今さら聞けないDXって何?「2025年の崖」とは?

「DX」という言葉をよく耳にするようになりました。最近ではテレビCMなどでも盛んに言われています。デジタルという言葉からITに関する何かだろうと想像できますが、具体的に何のことを言っているのかははっきりしないところがあります。ここではDXの定義や概念、目的と活用例について解説します。

DXの定義

DXの定義・概念について代表的な3つを紹介します。

一つ目は「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」

情報デバイスが人々にとって当たり前となり、皆に普及することによって独立していた個々の情報がつながり全体に影響を及ぼすようになる、大きなネットワークとなる、という考えです。2004年にスウェーデンのウメオ大学教授のエリック・ストルターマン(Erik Stolterman)に提唱しました。ビジネス視点というよりは社会や人類全体に影響を及ぼすものとしての視点といえます。

二つ目は「デジタル化による事業環境の変化に対応するためにデジタル技術とデジタルビジネスモデルを用いて組織を変化させ、業績を改善すること」

2010年代にコンサルティング会社であるガートナーや世界的に有名なビジネススクールIMDの教授マイケル・ウェイド氏らによって提唱されました。デジタルテクノロジーの普及に伴い産業構造が劇的に変化していく中、事業環境の変化を適切に捉えて対応していくこと、ビジネスモデルの転換や組織構造の変更などを積極的に行い、生き残っていけるビジネスを構築するという視点です。

三つ目は、「既存のシステム(レガシーシステム)の老朽化やベンダー任せのシステム開発や維持の問題点を克服し、DXを実現し経済を発展させること」

2018年に経済産業省が取りまとめたDXを実現していく上でのアプローチや必要なアクションについてのガイドライン「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」で提起されているものです。企業の競争力の維持、強化のためにDXを進めていくわけですが、その障害となっているのが既存のシステムの老朽化や複雑化、ブラックボックス化と言われています。

そして、この3つ目のDXが、DXの意味として、近年、最もよく使われているものです。

新しいデジタル技術を導入したとしてもデータの活用や連携が難しく、限定的になってしまうこと、既存システムの保守、維持のために多くの費用や人材がかかりDXに資源が配分できなくなってしまうことに対する問題提起といえます。日本の企業においてのDXの取り組みはこの経済産業省のDXレポートに示されたガイドラインに基づいて行われているのが現状です。

出典:経済産業省

http://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010.html

2025年の崖とは?

DXレポートの中では日本の産業界が抱える問題が指摘されています。2025年の崖問題といいます。これは既存のシステムのブラックボックス化、複雑化を解消しないと2025年から30年までの間に最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があるという問題のことです。

今の既存システムの多くは事業部門ごとに構築されていて、全社でのデータ活用が難しいつくりになっています。加えてユーザーの利便性を重要視したカスタマイズが行われていて仕様が複雑なことからブラックボックス化し、業務のやり方自体を変更しないと既存システムの単純化や共通化できないものです。このことから複雑な既存システムの保守・維持の費用が増大することに加えてIT人材の枯渇が起こることが予想されています。

2025年までに既存システムの刷新を行い、その後のDXの流れに乗って将来の成長と競争力を手に入れる必要がある、という問題提起になります。

DX実現シナリオ

DXレポートでは2025年の崖問題を克服するシナリオも提案しています。その中では、既存システムのブラックボックス状態を解消してデータをフル活用したDXを実行することを推奨しています。具体的には、クラウドサービスや共通のプラットフォームを利用することによって新しいデジタル技術に効率用投資し、既存システムの維持・管理の費用を投資効果の高い分野にシフト。

AIやアジャイル(仕様の変更を前提にプログラム開発を短期に行う手法)、マイクロサービス(機能を細分化してプログラミングし、その集合体としてアプリケーションを完成する手法)により迅速なシステム導入を実行します。そしてIT人材を新たなデジタル分野にシフトすることによってあらゆる企業がDXを実行可能にして2030年に実質GDP130兆円超の押し上げ効果を実現するというシナリオです。

DX取り組みの例

DXの取り組みはいろいろな分野で進められています。例としてはアマゾン。インターネットでの書籍販売が有名です。当初は書籍を通販で購入することにはなじみがなかったものの、ユーザーの利便性を追及し、レビューを掲載したり、ユーザーの購入履歴や閲覧履歴からおすすめの書籍を提案したりする機能を追加し圧倒的な支持を得るようなりました。取扱商品も書籍に留まらず日用品や家電、食料も扱うようになり、大成功を収めています。

不動産AIを活用したクラウドファンディング

不動産投資にもDXが活用されています。TSONが提供する投資案件は独自開発の不動産AIが選定した対象不動産に小口投資する不動産投資ファンドです。投資対象の市場化価値を的確に判断するためにAIを活用している事例になります。TSONのページをご参照ください。

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まとめ

DXの定義や概念、目的と活用例について解説しました。お勤めの会社や身の回りでもDXの取り組みが始まっているかもしれません。新しいデジタル技術で世界がつながる世の中。これからのデジタル進化に注目です。

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