平地が多い愛知県のメリット・デメリットは?愛知県の土壌の特性

平野の多さ

愛知県の西部から南部にかけての範囲は比較的平坦な地形をしており、愛知県の54%は標高100メートル未満の土地に占められているなど、山が多い日本の中でも平野の多さは特徴的です。その平野の多さは愛知県を取り巻く河川によって影響されています。

まず一つ目は木曽川や庄内川、揖斐川の木曽三川が作り出す濃尾平野です。濃尾平野は全国でも2番目に面積が大きいと言われています。
岐阜県の南西部から愛知県の北西部にかけて広がっており、南西部にある木曽三川の河口付近では伊勢湾に沿ってできている伊勢平野に繋がっています。

濃尾平野は河川によって土砂が運ばれ、氾濫原や河口にその土砂が溜まることでできる沖積平野です。そのため川の豊かな恵みが土地を肥沃にし、農作などにも向いている土地を作り出します。

また濃尾平野には地形によって3つの範囲に分けられます。まずは北東部にある木曽川河岸段丘群といって階段状の地形を指します。次に扇状地地域といって土砂などが扇状に堆積する地形を指します。最後に中央部の氾濫原や伊勢湾沿岸に見られる三角州地域で、土砂が河口付近に三角型に堆積する地形を指します。

2つ目の平野は矢作川が作る岡崎平野です。愛知県の中部から中南部に広がる平野で、濃尾平野に次いで愛知県では2番目に大きい平野です。
岡崎平野の南側には三河湾の渥美湾があり、西側には三河湾の知多湾に面するように広がっています。

矢作川の下流域が岡崎平野の東部に当たり、東部の矢作川と西部の境川流域によって沖積低地ができています。
また矢作川の右岸には、標高30〜50メートルの碧海大地が広がっており、碧海大地は平坦面が隆起したことによってできた洪積台地の特徴を持っています。

3つ目の平野は豊川によって形成される豊橋平野です。愛知県の南東部に広がっており、豊橋市や豊川市、新城市、蒲郡市、田原市の東三河地方に広がっています。
東三河地方でも最大の規模を誇る豊川の下流部に位置しています。

豊橋平野は三河湾に向かって広がっていくラッパ型の形をしており、豊川の両岸では2、3段くらいの河岸段丘が発達していることが分かります。
豊橋平野の地形は主に2つの特徴に分けられます。まずは愛知県東部の新城市付近から広がっている沖積平野です。次に豊川の両岸にある段丘状の洪積台地であり、洪積台地には左岸にある豊橋台地と右岸の豊川台地に分けられます。

河川の恵みによって肥沃な土地が作り出される濃尾平野、岡崎平野、そして豊橋平野ですが、河川流域付近に形成されている土壌はその土壌を構成している土が安定した基盤を作るのに適していない場合があります。

例えば堆積した土砂が不均質に並んでおり密度の高い礫質層ができていない場合や、表層に近いところでもともと岩石や地層が削られてできた二次堆積土が使われている場合には、住宅地の基盤として脆弱であることが考えられます。

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丘陵地帯

濃尾平野の東側に広がりを見せているのは、なだらかな起伏や小山が続く丘陵地帯です。特に濃尾平野の東側の丘陵地隊を「尾張丘陵」と呼びます。
尾張丘陵は南にさらに伸びていき、愛知県の知多半島を形成しており、定高性を持っているのが特徴です。

北部の尾張丘陵は海抜が200メートルほどで、木曽川の南にある犬山市から小牧市、春日井市、豊田市、瀬戸市の方へと続きます。
一方で南西方向へ伸びるにつれて海抜が100メートル以下とよりなだらかになり、長久手市から日進市、豊明市、名古屋市東部に続きます。

また知多半島北部の東海市や大府市の丘陵地隊のことを「知多丘陵」と呼びます。知多半島はもともと南北にかけて小高い丘陵地が続いていることが多く、平野が続く愛知県の中でも特に平坦な地形が少ない地域です。
洪積台地や新三代世紀層による丘陵に代表されており、標高は平均でも100メートル以下です。

これらの丘陵地隊ではいろいろな岩盤の種類でできた基盤の上に、不安定な地層を作っていることが多いと指摘されています。
不安定な地層は、固まりにくい性質を持つ森林性有機質土や、外的な力で岩石や地層が削られる侵食作用によって発生した二次的土砂などでできています。

そのため宅地で土地を利用する際には、地盤の状態をまず確認し必要であれば地盤状態の改変を行わなければいけません。
また自然状態の地盤と人工的な盛土部分とのバランスも考慮して対応しましょう。

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標高1000メートルほどの山脈地帯や山地

比較的平坦な地形が多い愛知県ですが、東西南北には山脈地帯も見られます。しかし愛知県の山地は侵食が進んでおり、1500メートルには満たない穏やかな山々が多いのが特徴です。

北部から北東部にかけては長野県から続いている木曽山脈がそびえています。
南の方に伸びているこの山脈には標高1000メートルを超える山も多く見られ、愛知県内での最高峰には標高1415メートルを記録する茶臼山があります。

木曽山脈では隆起によってできた「三河高原」と呼ばれる隆起準平原を標高1000メートルほどのところに形成しており、主に火成岩の一種である花崗岩からできていることが分かっています。

また愛知県にある東三河地域で、豊川に沿って上流に上ったところには茶臼山を含む設楽山地、豊橋市にまたがる八名弓張山地が広がっています。

地盤の状態に関しては丘陵地帯の地盤と同じく、基礎盤面やその上の二次層において地盤が脆弱な場合があります。
そのため住宅地の基盤として利用する場合には、その土壌の性質をしっかりと選定することが大切です。

表土や二次堆積土がしっかりしてるかどうか、固結土層が存在するか、傾斜地を使う必要があるかなどの点をクリアするだけでなく、形成された年代や発達の過程などを見ることを忘れないようにします。

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農地の多さ

愛知県には濃尾平野や岡崎平野、豊橋平野に代表される平野が広がっていますが、それに加えて愛知県を通る多くの河川が自然の恵みを土壌に与えてくれるため、農耕稲作に適した肥沃な土地が多く存在します。

統計によると愛知県全土の16.4%ほどは農地として利用されているようです。
尾張地域では21.4%を占め、愛知県の県庁所在地である名古屋市でも5.1%存在します。西三河地域では14.5%を占め、工業が盛んな豊田市でも7.9%、東三河地域では13.3%を占め、豊橋市では28.2%もの土地が農地に利用されています。

農地として愛知県の土壌が利用されているのには2つの時代の特徴が挙げられます。
1つ目は江戸時代などの近世に特に力を入れて行われた新田開発です。新田開発というのはかつて検知を受けていた土地以外にも、新たに土地開発を行い農耕稲作を盛り上げる施策のことを指します。
愛知県の各地域ではその肥沃な土壌のメリットを生かして新田開発が奨励され、しばしば大規模な治水工事なども伴いました。

2つ目は終戦以降に技術開発などにも助けられて発展した近郊農業です。愛知県には全国でも経済や文化の発祥地として非常に重要な役割を果たす名古屋市があり、その近郊で農業をするのに最適な土壌を有しています。
このことから愛知県にある各地域では近郊農業が盛んになり、例えば北名古屋市や春日井市、あま市、東海市などが力を入れています。

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ゼロメートル地帯

愛知県は平坦な地が多く、先ほど標高100メートル以内の土地が多いことにも触れましたが、満潮時の海水面より地表の標高が低い土地のことを示す「ゼロメートル地帯」も愛知県には多く存在しています。
愛知県内だけでも濃尾平野に位置している津島市や弥富市、愛西市、あま市、海部郡、名古屋市の一部などが挙げられます。

ゼロメートル地帯ができる原因としては、大昔の地殻変動によって海岸から離れた地域が鎮火したという原因や、より近世・近代の埋め立てや干拓によって低地が拡大したことなどの原因が挙げられます。

ゼロメートル地帯にいることのデメリットは、水害に弱いことです。
例えば集中豪雨があった場合や台風や津波などの水害が起こった場合に甚大な被害をもたらしやすくなります。
そのため堤防や水門、揚排水ポンプを設置するなど早めの対策を講じることが重要です。
かつてはこのような地形のデメリットに対応するために、集落の周りに堤防を作って生活する「輪中」という形態も広まっていました。

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液状化している地域も多い

液状化現象というのは、地震などで土壌が揺さぶられた際に地下水までの水位が高い砂地盤が水と合わさって液状化してしまう現象のことを指します。
液状化することによって土壌の上に立っていた大きくて重い構造物が倒れてしまったり、土壌の下にあった水道管などが地表に現れてしまったりする危険性があります。

低地の多い愛知県では、河川などに運ばれてきた大量の土砂によって地層ができており、その結果粘性土が軟弱になったり、ゆるい砂の層ができたりとしっかりとした地盤ができていないことが問題とされます。
また山地や丘陵地のところでも触れたように、侵食して流出した二次堆積土や腐植土や有機質土などを使った地層形成では地盤がゆるく危険性も高まります。

愛知県防災会議地震部会が行なった2003年度版の調査によると、液状化しやすい地域は愛知県の北西部である名古屋市西部や清須市、あま市、愛西市など尾張地方に集中していることが指摘されています。
また同様に地震による被害の影響に関しても、極めて地震で揺れやすかったり耐震性の高い建物ですら破損の危険性があったりするのは、液状化マップで指摘された同地域でした。

また脆弱な地盤であれば、地震以外でもちょっとした圧力で地盤が崩れてしまい液状化現象が起こる場合もあります。
例えば建設工事などで地盤にドリルを当てた際などにも、その振動で地盤の砂層が揺らされて液状化する可能性も指摘されています。

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まとめ

愛知県の土壌の特徴を見てみると、河川の恵みによりできた3つの広大な平野に代表されるような肥沃な土壌により農業などにもポジティブな影響を与えていることがわかります。
しかし一方で、平坦で低地であるがゆえに水害や液状化現象に打撃を受ける可能性もあり、今後も地盤対策に注目ができそうです。

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