バイデン政権になり、より一層注目を浴びるESG投資って何?

いま、世界的にESG投資に注目が集まっています。

Eは環境(Environment)、Sは社会(Social)、Gは企業統治(Governance)を指します。ESG投資とは、環境、社会、企業統治の取り組みが充実している企業に対して投資をすることを指し、世界中の投資資金がESG投資の対象企業に集まってきています。

特に、アメリカではバイデン政権がはじまりました。新政権では温暖化対策などESGに関する政策に重点が置かれており、ESG投資も今後ますます加速すると見られています。世界中のマネーが集まってきている今、ESGは最も注目の投資テーマと言えます。

ここではESG投資の内容、メリット、デメリット、投資の方法について解説します。

ESGの評価基準?

ESGとは、具体的にどんなことを評価するのでしょうか?

E 環境(Environment)

投資対象の企業が環境に配慮をしているかを評価します。二酸化炭素の排出量が多くないか、環境汚染をしていないか、再生可能エネルギーを使っているか、森林伐採をしていないか等、自然環境への配慮の取り組みを評価します。

S 社会(Social)

人権問題への対応、地域活動への貢献、労働環境の改善、雇用関係の改善、女性活躍の推進等社会に貢献する活動を評価します。

G ガバナンス(Governance)企業統治

贈収賄や汚職防止への対策がなされているか、公正なビジネスを行っているか、取締役会の多様性や透明性を確保する仕組みなど収益を上げながら不祥事を防ぐ経営ができているかを評価します。

これらのESGの観点から企業を評価することにより、ESG対応を適切に行っている企業、すなわちESGの課題によって企業の業績が悪化するリスクが少なく、将来的にも持続可能な企業を投資対象に選ぶことができます。ESG投資は年金基金など大きな資産を長期で運用する機関投資家を中心に普及しており、気候変動などを念頭に置いた長期的なリスクマネジメントや新たな収益創出の機会を評価するものとして利用されています。

ESG投資の歴史

ESG投資は2006年に国連事務総長のアナン氏が機関投資家に対して「責任投資原則」(PRI:Principles for Responsible Investment)を提唱したことをきっかけにして広まっていきました。環境、社会、企業統治の課題と投資の関係性を理解して、署名機関がこれらの課題を投資の意思決定や株主としての行動に組み込む支援を提供することを目的にして作られた原則です。2020年の8月時点で3,332の年金基金や運用会社がPRIに署名。運用資産合計は103兆ドルです。日本の機関ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人。170兆円以上の年金資産を管理・運用している)が2015年に署名しており、合計で85機関が署名しています。

ESG投資のメリット

ESG投資のメリットは大きく2つあります。

一つ目は長期に持続的なリターンを期待できるという点です。ESG投資では短期的に利益を上げるだけの企業には投資をせず、長期にわたって収益を上げながら、自然環境への配慮を行い、人々の暮らし、社会変化への適切な対応と企業統治ができることを評価します。これにより将来にわたって存続できる事業を行う企業を選定することになり、短期的な利益重視の投資ではなく、安定して持続的なリターンが期待できます。
二つ目のメリットは、言うまでもなく社会貢献への投資になる、という点です。ESGの評価の観点には地球環境の保護から人権問題への取り組み、女性の社会進出の推進、企業の腐敗防止の取り組みが入っており、投資を通じてそれを支援する、社会を良くする活動に資金を提供している行為と捉えることができます。

ESG投資のデメリット

一方で、ESG投資にはデメリットもあります。

それは、ESGを意識しない投資に比べて、短期的なリターンを目指す投資には向かない点です。ESG投資では、永続的にESGに配慮ができる企業文化、事業構造、収益構造を持った企業が対象となります。その結果、長期的、そして安定したリターンを志向する企業に投資することになります。
また、ESG投資を実際に行うにあたっては投資先の選定に手間がかかります。利益重視の投資においては財務諸表など、従来から投資家に向けて広く公開されてきた数字を元に投資先を評価します。一方、ESG投資では財務諸表に加えて環境・社会・企業統治の面からの評価も必要なため、評価に必要なデータが多く、評価、検討に時間がかかることになります。

ESG投資の方法

ESG投資を始めるには大きく分けて2つの方法があります。一つ目は自分の目線でESGを重視している企業を探し出し、あるいは、個別の企業をESGの観点から評価して投資先を選定し、投資をする方法。もう一つはESG投資を組み込んだ投資信託などの商品に投資をする方法です。

その1 自分でESG投資をする方法

ESG投資には投資を通じて、自分の価値観を世界に伝えるという側面があります。そのためには、まず自分なりの倫理的な尺度を持ち、それに沿って企業を選定し、評価して投資をすることが第一歩となります。近年、経営意識の高い企業ではESGの評価に役立つ情報をコーポレートサイトなどを通じて発信しています。

また、各企業のESGに関する取り組みは指数としてダウ・ジョーンズのような格付け会社や評価会社が提供しているものもあり、それらを参考にすることもできます。そうした中で、自分なりにESGの取り組みが優れており、今後の成長が期待できるとおもった企業の株式を購入することで、投資をします。

その2 ESG投資を組み込んだ投資信託

一口に「ESGについて自分の尺度を持つ」と言っても、簡単なことではありません。ESGとは、一定の数字を超えていればいい、というものではなく、どれだけいい取り組みができているか?という傾向で判断をするものだからです。また、投資である以上、リターンが期待できるものでなければなりません。社会貢献に傾注するあまり、本業が傾いてしまっては元も子もありません。通常の投資よりも時間や手間がかかってしまう難点があります。

そこで、証券会社や機関では独自にESG投資の対象企業を選定し、そこに投資を行う投資信託を組成し、一般に販売しています。ネットでESG投資信託と入れて検索することによってたくさんの商品を探すことができます。投資対象企業が日本国内の企業か、海外か、両方か、株式に投資するのか、ETFのような上場投資信託、不動産投資信託に投資するのかなどのタイプに分かれています。さらに信託報酬の額、取り扱いは金融機関か証券会社かなどを検討して選ぶことができます。これらの中から、自分がいいと思う投資信託を購入することでESG投資を始めることができます。

まとめ

私達も社会を構成する一員として、社会の持続的な発展に責任があります。投資を通じて社会に貢献できるESG投資。これからも様々な商品が開発され、投資が活発になっていくことは間違いありません。

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