円安と不動産投資の関係

2022年5月時点において、為替相場では円安が急激に進んでいることによる国内でのインフレ懸念が日増しに強くなっています。今回はこの円安時において、不動産投資に影響を与えると考えられる要因をお伝えいたします。

円安とは

円安とは円が他の通貨に対しての相対的価値が下がっている状態を指します。2012年11月頃から始まったアベノミクスによって、当時1ドル75円半ばほどだった円が約半年で103円後半まで下落し円安に移行しました。

2022年3月に入り、アメリカのFOMCが政策金利見通しを引き上げました。そして、5月4日の会合でFRBは実に22年ぶりの0.5%の利上げを決めています。日本よりも物価高が続くアメリカにとって、インフレ抑制のためにも利上げを実行していくスタンスのようです。経済大国アメリカが利上げをしたことにより、ドルが他国通貨に対して強くなる「ドル一強」の状態になりました。

なぜ金利が為替相場に影響をもたらすのでしょうか。金利が高い通貨と金利の低い通貨がある場合、金利の高い通貨の方が利息を多くもらえるため、金利の低い通貨を売って金利の高い通貨に交換する人が増えます。その結果、高金利通貨の価値が上がります。

それに対し日本銀行は、FOMCの利上げ後も金融緩和政策を維持、追加緩和も辞さない姿勢を見せています。市場は日銀の姿勢を円安容認と認識し、さらなる円安が加速しました。2022年4月28日には1ドル130円を超え、5月上旬には130円前後をうろうろしています。

円安でも株高にならない

今までの日本では円安になると輸出企業が儲かり、日本全体の株価が上がる傾向にありました。輸出企業が好調になることにより、取引を行っている部品メーカーの他、広告代理店、設備投資の代行業などの取引額が上がります。総じて経済活動が活発となり、有力な投資先として不動産が選ばれ、不動産価格が上がる傾向にありました。

しかし、今回の円安局面において、日本株価は5月上旬までみればほぼ上がっていません。というのも輸出企業とはいえ、円安で売上利益が増えても海外の輸入に頼っている原料が高くなり経費が増加、その結果純利益でみればそれほど変化しないと考えられている可能性があります。

現在不動産価格が上昇しているとすれば、投資の流入先としての不動産市場というより、不動産の資材・資源が高騰しているためというほうがしっかりきそうです。

円安誘導によるインフレ

今回の円安においてインフレが起きているのは確かなようです。IMFが発表した2022年4月版のレポートによれば、2022年まではデフレ基調だった日本がインフレ基調になると報告しています。インフレが起こると、貨幣の価値が下がり、不動産の価値が上がります。例えば、3000万円を現金で持っていればインフレによって買えるものが以前より少なくなります。一方、その3000万円で不動産を購入した場合、その後インフレによる要因でも値上がりする可能性が高くなります。その意味ではインフレ時に不動産を購入することはのちのちプラスに働きやすくなると言えそうです。

円安で生活は苦しくなる

円安になると輸入している食品やエネルギーの価格が上昇するため、結果として生活コストは高くなります。給与も物価高に比例して上がらなければ、以前よりも生活は苦しくなっていきそうです。大家という視点で見た場合、賃貸人の生活状況を鑑みると家賃は上げにくい状況になります。

円安になると出口戦略が変わる

円が安くなると、外国人投資家視点にたてば日本の不動産が割安に見えます。日本はGDPが今でも世界第3位の規模をもつ国です。その上、政治が安定している民主主義国家であり、外国人であっても不動産の所有権は認められています。不動産の投資利回りは新興国に比べれば低い傾向にありますが、不動産価格は経済規模を考えれば、他国の不動産よりも相対的に安く借入金利も安いため不動産投資はしやすい環境です。

例えば、東京よりも高く取引されている香港や台北に比べ、高級レジデンスの賃料は高く設定されており決して投資効率は悪くありません。もともと好条件の日本の不動産に対し、このまま円安が続けば海外投資家が続々参入してくることが考えられます。

その意味では、すでに物件を持っている人が割安と考えている外国人投資家に高値で売ることができるという出口戦略をとることも可能になります。

円安が不動産に与えるメリット・デメリット

メリット海外投資のマネーは円安によって日本の不動産市場に流れ込むことによって不動産市場の活性化につながる
デメリット生活コストが高くなっているため、賃料の値上げがしづらくなる

円安が不動産に与えるメリット・デメリットをまとめるとこのようになります。

今回の円安に対して日銀が反応すれば、アベノミクスによって続いていた量的金融緩和政策が見直されます。見直されれば金利が引き上げられ、資金供給量が減少し、不動産需要も冷え込む可能性はあります。しかし、日銀は利上げに踏み込まない可能性が高いでしょう。

輸入物価の上昇は円安が理由というよりも、世界情勢によって資源・エネルギー価格が世界的に上昇しているためであり、これは日銀というより政府の管轄です。もし、今金利を上げてしまえば、現在借り入れをしている人たちの金利負担が増えます。そのほうが、日本市場を縮小させてしまう可能性が高くなると日銀は考えていると思われます。

ただし、今後の世界の動向次第では、日銀も方針を変更することも考えられます。もちろん、不動産投資市場は様々な要因が複雑に絡み合っています。不動産投資家も日々の情報を入手し、適切な判断を迫られそうです。

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