「土地探しって、思ったより大変だった」
住宅購入を経験した方から、こんな感想をよく聞きます。「どこで情報を探せばいいかわからない」「予算に合う土地が全然見つからない」「土地と建物を合わせていくらかかるのかが読めない」——困りごとは人それぞれ、かつ多岐にわたる印象がありますよね。
でもデータを見ると、意外なことがわかりました。土地探しで感じる課題は、ほぼ3つに集中していたのです。
今回は967名の調査のうち、実際に土地探しを経験した758名を対象に「土地探しで困ったこと」を分析します。
調査の概要
– 対象: 土地探しを経験した方(購入済み・検討中含む)758名
– 質問形式: 複数回答可
– 選択肢: 予算・情報・費用感・技術的知識・相談先など
「三大壁」がほぼ同率で1〜3位を独占
結果を見て、まず驚くのはそのシンプルさです。上位3つが横並びで、他を大きく引き離しています。

土地探しで困ったこと(複数回答、n=758)
| 順位 | 悩み | 割合 |
| 1位 | 土地と建物のトータル費用が読みにくい | 32.2% |
| 2位 | 希望エリアで予算内の土地が見つからない | 31.1% |
| 3位 | 良い土地情報が入手しにくい | 30.7% |
| 4位 | 土地の法規制・地盤など技術的なことがわからない | 16.4% |
| 5位 | どの会社に相談すればよいかわからない | 15.3% |
1〜3位の差はわずか1.5ポイント。「三大壁」と呼んでもいいほど、この3つが団子状態でトップに並んでいます。4位以下との差は15ポイント以上あり、土地探しの難しさがこの3つに集約されていることが浮き彫りになります。
一方、「特に困らなかった」と答えた方も27.2%いました。4人に1人強が「スムーズに進んだ」側にいる——この背景については後ほど詳しく見ていきます。
1位「トータル費用が読みにくい」32.2%——最も多くの人を悩ませた課題

1位「土地と建物のトータル費用が読みにくい」年代別
※土地探しを経験した回答者(n=758)を対象
土地と建物の費用を合算してイメージするのは、思いのほか難しいことです。
土地の価格は一目見ればわかります。でも「この土地に、自分が考えている家を建てたらいくらになるのか」は、ひとつの数字として出てきません。建物の仕様や広さによって大きく変わりますし、地盤改良が必要かどうか、外構費用はどうか、諸費用はどのくらいかかるか——変数が多すぎて、素人目には全体像が見えにくいのです。
この悩みは特に若い世代で顕著です。20代(46.0%)・30代(42.9%)では、全悩みの中で最多に。住宅購入が初めてであるほど、「一体いくらかかるのか」という総額感がつかめないまま動き始める現実がここに表れています。
2位「予算内の土地が見つからない」31.1%——「ある」けど「買えない」のが現実

2位「希望エリアで予算内の土地が見つからない」年代別
※土地探しを経験した回答者(n=758)を対象
「希望エリアで予算内の土地が見つからない」という悩みは、シンプルですが切実です。
希望エリアへの思いは強い。でも、そのエリアで自分が買える価格の土地がなかなか出てこない——首都圏や関西圏、地方中核都市などでは特に、この「需給のミスマッチ」が土地探しを長期化させる大きな要因になっています。
年代別に見ると、30代(41.7%)・40代(39.5%)で特に高くなっています。働き盛りで購買力が上がっている世代でも、希望エリアの土地価格には追いつけないケースが多いことを示しています。「もう少し予算があれば……」ではなく「そもそも出てこない」という供給側の問題が、この数字の根底にあります。
興味深いのは、探し始めるタイミングによっても悩み方が異なること。住宅会社と並行して土地を探した「並行型」では45.0%がこの悩みを感じているのに対し、住宅会社を決めてから探した「後追い型」では28.1%と低くなっています。住宅会社のネットワークで探してもらう分、候補が広がりやすいのかもしれません。
3位「良い土地情報が入手しにくい」30.7%——「出ている情報」と「本当の情報」のギャップ

3位「良い土地情報が入手しにくい」年代別
※土地探しを経験した回答者(n=758)を対象
ポータルサイトには毎日多くの土地情報が掲載されています。それでも「良い情報が入手しにくい」という悩みが3割を超えているのは、なぜでしょうか。
理由のひとつは、ポータルに出ない土地の存在です。不動産業界では「未公開物件」と呼ばれる、一般に広く公開される前に流通する物件があります。土地の場合、地元の不動産会社や住宅会社のネットワークにしか情報が来ないケースも少なくありません。「検索しても出てこない」だけでなく「そもそも公開されていない」という情報格差が、この悩みの正体のひとつです。
もうひとつは、情報の質への不満です。掲載されている情報だけでは、日当たり・周辺環境・地盤の状態などの重要な要素が判断できない。現地に行って初めて「ここはちょっと……」となるケースも多く、「情報の量」はあっても「意思決定に使える情報の質」が足りないというギャップが生じます。
この悩みは、50代(32.6%)・40代(37.7%)・30代(38.3%)でも高く、幅広い年代に共通する課題です。
4位以下の悩みも見ておこう
上位3つほど多くはないものの、注目すべき悩みが2つあります。
「土地の法規制・地盤など技術的なことがわからない」(16.4%)
用途地域、建ぺい率・容積率、高さ制限、接道義務——土地には建物の建て方を規定するさまざまなルールがあります。「この土地、理想の家が建てられるの?」という疑問に、素人が自力で答えるのは難しい。この悩みは特に並行型(22.5%)や後追い型(24.6%)で高く、住宅会社と一緒に探す過程でこうした技術的な要素が判断材料として浮上してくる様子が伝わります。
「どの会社に相談すればよいかわからない」(15.3%)
この悩みが特徴的なのは、若い世代ほど高いことです。20代(22.0%)・30代(21.7%)・40代(20.2%)に対し、60代は5.2%、70代以上は5.6%。初めて住宅購入に向き合う若い世代にとって、「不動産会社に行けばいいのか」「住宅メーカーに行けばいいのか」「ファイナンシャルプランナーに相談すべきか」という入口の迷いが、かなりの割合で存在することがわかります。
「特に困らなかった」27.2%の内訳を読む
全体の27.2%を占める「特に困らなかった」層——これを年代別に見ると、実は明確な傾向があります。

「特に困らなかった」の割合 年代別(n=758)
年代が上がるほど「困らなかった」割合が増えているのです。これは前回の記事でも触れたように、60代以上には「土地はすでに持っている」方が多いことと関係しています。親から相続した土地や長年保有してきた土地がある場合、土地探しそのものが不要になるわけですから、「困りごとがない」のは当然のことです。
逆に言えば、土地をゼロから探す必要がある若い世代ほど、上位3つの壁にぶつかりやすい——これが土地探しのリアルです。
まとめ——土地探しの「三大壁」と向き合うために
今回の調査が示したのは、土地探しで感じる困りごとがほぼ3つに集約されているということです。
「トータル費用が読みにくい」「予算内の土地が見つからない」「良い土地情報が入手しにくい」——この3つはそれぞれ独立した問題のように見えて、実はつながっています。総額が見えないから予算の上限が判断しにくく、予算の判断ができないから動ける範囲が狭まり、動ける範囲が狭まるから情報の網も狭くなる。
この連鎖を断ち切るためには、早い段階で「土地と建物の総額感を一緒に相談できる窓口」を見つけることが、遠回りのように見えて最も近道になるかもしれません。
次回は、住宅会社を何社比較したか、というデータを見ていきます。「多く見るほど良い」という感覚は本当に正しいのか——数字が語る意外な実態に迫ります。
本記事は、住宅購入を検討する男女967名のうち、土地探しを経験した758名を対象としたアンケート調査データをもとに作成しています(複数回答)。



















