区分所有とは?普通の所有とどう違うの?

区分所有という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。省略して「区分」とだけ言われることもあります。多くの方が分譲マンションを買う場合、それは区分所有権を購入しています。

では、具体的にどこからどこまでのどういう権利を「区分して」所有しているのでしょうか?ここでは区分所有の概要、専有部分、共用部分とその具体例、区分と共有の違いについて解説します。

区分所有とは?

区分所有については区分所有法第1条で区分所有建物が規定されています。

「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるとき」とされており、法律上の要件としては以下の2つが必要です。

1.建物の各部分に構造上の独立性があること

2.建物の各部分に利用上の独立性があること

1は建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていること言います。襖や障子、間仕切りなどで区切られているものは含みません。2は建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たす必要があることを言います。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用できることが必要ということです。壁などで構造上区切られていて、区切られた部分が住居や店舗等に利用できる場合、区分所有権の対象とすることができます。その上で各部分に別個の所有権が成立するとその建物は「区分所有建物」となり、民法の特別法である「区分所有法」の適用を受けます。この区分所有建物の代表例は分譲マンションです。

専有部分・共用部分とは?

区分所有のマンションには「専有部分」「共用部分」が存在します。「廊下や階段などみんなが使うところが共用部分」という理解で大きくは間違い有りません。しかし、実際にはもう少し細かい理解が必要です。

専有部分とは?

専有部分は建物の独立した部分として区分所有権の対象となっている部分のことを言います。分譲マンションの場合で言うと各戸の住居部分のことです。この専有部分を所有する者のことを区分所有者と言います。

共用部分とは?

一区分所有者が共同で利用する建物の部分を共用部分と言います。分譲マンションの場合の廊下やエレベータ、階段などのようにマンションに住む人たちが皆で利用するような部分です。この部分は区分所有者が共有しているものとなります。

区分所有建物の敷地についても区分所有者の共有ですが、建物が借地の上に建っていたりする場合は準共有と呼ばれ借地権を共有していることになります。敷地の所有権や借地権、地上権などの土地を利用する権利を区分所有権のなかでは敷地利用権と呼んでいます。共有するときの持分は専有部分の床面積の割合です。

壁は専有部分?共用部分?バルコニーは?

分譲マンションを例に取って専有部分なのか、共用部分なのかが分かりにくいところを解説します。

隣の家や上下の家との境界となる「壁」「床」「天井」。これも、建物の本体部分(躯体といいます)については、共用部分とされている事がほとんどです。床材や壁紙は専有部分です。

壁・床・天井と同じ考え方で、窓ガラスや網戸、玄関ドアも共用部分とされています。その他にも、専有部分と思われがちな共用部分は以下の部分があります。

それでは、バルコニー・ベランダはどうでしょう?バルコニー・ベランダは各居室についており、他の部屋の人が自由に入れる場所ではなさそうです。したがって、専有部分だと思うかもしれません。しかし、ほとんどのマンションでバルコニーは共用部とされています。バルコニーは避難経路となるためです。

バルコニー・ベランダは通常は他の人が利用できない専用使用権が認められた共用部分で、通常の共用部と区別するために、「専用使用部分」と呼ばれます。

・インターホン

・玄関ポーチ

・室外機置場

・室内の火災探知機

・給水配管

これらはいずれも、専用使用部分です。

専用使用部分の補修やリフォームを共有部分として管理組合が負担するのか、区分所有者が負担するのかは問題となりやすいところ。管理規約を見て負担がどちらかを確認しておく必要があります。

区分と共有の違いは?

区分所有建物の共用部分は区分所有者の共有、ということを言いましたが、ではこのときの共有とはそもそもどういうものでしょうか。共有は区分のように単独ではなく複数人で所有していることを言います。不動産で言えば親から相続した場合に3人の子供で共有する、というような場合です。単独で所有する場合に比べると不動産を売る様な行為をする場合に合意が必要というような制限があることが違いです。不動産を共有している場合に単独でできること、過半数の同意が必要なこと、全員の同意が必要なことは次のとおりです。

必要な同意行為内容
単独で可能使用共有する不動産に居住すること
保存共有する不動産の現状を維持するために修繕をしたり、不法占拠者を追い出したりすること
共有者の過半数の同意が必要利用短期で不動産を貸したり、貸している契約を解除したりすること
改良リフォームやリノベーションを行うこと
共有者の全員の同意が必要処分売却や抵当権の設定、借地借家法の適用を受けるような賃貸借契約を結ぶこと

まとめ

区分所有の概要、専有部分、共用部分とその具体例、区分と共有の違いについて解説しました。区分と言えばマンションというのは分かっていてもその細かい定義まではなかなか理解が及ばないもの。権利関係や費用負担もからんで売却するときなどのトラブル防止のために参考にしてみてください。下記の関連記事もあわせてご覧ください。

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