「そろそろ家でも買おうかな」と頭をよぎったのは、どんなときでしたか?
子どもが生まれたとき、昇給して少し余裕が出てきたとき、あるいは賃貸の更新のお知らせを見て「また更新料か……」とため息をついたとき。住宅購入を意識するきっかけは、人それぞれですよね。
今回は、住宅購入を検討している・または検討したことがある967名を対象に実施したアンケート調査をもとに、「みんなはどんなきっかけで家を買おうと思い始めたのか」を紐解いていきます。自分と同じ理由の人がどのくらいいるのか、あるいは意外な動機が多数派だったりするのか——データを見ながら一緒に確かめてみましょう。
調査の概要
– 対象: 住宅購入を検討している、または過去に検討したことがある男女
– 回答者数: 967名
– 調査方法: インターネットアンケート
– 質問形式: 複数回答可(いくつでも選択できる)
「住宅検討を始めたきっかけ」は複数回答形式で聞いているため、合計が100%を超えます。「この理由も、あの理由も当てはまる」という方も多く、住宅購入の動機が一つではないことを前提にした設問設計です。

第1位「子どもの誕生や進学」37.3%——3人に1人以上が答えた最多の動機

ダントツで1位になったのが、「子どもの誕生や進学」です。回答者の37.3%、つまり約3人に1人以上がこのきっかけを挙げました。
子どもが生まれると、今まで気にならなかったことが急に気になりはじめます。「このアパート、防音は大丈夫かな」「もう少し広いリビングがほしい」「いい学区に引っ越したほうがいいかも」——育児が始まると同時に、住まいへの意識がグっと高まるのは、多くの親御さんが共感できるのではないでしょうか。
また「進学」という言葉が含まれているのも見逃せません。小学校入学のタイミングで「学区を決めなきゃ」と動き出すケースも非常に多く、「子どもが6歳になる前に家を買う」という目標を持つ家庭は少なくありません。入学後の転校を避けるために、入学前に住まいを決めたいと考える親御さんの現実的な事情が、この数字に現れています。
年代別に見ると、30代でこの回答が特に多く、46.0%と全体平均より10ポイント近く高くなっています。まさに子育て真っ盛りの世代が、住宅購入の最前線にいることがわかります。一方、60〜70代でも28〜30%の方がこの選択肢を選んでいます。「孫が生まれたので広い家に引っ越したい」「子どもの独立を機に住み替えたい」など、子世代のライフイベントが自分たちの住まい見直しのきっかけになるケースも含まれているようです。
第2位「収入・貯蓄が増えた」22.8%——「買える」と感じた瞬間に動く

2位は「収入・貯蓄が増えた」の22.8%。「子どものこと」という感情的な動機が1位だとすると、これはより現実的・経済的な理由です。
昇給、ボーナスの増加、副業収入の安定、あるいは親からの援助や相続——何らかの形で「手元にお金が増えた」と実感したとき、「今なら家が買えるかもしれない」という気持ちが生まれます。それまでは「いつかは欲しいけど、まだ早いかな」と思っていた人が、経済的な後押しによって一気に現実的な検討を始めるのです。
この動機は年代による差がほかの項目と比べて小さく、20代(31.1%)から70代以上(19.9%)まで、すべての年代でほぼ満遍なく見られます。裏を返せば、「住宅を買いたい気持ちはあるが、経済的な機が熟すのを待っている人」がどの年代にも一定数いるということ。住宅購入は「欲しい気持ち」と「買える状態」の両方が揃ったときに動き出す——そのシンプルな構造がよく現れています。
第3位「結婚・同棲」21.9%——「二人で住む家」を探す動機

3位は「結婚・同棲」の21.9%。全体として僅差の2位・3位ですが、年代による差が非常に大きいのが特徴です。
20代では34.4%と、子どもの誕生に次ぐ2位タイになっています。「プロポーズして、次は家を買おう」「同棲を始めたし、いずれは購入を」という流れは、若い世代の住宅購入ルートとして非常に一般的です。
一方で40代(28.8%)でも比較的高く、「再婚をきっかけに新しい家を」というケースも含まれていると考えられます。
注目したいのは、この動機が純粋に「住まいの広さ・形」への要求変化と直結している点です。一人暮らし用のワンルームや1LDKから、二人で生活できる広さへ——このライフステージの変化が、住宅購入という大きな決断のきっかけになるのは自然な流れです。
それ以外の動機も見てみよう
トップ3に続く動機も興味深いものがあります。
「賃貸の更新時期」12.1%
「更新のたびに払う2ヶ月分の更新料がもったいない」「どうせ払うなら住宅ローンの返済に回したほうが」という発想から購入を考え始める方も、全体の1割強います。賃貸の更新時期は2年ごとに必ずやってくる”節目”。この時期に住宅情報を調べ始める方が多いのは、不動産業界でもよく知られた現象です。特に20〜30代(それぞれ13.1%・18.5%)でやや高い傾向があり、賃貸から持ち家へのステップアップを考える年齢層と重なっています。
「テレビ・SNSでの広告を見た」10.3%
意外に思われるかもしれませんが、1割の方が「広告を見て考え始めた」と答えています。潜在的には「いつか欲しい」と思っていたところへ、タイミングよく広告が目に入り検討スイッチが入った——というパターンです。20〜30代(それぞれ16.4%・17.1%)で特に多く、SNSや動画広告が若年層の住宅購入検討のきっかけとして一定の役割を果たしていることがわかります。
「勤務先の近くに住みたい」11.8%
テレワークが普及したとはいえ、「会社に近い場所に住みたい」という需要は根強くあります。特に20〜40代の現役世代(18.0%・12.3%・14.6%)で比較的高く、通勤の負担を減らしたいというニーズが住宅購入の引き金になるケースも少なくありません。
「その他」12.1%
自由記述も含む「その他」が12.1%。この中に、定年退職を機にした住み替え、親の介護のための同居・近居、相続した土地への建築など、個人の事情によるさまざまなきっかけが含まれています。年代が上がるほどこの「その他」の比率が高くなり(60代22.1%・70代以上27.9%)、高齢層ほど一人ひとりの事情が多様であることが伝わってきます。
年代別に見ると、「家を買う理由」は変わる
ここまでのデータをまとめると、住宅購入のきっかけには明確な年代パターンがあることがわかります。
| 年代 | 特に多い動機 |
| 20代 | 結婚・同棲(34%)、子どもの誕生(38%)、収入増(31%) |
| 30代 | 子どもの誕生・進学(46%)、収入増(25%)、賃貸更新(19%) |
| 40代 | 子どもの誕生・進学(42%)、結婚・同棲(29%)、収入増(22%) |
| 50代以上 | 子どもの誕生・進学(30%前後)、収入増(20〜21%)、その他が増加 |
20〜40代では「子どもの誕生・進学」「結婚」「収入増」の3つがほぼ入れ替わりながらトップを争います。一方、50代以降は「その他」の比率が上がり始め、定年や相続、介護など、ライフステージ後半に特有の事情が浮かび上がってきます。
まとめ——あなたのきっかけは、どのタイプ?
今回の調査から見えてきたのは、住宅購入のきっかけには大きく「ライフイベント型」と「経済的機が熟した型」の2種類があるということです。
「ライフイベント型」は子どもの誕生・進学や結婚など、家族構成や生活の変化がトリガーになるパターン。「経済的機が熟した型」は収入・貯蓄の増加という、財布の準備が整ったことがトリガーになるパターンです。
多くの人は、この2つが重なったときに「今だ」と感じて本格的に動き始めます。子どもが生まれて「広い家が欲しい」と思い始め、数年後に貯蓄が溜まって「そろそろ買えるかも」と気づいたとき——あのなんとも言えない”タイミングが来た感”は、住宅購入を経験した多くの方に共通する感覚ではないでしょうか。
「まだ早いかな」「もう少し貯まったら」と先送りしがちな住宅購入ですが、今回の調査では「きっかけはある日突然やってくる」ということも見えてきました。大きなライフイベントを前に「どんな家が自分たちに合っているのか」をあらかじめ考えておくことが、いざというときに慌てずに動ける準備になるはずです。
次回は、住宅購入を考えている人たちが「いくらの予算で考えているのか」、1000人のリアルな数字を見ていきます。
本記事は、住宅購入を検討する男女967名を対象に実施したインターネットアンケート調査(複数回答)のデータをもとに作成しています。


















