2026年2月、中東で大きな軍事衝突が起きました。
米国とイスラエルがイランに対して大規模な攻撃を開始したことで、世界のエネルギー市場が一気に緊張状態に入ったのです。
さらに4月13日、住宅設備大手のTOTOがユニットバス・システムバスの新規受注を停止したことが明らかになりました。
LIXILやパナソニックも相次いで供給制限・納期未定を発表し、住宅業界はかつてない混乱の局面を迎えています。
「中東の戦争は、日本には関係ない」と思っていた方も、この報道で影響を実感したのではないでしょうか。
この記事では、「イランの戦争がなぜ住宅設備の不足につながるのか」という背景を解説しながら、今、家の購入を検討している方が知っておくべき現実と取るべき行動についてお伝えします。
(この記事の情報は2026年4月16日時点のものです。)
イランで何が起きているのか

米国・イスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡の封鎖
2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対して大規模な軍事攻撃を開始しました。
その後イランの最高指導者ハメネイ師の死亡が報じられ、情勢はますます流動的な状況となっています。
この衝突で世界が最も警戒したのが、「ホルムズ海峡」の封鎖リスクです。
ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾とインド洋をつなぐ幅約34キロメートルの狭い海峡のことで、世界の原油供給量の約2割がここを通過しています。
イランの革命防衛隊が付近を航行する船舶に対して通過禁止を通告したことで、民間のタンカーが航行を見合わせることとなり、海峡は事実上の封鎖状態に陥りました。
日本は原油の約94%を中東に依存している
ホルムズ海峡の事実上の封鎖が日本にとって他人事でない理由は、エネルギー構造にあります。
2025年の貿易統計によれば、日本は原油輸入の約94%を中東地域に依存しており、そのタンカーの約8割がホルムズ海峡を通過しています。
ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、日本へのエネルギー供給に深刻な支障が生じることは避けられません。
実際に、原油価格は攻撃前の1バレル67ドル程度から一時120ドル近くまで急騰しました。
また国際エネルギー機関(IEA)は「イラン戦争は世界の石油消費の見通しを根底から覆した」と発表しており、影響の深刻さを示しています。
なぜ原油が住宅価格に影響するのか

「ナフサ」という知られざる建材の原料
住宅と石油の関係を理解するうえで、まず知っておきたいのが「ナフサ」という原料です。
ナフサとは、原油を精製する過程で得られる軽質の石油製品で、プラスチック・合成樹脂・塗料・接着剤など、無数の工業製品の出発点となる基礎原料です。
ガソリンや灯油と同じく原油から作られますが、燃料としてではなく「素材の原料」として使われる点が特徴で、石油化学産業全体を支える存在といえます。
日本が使うナフサの供給元は中東への依存度が高く、ホルムズ海峡の封鎖によってその調達が急速に滞り始めています。
住宅に使われる石油由来の建材一覧
ナフサを原料とする製品は、住宅の至るところに使われています。
よく知られている断熱材や塗料だけでなく、壁紙・床材・塩化ビニル製の水道管・窓まわりのコーキング材・接着剤・防水シートなど、住宅1棟を建てるうえで欠かせない素材の多くが石油由来です。
さらに、ユニットバスの壁パネルに使うフィルム接着剤や浴槽のコーティング剤にも有機溶剤が使われており、TOTOが今回受注を停止した直接の原因もここにあります。
一見、石油とは無関係に見える木材でさえ、乾燥工程や梱包資材に石油が使われているため、「住宅建材で石油の影響を受けないものはほぼない」と言われるほどです。
ナフサ不足が招く住宅建材の値上げ
ナフサ不足はすでに住宅業界へ影響を及ぼしており、テレビ朝日の報道では「中東地域の情勢悪化により、断熱材を40%値上げする」との通知を受けた住宅メーカーもあると伝えられています。
一般的な住宅では断熱材を約250枚使用するため、この値上げだけで1棟あたり約50万円のコスト増になる計算です。
また塗料を薄めるために使うシンナーは最大75%の値上げが通告されており、外壁・屋根・内装の仕上げ工程にも深刻な影響が及び始めています。
日本経済新聞によると、建材メーカーの約4割が3カ月後の在庫に深刻な影響が出ると見込まれており、住宅価格のさらなる上昇は避けられない状況です。
値上がりに加え住宅設備の供給停止が新築市場を直撃
TOTO・LIXIL・パナソニックが相次いで受注停止・納期未定に
イラン情勢の影響は値上げだけにとどまらず、住宅設備そのものが手に入らないという事態へ発展しています。
2026年4月13日、住宅設備大手のTOTOはシステムバス・ユニットバス・トイレユニットの全シリーズについて、新規受注の停止を取引先に通知しました。
同社広報は「東日本大震災・コロナ禍・ウクライナ戦争を含め、直近でここまで見通しが立たないことは初めて」と述べるなど、過去に例のない異常事態であることが伝えられています。
その後、政府が部材流通の目詰まりを解消する方針を示したことを受け、TOTOは4月20日から段階的に受注を再開すると発表しました。
ただし納期は通常より長くなり、受注できる商品も限定される見通しで、部材の調達環境は依然として不安定な状態が続いています。
中東情勢が落ち着かない限り、再び受注が制限される可能性も否定できないでしょう。
また、同じく住宅設備大手のLIXILも石油由来原材料の供給制限を理由に価格・納期・数量の調整を行う可能性を発表しています。
さらに、翌4月14日にはパナソニックがバス・トイレ関連商品全般の納期を「未定」にすると通知した他、クリナップも原材料の調達困難を理由とするシステムバスの受注停止を発表しており、主要メーカーが軒並み供給体制の見直しを迫られる前例のない状況に変わりはありません。
「値上がり」より深刻な「手に入らない」問題
今回の事態がこれまでの資材高騰と大きく異なるのは、「価格が上がる」だけでなく「そもそも物が届かない」という点です。
国土交通省の建築着工統計によれば、2025年の新設住宅着工戸数はすでに前年比7%減の74万667戸と、過去61年間で最低水準を記録しました。
そこへナフサ不足による建材・設備の供給危機が重なり、新築住宅市場はさらなる縮小圧力にさらされています。
建材の見積もり有効期限はかつての1〜2カ月から現在は10日程度にまで短縮されており、価格が日単位で変わる状況が続いています。
SNS上では「注文住宅を諦めた」という声も広がるなど、家を建てることを検討していた人たちの選択肢が急速に狭まっているといえるでしょう。
ウッドショックとの決定的な違い
2021〜2022年に起きた「ウッドショック」では、木材価格の急騰が新築住宅のコストを押し上げました。
しかし今回は、木造・鉄骨・RC造を問わず、断熱材・塗料・配管・住宅設備まであらゆる素材が同時に影響を受けており、性質が根本的に異なります。
ウッドショックが「木材という1つの素材の問題」だったのに対し、今回は住宅を完成させるために必要なほぼ全ての石油由来素材が供給不安に陥っており、代替手段による回避が難しいというのが特徴です。
今、家を買うならどう動くべきか

完成済み・完成間近の物件を選ぶ合理的な理由
住宅設備の受注停止や建材の供給不安が広がる中、最もリスクを回避しやすい選択肢として「完成済み・完成間近の物件」が挙げられます。
これから着工する住宅の場合、断熱材・塗料・配管材などの建材調達に加え、ユニットバスやトイレといった住宅設備の発注も新規に行わなければなりません。
しかし現状は設備メーカーへの新規発注ができない、あるいは納期が見通せない状態となっているため、着工しても完成までに想定外の遅延が生じるリスクが高まっています。
一方、すでに完成している物件や完成間近の物件であれば、使用する建材も設備もすでに確定しており、こうした供給不安の影響を受けることがありません。
完成済み物件は「設備・価格・入居時期」がすでに確定している
完成済み物件の強みは、不確実な要素がほぼないという点に集約されます。
注文住宅では、着工後に資材価格が上昇した場合、契約内容次第で追加費用が発生するケースもあります。
また設備の納期遅延によって引き渡し時期がずれ込めば、賃貸契約の更新や引っ越しのスケジュールにも影響が生じるでしょう。
完成済み物件であれば、購入時点で設備の仕様・建物の価格・入居可能時期のすべてが確定しており、こうした不確実性とは無縁です。
また完成済み物件の場合は契約後およそ1カ月程度で入居できるケースが多く、今の市場環境において現実的かつ安心感の高い選択肢といえます。
東新住建では愛知・岐阜・三重エリアを中心に完成済み物件を多数取り扱っており、エリア・価格帯・間取りなど希望に合わせた物件をご提案することができます。
イラン情勢と住宅購入に関するよくある質問
Q. TOTOなどの住宅設備はいつ頃から通常通り購入できるようになりますか?
A. 現時点では明確な見通しが立っていません。
TOTOは「再開の目途は立っていない」と公式に述べており、LIXILやパナソニックも同様の状況が続いています。
根本的な原因はホルムズ海峡の封鎖によるナフサ不足にあるため、中東情勢が落ち着かない限り、短期での解消は難しいというのが現実です。
また過去のコロナ禍における給湯器不足では、供給が再開された後も注文が殺到して数カ月待ちの状況が続いたという例があります。
状況が改善に向かい始めた時点でも、すぐに通常通りとはならない可能性があることを念頭に置いておくとよいでしょう。
Q. 情勢が落ち着けば、上がった住宅価格は元に戻りますか?
A. 残念ながら、価格が以前の水準に戻ることは考えにくい状況です。
2021〜2022年に発生したウッドショックの際も、木材価格が落ち着いたからといって住宅価格が元の水準に戻ることはほとんどありませんでした。
これは、一度上昇した人件費や建材の仕入れコストが下がりにくい構造になっているためです。
「状況が落ち着いてから買おう」と待っていても、価格が下がる保証はなく、その間に選べる物件の数が減っていくという点は意識しておく必要があります。
Q. 完成済みの分譲住宅であれば、今の情勢の影響を全く受けないのですか?
A. すでに完成している物件であれば、建材や住宅設備の供給不安による工事の遅延や価格の追加変動は基本的に生じません。
ただし、住宅ローンの金利動向や購入諸費用については別途確認が必要です。
また完成済み物件の在庫は今後の新規着工減少に伴って徐々に少なくなっていく可能性があります。
「設備と価格と入居時期が確定している物件を、今のうちに確保する」という考え方が、現在の市場環境においては最も現実的な判断といえるでしょう。
住宅購入のタイミングについては以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
- イランへの軍事攻撃をきっかけにホルムズ海峡が事実上封鎖され、日本の原油・ナフサ調達に深刻な支障が生じている
- すでに多くの住宅建材について値上げや供給制限が始まっており、主要住宅設備メーカーの受注停止・納期未定という事態にまで発展している
- 今後は「そもそも家を建てられない」というフェーズに移行する可能性があり、設備・価格・入居時期がすでに確定している完成済み物件を選ぶことが最も現実的な選択肢といえる
完成済みの分譲住宅であれば、供給不安や価格変動のリスクを抱えることなく、安心して新生活のスタートを切ることができます。
東新住建では愛知・岐阜・三重エリアを中心に完成済み物件を多数取り扱っています。
ぜひ一度、物件情報をご覧ください。


















