コロナワクチンいつできるの?-ワクチンができるまで

新型コロナウイルス感染症が流行してからワクチンの話を耳にすることも多いと思います。ワクチンの開発が急務となってるなかで世界中の製薬会社が競ってワクチンの開発を進めていますが、まだ有効性を確認されたものはありません。ここではそもそもワクチンとは何なのか、ワクチン開発の過程、そして新型コロナウイルス感染症のワクチンの開発状況について紹介します。(記事内の情報は令和2年11月日のものです)

ワクチンとは?

ワクチンとは感染症の原因であるウイルスや細菌を精製・加工して無毒化、もしくは弱毒化したものです。もともと人体が感染症にかかると身体の中で抗体ができ、次に身体に病原体が入ったときに攻撃するようなるという免疫の仕組みを利用したもので、ワクチンを体内に投与して体内に抗体をつくり免疫を獲得することを目的にしています。病原体に効くワクチンを接種しておけば、その病気になりにくくなる状態を作ることができるため、感染症の予防に広く利用されています。例としては、赤ちゃんが受けるBCGや4種混合、大人も受けるインフルエンザなどがあります。では、ワクチンはどのようにしてつくられるのでしょうか?

ワクチンができるまで

ワクチンができるまでにはいくつかのステージがあり、一般的には10年以上の年月と1,000億円ともいわれる開発費がかかります。ステージはそれぞれ1.基礎研究、2.非臨床試験、3.臨床試験(治験)、4.ワクチンの申請と承認そして製造販売です。それぞれのステージの概要と期間をご紹介します。

1.基礎研究(2~3年)

基礎研究はワクチンの候補となる物質を決める段階になります。弱毒化した病原菌やウイルスの断片、細菌が放出する毒素を原料にするのが一般的です。

2.非臨床試験(3~5年)

ワクチンになる可能性がある物質に対して有効性と安全性を確認する段階になります。培養した細胞や動物を使い試験をします。

3.臨床試験(治験)(3~7年)

臨床試験は人に対して投与して人に対する有効性と安全性を試験する段階になります。この試験は3段階(3相)に分かれていて、ワクチンの認可を取得するためには、健康な被験者を対象に一定の期間をかけてデータを取り検証を行う必要があります。それぞれ以下のようになっています。

第1相:100人以下で行い、1年以内に完了できる初期安全性・免疫原性試験(抗体ができるかどうかの試験)です。

第2相:数百人で行い、完了に1~3年を要する安全性・用量漸増・免疫原性試験です。

第3相:数千人で行い、完了に3~5年を要する大規模な安全性・有効性の試験です。

4.ワクチンの申請と承認(1~2年)そして製造販売

臨床試験で安全性、有効性が確認されたら厚生労働省に承認申請をして承認手続きを行います。厚生労働省は、医薬品医療機器総合機構に審査を依頼し、その審査を通過した後に、学識経験者などで構成する薬事・食品衛生審議会の審議を経て、厚生労働大臣が許可すると、医薬品として製造・販売することができます。

このように大変長い期間とお金がかかるプロセスが必要なことがお分かりいただけると思います。

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発状況

それでは、新型コロナウイルス感染症のワクチンの開発状況はどうなっているのでしょうか。主要な会社の状況を紹介します。

会社(国)臨床試験段階生産・供給見通し日本国内の状況
ファイザー社第2・3相2020年中に100万人規模~2021年に数億人を目指す日本国内で第1・2相試験を開始。2021年6月末までに1.2億人分の供給を基本合意している
アストラゼネカ社オックスフォード大(英)第2・3相(英・米)全世界に20億人分を計画日本国内で第1・2相試験を開始。2021年3月末までに3,000万回分の供給を基本合意している国内生産体制整備が計画されている
モデルナ社(米)第3相全世界に5~10億回分を計画2021年上期4,000万回分、第3四半期に1,000万回分の供給契約を締結(武田薬品工業株式会社の流通を使う)
ジョンソン&ジョンソン社(ヤンセン社)(米)第3相世界で年10億人分を目指す日本国内で第1相試験を開始。
ノババックス社(米)第3相2020年に年1億回分を目標タケダが原薬から製造販売予定。年2.5億回分の生産能力を構築する計画

<出典>厚生労働省ウェブサイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

2020年11月15日時点

このように海外ではすでに第3相の臨床試験に入っているものがあります。

そして厚生労働省では、本来はワクチンの承認の後になされる生産体制の整備の期間を圧縮するため、整備のための基金を設置して民間のリスクを政府が負担する形にし、ワクチンの承認に先立ち生産体制の整備を民間企業が行えるような仕組みづくりに取り組んでいます。

まとめ

いかがでしょうか。通常ワクチンの開発開始から承認、そして接種までには10年以上の年月と莫大な費用がかかること、新型コロナウイルス感染症のためのワクチン開発も途上ではあるものの、臨床試験の第3相が行われているものがあること、国内でも効果が確かめられた場合の承認手続きや生産体制の構築の短期化に取り組まれていることがお分かりいただけたかと思います。早く安全で有効なワクチンができることを期待しましょう!