外国人投資家が好む物件とは?注目される3つの特徴を解説

日本の不動産市場では、国内の個人・法人が主要なプレイヤーですが、不動産価格に大きな影響を与えているのが外国人投資家の存在です。実は、彼らの動向は「将来どんな物件が高く売れるか」を予測する重要なヒントとなります。
この記事では、実際に外国人が購入・注目する物件の傾向を踏まえ、価値が上がりやすい物件の条件を3つに絞って解説します。将来の出口戦略を考える上でも役立つ視点ですので、ぜひ参考にしてみてください。

外国人投資家が日本の不動産に注目する理由

ここ数年、日本の不動産市場における外国人投資家の存在感が急速に高まっています。都心の高級マンションから地方の一棟アパートまで、さまざまな物件が外国資本によって取引されるようになりました。

一体なぜ、彼らは日本の物件に魅力を感じるのでしょうか。

実は、日本の不動産には、グローバルな投資家目線で見たときに「選ばれる理由」がいくつもあるのです。

なぜ日本の物件が選ばれるのか?

まず、日本は政治的・経済的に安定しており、資産を安心して保有しやすい国と見なされています。世界的に見ても、不動産購入時の所有権や登記制度がしっかり整っている点は大きな安心材料です。

実際、国際的な調査機関Property Rights Allianceによる「財産がどれだけ守られているか」を示す「国際財産権指数(IPRI)2024」では、日本は世界で12位、アジア第4位にランクインしています。

なお、「政治的安定」という項目においては世界第8位。これは、法制度の信頼性や資産保護の観点から見ても、日本が非常に安定した投資先であることを物語っています。

また、東京や大阪といった主要都市の不動産は、アジア諸国と比べて価格が抑えられており、利回りも期待できることから、投資対象として魅力的に映っているのです。

近年の円安も追い風になり、外貨を持つ投資家にとっては、割安な価格で物件を購入できる絶好のタイミングとなっています。

さらに、日本は「献身的で誠実な労働力」を有する国としても、世界から高く評価されています。これは不動産取引においても同様で、購入時に関わる仲介会社や、購入後に管理を委託する管理会社の対応力・信頼性の高さに直結します。

こうした人的サービスの質の高さは、遠隔地から投資する外国人にとって大きな安心材料となっており、日本の不動産が選ばれる理由です。

外国人投資家の主な属性と傾向

実際に日本の不動産市場には、さまざまな国や地域から投資マネーが流入しています。

国土交通省のアンケート調査によると、投資判断の拠点として最も多いのはアメリカを中心とする北米で、次いでアジア圏、欧州です。これは、日本の不動産市場がグローバルな資産分散の一環として注目されていることを裏付けています。

(出典:国土交通省「令和2年度 海外投資家アンケート調査業務 報告書」)

実際の投資目的としては、資産保全やインカムゲイン(賃料収入の確保)を重視する傾向が強く、短期的なキャピタルゲイン(売買益)を狙う動きは少数派です。運用期間も10年以上に及ぶケースが多く、安定的な保有を前提にした長期視点の投資が主流となっています。

また、こうした投資家の多くは日本に住んでいない「非居住者」です。物件の管理は現地の不動産会社に任せ、自国から遠隔で運用するスタイルが一般的です。

(出典:国土交通省「令和2年度 海外投資家アンケート調査業務 報告書」)

今後さらに外国人投資家による投資額が増加していく兆しも見られており、その注目度は高まり続けています。特に都心のオフィスビルやレジデンス、物流施設といった用途に人気が集まっており、高い安定性と管理のしやすさを重視して物件を選ぶ傾向が見られます。

外国人投資家が好む物件の3つの特徴

外国人投資家が物件を選ぶときには、利回りや価格だけでなく、「どこにあるか」「どんな使い道があるか」といった視点も重視されます。日本に住んでいない非居住者が多いため、運用しやすさや将来の資産価値も重要な判断基準です。

  • 都心に立地している
  • 木造物件である
  • インバウンド旅行先にある

実際の投資傾向から見えてきた「外国人に好まれやすい物件」について、代表的な3つの特徴を紹介します。

1. 都心に立地している

1つ目は、世界中で広く知られた地名であることです。

外国人投資家の多くは、東京23区や大阪中心部といった大都市の「都心エリア」を好む傾向にあります。中でも、港区・中央区・渋谷区といった国際的なブランド力のある地域は人気が高く、駅から近い物件や再開発が進む地域は、将来的な資産価値の上昇を期待されやすいのが特徴です。

下の図表を見てもわかる通り、投資先として圧倒的に選ばれているのは「東京」「大阪圏」「名古屋圏」です。いずれもインフラが整っており、外国人にとっても土地勘を得やすく、グローバルな需要が見込めるエリアといえます。

(出典:国土交通省「令和2年度 海外投資家アンケート調査業務 報告書」)

また、国際イベントの開催や都市再開発の進行によって、地域全体の注目度や資産価値が高まるケースも多く、中長期的な視点で安定的に評価される立地が好まれているといえるでしょう。

2. 木造物件への関心が高まっている

これまで外国人投資家の間では、耐久性や管理のしやすさからRC(鉄筋コンクリート)造の物件が主流でした。しかし近年では、京都の町家や東京近郊のリノベーション戸建てなど、木造物件にも注目が集まりつつあります。

その背景にあるのは、日本特有の文化的な魅力に価値を見出す投資家の増加です。環境負荷の低さや再利用可能性といったサステナビリティの観点が重視されており、木造住宅への関心が高まっています。

実際、国土交通省の調査によると、外国人投資家の約80%が投資判断にあたり「サステナビリティに関するガイドラインを設けている」と回答しており、環境配慮の意識が明確に反映されています(図表参照)。

(出典:国土交通省「令和2年度 海外投資家アンケート調査業務 報告書」)

木造建築は建設時のCO₂排出量が少なく、環境への負荷が低いと評価されており、こうした点から木造住宅が「グリーン投資」の対象として注目され始めています。

さらに、日本の伝統的な木造技術や設計美に対して、文化的価値を見出す投資家も多く、こうした要素が複合的に作用して、木造物件の人気がじわじわと高まっているのです。

3. インバウンド旅行先にある

そして3つ目は、海外からの外国人旅行者が多く訪れる場所です。

関東圏・大阪・京都・福岡・札幌・沖縄など、訪日外国人に人気の高い観光地では、民泊や短期賃貸としての活用を視野に入れて物件を購入する外国人投資家が増えています。

実際、これらの地域は2024年の外国人宿泊数でも上位を占めており、観光需要と連動した安定収益が見込まれることから注目されています。

(出典:国土交通省 観光庁「宿泊旅行統計調査報告(令和6年1~12月)」)

また、羽田空港や関西国際空港など、空港からのアクセスが良いエリアは、移動のしやすさから特に好まれる傾向にあります。観光に加えて、出張や長期滞在にも便利な場所として選ばれているようです。

購入時点から「将来的にどのように運用・売却するか」という出口戦略を観光ニーズとセットで描くケースが多く、物件の立地選びにもその意図が反映されています。単なる利回り重視ではなく、インバウンドとの親和性を見越した判断が特徴的です。

外国人投資家が好む物件の条件については、以下の動画でも詳しく解説しています。
こちらもぜひチェックしてみてください。

将来の売却を意識した物件選びとは?

不動産投資は、物件を買って終わりではありません。将来「誰にどう売るか」まで見据えて選ぶことが、資産価値を左右します。

近年は、外国人投資家が買い手になるケースも増えており、国内需要だけでなくグローバルな視点を持つことが非常に重要です。本章では、実例をもとに出口戦略のヒントを紹介します。

国内向けだけでなく「グローバル視点」を持つ

物件を購入する際、多くの投資家は「誰に貸すか」に目を向けます。しかし、投資戦略で本当に差が出るのは「いつ、誰に物件を売るか」を見越しているかどうかです。

今の時代、将来の売却先が日本人とは限りません。

事実、東京都心の一部タワーマンションでは、全体の3割ほどが外国籍名義になっている、という話もあります。真偽はさておき、それだけ外国人投資家の存在感が増しているのは確かな話です。

彼らが評価するのは、単純にその収益性(利回り)だけではありません。国際的に知られた立地、再開発による将来性に加えて、「日本らしさ」を感じる意匠や環境配慮、民泊や短期賃貸としての活用。これは、国内投資家の感覚とはやや異なります。

これまでのように「国内ニーズ」だけを基準に物件を選んでいると、将来売却する際に買い手が見つからなかったり、安く買い叩かれたりするリスクもあります。

一方で、外国人投資家が重視するポイントを理解しておけば、海外も視野に入れた売却戦略がとれ、高く・有利に売却できるチャンスが広がるでしょう。

実際の取引事例に見る傾向

外国人投資家による不動産の購入は、すでに身近な現実となっています。港区の築浅マンションが香港の投資家に売却された例や、京都の町家を欧州ファンドが取得した事例などはその一例です。

また、インバウンドの再開後、札幌や那覇といった観光都市では物件価格の上昇も見られ、外国人の資金が再び動き始めています。

住宅総合住宅地戸建住宅マンション
(区分所有)
不動産価格指数
(住宅)
対前月比(%)不動産価格指数
(住宅)
対前月比(%)不動産価格指数
(住宅)
対前月比(%)不動産価格指数
(住宅)
対前月比(%)
全国137.8▲0.4115.0▲0.3115.6▲3.0202.20.5
北海道地方152.60.9119.6▲1.6122.1▲4.1291.23.7
九州・沖縄地方145.82.0127.06.0119.64.5259.40.2
(出典:国土交通省「不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)」

この表からもわかるように、北海道地方のマンション価格指数は「291.2」と、全国平均(202.2)を大きく上回っています。特に区分所有マンションの分野で突出した上昇を示しており、札幌市を中心に中古マンションの価格が高水準で推移していることが読み取れます。

また、住宅総合でも対前月比+0.9%と全国平均(+0.4%)の2倍以上の伸びを記録しており、北海道全体で住宅価格の上昇傾向が根強いことが明らかです。これは、再開発や移住ニーズに加え、インバウンドの影響もあると考えられます。

同様に、九州・沖縄地方もマンション指数259.4と高水準にあり、那覇市など観光都市を中心とした物件価格の上昇が顕著です。いずれも、観光と不動産投資ニーズが結びつきやすい都市であり、今後も海外投資家を含む幅広い買い手を想定した出口戦略が有効といえるでしょう。

まとめ

外国人投資家が日本の不動産に注目する背景には、安定した経済環境、利回りの見込める収益性、日本ならではの希少価値といった魅力があります。購入されやすい物件には、都心の駅近物件やインバウンド需要の高い観光地、さらに町家やリノベ戸建てといった文化的な木造住宅など、はっきりとした傾向が見られます。

こうした動きからも分かるように、国内市場だけでなく海外からの視点を持って物件を選ぶことが、将来の高値売却や資産形成の近道となるでしょう。

今後もインバウンドの回復や円相場の動きによって、外国人投資家の動きはさらに活発化する可能性があります。だからこそ、「国内で貸す」だけでなく「海外に売れる」ことも見据えた物件選びが、これからの不動産投資には求められているのです。

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