建築基準法上の道路とは?2項道路ってなに?

今回は主に建築基準法上との道路および2項道路について解説していきます。

道路の定義

道路法上の「道路」とは以下に掲げるものをいいます。

①高速自動車道

②一般国道

③都道府県道

④市町村道

道路法上の道路でないものとして農道、林道、私道などが該当します。それ以外にも国有地でありながら、道路法上の道路ではない里道というものも存在します。

道路の種類定義道路管理者費用負担
高速自動車国道全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡する道路その他国の利害に特に重大な関係を有する道路【高速自動車国道法第4条】国土交通大臣高速道路会社国、都道府県(政令市)
一般国道直轄国道’(指定区間)高速自動車国道とあわせて全国的な幹線道路網を構成し、かつ一定の法定要件に該当する道路【道路法第5条】国土交通大臣国都道府県(政令市)
補助国道(指定区間外)都府県(政令市)国都府県(政令市)
都道府県道地方的な幹線道路網を構成し、かつ一定の法定要件に該当する道路【道路法第7条】都道府県(政令市)都道府県(政令市)
市町村道市町村の区域内に存する道路【道路法第8条】市町村市町村

建築基準法上の道路

不動産においては道路交通法上の道路よりも、建築基準法による道路の定義のほうが重要です。なぜなら、建築基準法で定めた道路に接していない敷地には原則として建築物を建てることができないためです。

建築基準法の道路には、以下の種類があります。

建築基準法の条文(種別)内容
[1]法42条第1項第1号道路法による道路 (国道・都道・区道などの公道)
[2]法42条第1項第2号都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法などでできた道路 (開発道路)
[3]法42条第1項第3号建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に既に存在していた道 (既存道路)
[4]法42条第1項第4号都市計画法などの法律により2年以内に事業が行われる予定のものとして特定行政庁が指定したもの (計画道路)
[5]法42条第1項第5号土地を建築敷地として利用するために新たにつくる道で、特定行政庁から指定を受けたもの (位置指定道路
[6]法42条第2項建築基準法施行時に既に存在する幅員4m未満の道で特定行政庁が指定したもの (細街路、2項道路、みなし道路
[7]法附則5項建築基準法が施行される以前の法律であった市街地建築物法により指定された建築線で、建築線間の距離が4m以上のものは、法42条1項5号による位置指定道路とみなされます。

私道とは?

国や各自治体が所有している道路である「公道」以外が、個人や団体等が所有している「私道」と呼ばれている道路です。

 家を建てるのであれば『建築基準法上の道路』であるかどうかのほうが重要です。建築基準法上の道路ならば公道であれ私道であれ、その道路に面した土地に家を建てることができるからです。一方、『通路』としか認められていない公道や私道もあります。その場合は家を建てることができません

 みなし道路・2項道路とは

道路は車の通行や歩行などの一般の交通の用に供することはもちろんではありますが、建築基準法においては特に、災害時の避難路、消防活動の場、建築物の日照、採光、通風の確保といった安全で良好な生活環境を形成する上で重要な機能を果たしています。

建築基準法第42条第1項では全てが4m以上であるものと規定されています。しかし、第2項では4m未満であっても特定行政庁が満たしていると指定したものは建築基準法に適応した道路としています。これは、昔は幅が一間(約1.8m)など4m未満の道路が多かったことによる措置です。建築基準法ができる前から周囲の人々が道路として使っている道も多々あり、「みなし道路」に該当することができれば幅員4mに満たしていない場合でも住宅を建てることが可能です。なお、建築基準法第42条2項にこの規定があることから、みなし道路を2項道路と呼ぶことがあります。

家を建てるときに必要な条件とは「接道」

接道義務

建物を建てる敷地に接している道路を「接道」といいます。幅員4m以上の道路に2m以上接道していないと、建築基準法に反しますので建物が建てられません。これが「接道義務」です。接道せずに建物を建てた場合、後から工事を要求される可能性があります。

 なぜ2mと定められているかというと、消防車や救急車がスムーズにはいることができるようにするためです。

セットバック

接道義務は幅員4m以上の道路に対して規定されているのは基本ですが、4m未満の道路に接道することも認められています。建築基準法によれば、幅員1.8m以上の道路なら、「道路幅が4mある」と想定して建物を建築可能です。

 その場合、道路の中心線から2mの範囲を道路とみなして「セットバック」する必要があります。セットバックすることで幅員4mを確保します。家の対面側が崖や川、線路などになっているなら、片側だけ4mの地点までセットバックするようにします。

 本来、行政は消防車などの緊急車両が入ることができるように4m確保したいと考えています。しかし、現在住んでいる人に対し、いきなり「道路分の土地を明け渡し、家を建て替えてください」を言うことは難しいので、「建て替える際は土地をセットバックしてください」とお願いすることに起因しています。

 再建築不可物件

 家を建てるために土地を購入する際、「再建築不可物件」を見かけることがあります。「建物を取り壊して新しく建て替えができない物件」を再建築不可物件と呼び、間口が建築基準法上の道路に2m以上接していない物件が具体的に該当します。

 再建築不可物件がなぜあるのかといえば、接道義務がなかった時代に建てられた家や建造物が未だにたくさん残っているためです。その他の理由として、建築後に周りに他の家や工作物ができたことによって、いつのまにか「袋地」「旗竿地」の中に物件があることになったということもあります。どちらも再建築不可物件であり、このままの状態では接道義務を満たすことができません。

 このような物件を購入してしまえば、建物が老朽化してきたために建て替えをしたいと考えてもできないということが起こります。もちろん、再建築不可物件であれ条件を変えることができれば、理論上は建て替えが認められます。例えば、周囲の土地を購入し接道できる部分を確保するという方法です。しかし、多額の費用が発生する可能性があります。現実的に考えて、近隣住民が売買に応じてくれるとも限りません。その意味でも再建築不可物件であるかどうかという点は、最初に念入りに確認しておきましょう。

 43条但し書き道路とは

細心の注意を払っても再建築不可物件を購入してしまう失敗を犯してしまうことがあるかもしれません。接道義務を満たせない場合の救済措置として、建築基準法43条に但し書きがあるので覚えておきましょう。

 但し書きには以下のように書かれています。

ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない

 つまり、接道義務を満たしていない土地であっても、建築審査会に申請・許可されれば再建築が可能です。但し書き道路は申請ごとに調査を行い、それぞれの事情を踏まえて認可が下りる仕組みです。明確に「こうした条件を満たせば認可される」といった目安を設定しにくい傾向があります。しかし、申請を出したからといって必ずしも認可されるわけではありませんので注意しましょう。建築基準法43条の「一括同意基準」が但し書き道路の申請の基準として参考になります。該当地域ごとに認可が下りるための条件が記されており、申請の手順、資料の作成方法、テンプレートなども確認可能です。

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