては破産管財人によって換金され、債権者に分配されます。その後、免責手続きが済んで初めて返済の義務が消失します。

一方、個人再生は民事再生法に基づき返済額を大幅に減額してもらい分割で支払っていく手続きです。将来において収入を得る見込みがあることが条件となります。5年以内に返済できることを条件として個人再生を申し立てて、一括して債務を大幅にカットすることもできます。

差し押さえの方法

どうなったら差し押さえになる?

差し押さえとは裁判所または国や地方自治体を介して債務者から債権回収を強制的に行うことで、借金返済の滞りや税金の滞納があった場合が対象となります。

差し押さえられる理由は主に以下の3つです。

・抵当権の行使により担保不動産競開始された

・裁判所の判決により競売が開始された

・税金の滞納などにより税務署や自治体などにより公売が開始された

差し押さえの流れですが、まず債権者から差押予告通知が来ます。「期日までに返済しなければ差し押さえますよ」という意味です。次に債権者の申し立てにより裁判所がそれを認めた場合、裁判所から支払督促がきます。最後には登記簿に「差押』登記がなされ、対象不動産は差し押さえられることとなります。また、税金滞納の場合、裁判所の許可が不要なので、督促状を無視したりしていると税務署や自治体から、いきなり差し押さえられる事態もありえます。差し押さえられたら自分が自由に売却する、新たな抵当権をつける、などができなくなります。

家を差し押さえられても住むことはできる?

差し押さえられても使用に関する制限はないので住み続けることはできます。家電など生活必需品も差し押さえられることはありません。しかし差し押さえは公売や競売が開始されたことによって生じるので対策を講じなければいずれ売却されてしまいます。

そのため一括返済か任意売却かを選択する必要が生じます。

競売物件の探し方

競売情報の見方

競売物件は、インターネットで簡単に見ることができます。

裁判所で運営するBIT    https://www.bit.courts.go.jp/app/top/pt001/h01

民間が運営する981JP              https://981.jp

競売の入札方法

 1 入札する物件を探す

まず、上記サイトでダウンロードできる3点セットで物件評価をしていきましょう。

3点セットとは以下の3つのことです。

 ・物件明細書 

主に物件の権利などが記載されています。 競売後にも引き継ぐ賃借権の権利の有無(賃借権がある=借りて住んでいる人がいる) 賃借人を追い出す場合、その権利はしっかりと認識している必要があります。

・現況調査報告書

主に物件の使用状況をまとめたものです。 実際に執行官が現地に訪れ、作成します。 土地の利用法、や建物の種類、構造、内部の写真などがあります。他にも不動産を占有している人の氏名や占有する権限の有無なども記載されています。ただし、数ヶ月前の情報なのでその後の変化の可能性があります。

・評価書

主に物件の図面や評価額、近隣環境について記載されています。裁判所が選定した不相談鑑定士が作成します。

次に、現地調査をしましょう。実際に物件周辺を歩いたりして近隣環境を確認します。競売では室内を見ることはできませんが外観や接道の状態、近隣の状況などを確認することができます。これらの情報を吟味して、実際に入札する物件を選定していきます。

2 入札保証金を振り込む

入札する物件が決まったら、入札保証金を振り込みます。保証金の金額は売却基準価の2割が必要です。売却基準価が1000万なら保証金は200万となります。金融機関で裁判所専用の振込依頼書で振り込みます。入札期間満了までに裁判所の口座に入金されていることが必須です。振込は「電信扱」の専用用紙を使用しましょう。もし落札できなければ、あらかじめ申し出をした口座に返金されますので安心してください。

3 必要書類を揃える

入札保証金を振り込んだら、必要書類を揃えます。

・入札書

入札書のフォーマットは管轄する裁判所ごとで決められているため、入札する物件の管轄支部の裁判所で入札書を入手しましょう。入手方法は、自分で裁判所の執行官室に出向き、入手するか、執行官室に返信用封筒を送り、返信してもらうか、の2つです。

入札の住所欄には個人は住民票の住所を、法人は資格証明書の住所を記入します。

・暴力団員等に該当しない旨の陳述書

令和2年4月の民事執行法の改正に伴い新たに必要となった書類です。入札書と一緒に提出する必要があり、後日提出は認められておりません。

・入札保証金振込証明書

下部に金融機関で受け取った「保管金受入手続添付書」(振込依頼書の2枚目)を貼付し、上部の欄で使用したものと同じ印鑑で割印をします。銀行届出印である必要はありません。また、折り曲げ厳禁ですので注意しましょう。

・添付書類

個人の場合: 住民票(マイナンバー記載のないもの 発行後3ヶ月以内)

法人の場合: 代表者事項証明書又は登記事項証明書(発行後3ヶ月以内)

共同で入札する場合:続柄の明記されている住民票(発行後3ヶ月以内)など。詳しくは執行官室に確認をします。

代理人で入札する場合:代理委任状ですが、第三者が単に書類の提出をするだけであれば委任状は不要です。

宅建業者の場合:宅地建物取引業の免許証のコピー

4 入札期限までに入札書を提出する

入札保証金を振り込み、必要書類を揃えたら、いよいよ入札です。

提出方法は自分で裁判所に持参することもできますし、郵送も可能です。

競売に参加するときの注意点

競売の種類も把握し、入札の流れもわかったところではありますが、競売参加にあたりいくつか注意することがあります。

・瑕疵担保責任がつきません。

通常、購入後に重大な欠陥が見つかった場合は売主の責任で対応するという瑕疵担保責任があります。競売の場合、これがないため、購入後に瑕疵が見つかった場合、修繕は購入者負担となります。

・引渡し義務がありません

引渡しは購入者の責任で行われます。占有者(物件の建物内に住んでいる人)がいる場合、追い出しをしなくてはいけません。今は以前に比べて強制執行の手続きがしやすくなりました。また、残置物の所有権は購入者に移らないので勝手に処分ができません。

・内覧ができません

内覧ができないため瑕疵があるかどうかなどは購入前にはわかりません。

・入札までの期限が短い

入札までの期限は一週間から一ヶ月であり、その間に入札額を決めなければなりません。

・現金で購入する必要があります

分割などはできないため相当額の現金を用意する必要があります。

・購入後に発生する費用を考慮する必要があります。

鍵が渡されない場合もあるので鍵交換費用、瑕疵の修繕費用が必要となる可能性があります。また、占有者がいる場合、まず裁判所に引渡し命令の申請をしますが、それでもなお占有を継続する場合、強制執行が必要となり、その費用も必要です。

・入札できたところで購入出来るとは限らない

入札しても落札できなければ購入することはできません。

公売物件の探し方

ネットで探せる!

以下のサイトで検索することができます。
財務省公売情報  https://www.koubai.nta.go.jp/auctionx/public/hp001.php

官公庁オークション https://kankocho.jp/

公売物件の入札方法

公売物件の入札方法として期日入札と期間入札があります。期日入札は公売日の、決められた時間内に公売会場で入札し、同日に開札するものです。期間入札は決められた期間内に郵送または直接入札し、別に定められた日に改札するものです。入札には公売保証金、必要書類を揃えて提出します。公売保証金は現金または金融機関振出しの小切手です。必要書類は個人の場合は身分証明書、法人の場合は登記事項証明書等の代表権限を有することを証する書面が必要です。また、代理人が入札する場合や法人の従業員など代表権限を有さない場合には委任状が必要です。競売と同様に、暴力団員等に該当しない旨の陳述書を要します。印章は認め印で可ですが法人の場合は代表者の印章、代理人の場合は代理人の印章が必要です。

落札できなかった場合、公売保証金の返金の領収書(公売財産ごとに一枚)に 収入印紙(200円)を貼る必要があります。購入する公売財産が農地の場合には買受適格証明書が必要となります。

開札の日に最高価申込者が決定します。落札できなかった方には公売保証金が返還されます。売却決定の日までに買い受け代金全額を納付する必要があり、納付されない場合には売却決定が取り消され、されに公売保証金も返金されません。

公売に参加するときの注意点

所有権移転登記については国税局・税務署が行いますが、引渡しや登記に必要な書類や登録免許税などの費用などについては、落札された方が準備する必要があります。公売財産を所有する滞納者、国税庁などの職員、公売の参加制限を受けた人は参加できません。購入する公売財産が農地の場合には事前に農業委員会の許可を得る必要があります。(買受適格証明書)

競売物件は安いの?

すべてが「訳あり」物件

訳あり物件なので、問題のない通常の物件に比べたら当然安く手に入ります。一方で、その「問題」の解消にどのぐらいお金がかかりそうかを計算する必要があります。たとえば、競売物件では内部が見れません。そのため、中の物を処分して、住める状態にリフォームするのにどのぐらいお金がかかるのかを、外観からだけで想像して見積もりする必要があります。そのための「目利き力」が必要です。(売り手は中の物を持っていったり、掃除したり、リフォームしたりということはやってくれません。)また、その物件を普通に買ったらいくらで買えるのかという目線を持っていることも大事です。

例えば、普通に買うと2,000万円相当の物件を競売で1,000万円で仕入れることができたら確かに安い買い物でしょう。しかし、買った後、中の物の撤去やリフォームに1,500万かかるなら、結局割高なものを買ったことになります。そういうリスクを引き受ける力が必要となります。

このように「目利き力」「リスクを負える力」があるひとにとっては、掘り出し物に出会える可能性もあります。逆に、そうでない場合、手痛い出費を強いられてしまう可能性も十分にありえるのです。

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