【名古屋】部活動の民間委託で何が変わる?制度の概要とメリット・デメリット

2020年9月より部活動の民間委託化が本格的に始まった名古屋市。
この記事では、名古屋市が実施している具体的な取り組みと、部活動を民間に委託するメリット・デメリットについて解説しています。
部活動改革が今度どのように進んでいくのかについても紹介しているので、小学生のお子さんがいる親御さんや、指導者の活動に関心のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。

部活動の民間委託とは?名古屋市の取り組み

文部科学省では、学校における働き方改革の一環として、部活動の地域移行や複数校合同化といった取り組みが検討されてきました。
持続可能な部活動と教師の負担軽減を実現するために定められた部活動改革の方向性は以下の通りです。

  • 部活動は必ずしも教室が担う必要のない業務であることを踏まえ、部活動改革の第一歩として、休日には教会指導を行わないことと同様に、休日に教師が部活動の指導に携わる必要がない環境を構築
  • 部活動の指導を希望する教師は、引き続き休日に指導を行うことができる仕組みを構築
  • 生徒の活動機会を確保するため、休日における地域のスポーツ・文化活動を実施できる環境を整備

出典:https://www.mext.go.jp/content/20200901-mxt_kouhou01-100002242_7.pdf?fbclid=IwAR2iRYthgqMGcPXJswXdDbZW1HRPL_m5djgchZ6reWa8Mu5JaoIQHAD88iM

この改革案を受け、名古屋市では2020年9月から小学校4年生~6年生を対象とした民間委託による部活動をスタートさせました。
2019年9月からモデル校として既に市内の5校へ導入されており、今年9月からは対象となる学校が名古屋市(西区・中村区・熱田区・港区・南区・守山区・名東区・天白区)の133校に拡大。
今後も段階的にエリアが拡大されていく予定です。

具体的な活動内容は以下の通り。

対象児童 対象校に在籍する小学校4年生~6年生の児童
活動日 火曜日~金曜日のいずれか週3日
活動時間 1日1.5時間以内
活動場所 小学校内
活動内容 軟式野球・ソフトボール・サッカー・バスケットボール・器楽・合唱など
※学校によって異なる
費用 無料
※障害・賠償保険の加入料金として年間数百円程度を予定

参加は任意で、学校ごとに用意された種目から最大3種目を選択して通年で活動できる仕組みとなっています。
活動のあり方や特長など、より詳細な内容についてはコチラをご参照ください。

民間委託によるメリット

学校の部活動を民間事業者へ委託する主なメリットは以下の通りです。

教師 部活動の指導時間を授業の準備などに充てられる
業務効率化によって残業時間を削減できる
地域との関係性が強まり、日常的な連携が取りやすくなる
児童 専門知識を持った指導者からアドバイスを受けられる
活動の選択肢が広がり、通年で複数の種目を体験できる
種目ごとに新たな友人関係が構築される、また地域の交流も深まり様々な人間性に触れることができる

近年、長時間労働や未経験種目の指導など、部活動に対する教師側の負担が問題視されてきています。
また専門知識を持たない教師が指導を行うことで、児童が十分な技術を身に付けられないのではないか、という点も問題点として挙げられています。

このような背景から部活動改革の推進が始まり、全国的に様々な取り組みがされてきました。
名古屋市でも部活動の民間委託が行われることによって、教師の負担軽減や児童の技術向上といった効果が期待されています。

民間委託にはデメリット・課題もある

名古屋市が実施する部活動の民間委託化は一見するとメリットの多い取り組みです。
しかし、今後民間委託を行う学校規模を拡大していくには以下のような課題を解決しなければなりません。

  • 民間委託に伴う費用の工面
  • 指導者・引率者などの人材確保

名古屋市教育委員会が発表した20年度の予算案では、部活動改革にともなう関連経費として約5億4,000万円が計上されています。
133校での民間委託に対して5億円かかるとなれば、今後民間委託を行う学校が名古屋市全体(261校)に広まった場合、その額は10億円近くになるでしょう。
この費用をどのように工面するのか、名古屋市の今後の動向が注目されます。

また部活動の指導者として外部の人材を1,000人規模で確保する必要があります。
名古屋市は「なごや部活動人材バンク」を開設し、現在も人材募集を行っていますが、必要数を確保できる見通しは立っていません。
地域や種目による指導者の偏りなども今後の課題として考えていかなければならないでしょう。

部活動改革のスケジュール

文部科学省の計画では、2023年度から部活動改革の全国展開を本格的に実施する予定となっています。
具体的な方策として現時点で挙げられているものは以下の通りです。
<休日の部活動の段階的な地域移行>

  • 休日の指導や大会への引率を担う地域人材の確保
  • 保護者による費用負担・地方自治体による減免措置等と国による支援
  • 拠点校(地域)における実践研究の推進とその成果の全国展開

<合理的で効率的な部活動の推進>

  • 地域の実情を踏まえ、都市・過疎地域における他校との合同部活動の推進
  • 地理的制約を超えて生徒・指導者間のコミュニケーションが可能となるICT活用の推進
  • 主に地方大会のあり方の整理

出典:https://www.mext.go.jp/content/20200901-mxt_kouhou01-100002242_7.pdf?fbclid=IwAR2iRYthgqMGcPXJswXdDbZW1HRPL_m5djgchZ6reWa8Mu5JaoIQHAD88iM

上記の取り組みに合わせ、各都道府県・市町村はスポーツ・文化環境の整備や活動時間の適正化を進めることが必要です。

まとめ

部活動が民間委託されることで、子どもたちがより多くの種目を体験し、一人一人の可能性を伸ばす機会が増えるというメリットがあります。
一方で費用や人材確保などの課題も残されており、事業が安定するまでには時間を要することが予想されます。
現時点で民間委託の対象となっているエリアの方もそうでない方も、今後の名古屋市の動きに注目してみてください。

記事内の情報は令和2年9月25日のものです。

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