「テラスハウス」という言葉を物件情報で見かけて、一戸建てとどう違うのか気になった方もいるのではないでしょうか。
テラスハウスとは、隣の住戸と壁を共有しながら横に連なった住宅のことで、各戸が専用の玄関を持っています。
総務省の住宅・土地統計調査では、「長屋建」に分類される住まいとして扱われています。
見た目は一戸建てに近いものの、建物が隣の住戸とつながっているため、所有のしかたや修繕のルールといった点で一戸建てとは異なる部分もあるのがテラスハウスの特徴です。
この記事では、テラスハウスが一戸建てとどう違うのかを整理しつつ、購入前に確認したいポイントを見ていきます。
テラスハウスを含む住宅購入をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
テラスハウスとは?公的な定義と名古屋での位置づけ

公的統計では「長屋建」に分類されている
総務省の住宅・土地統計調査では、住宅を建て方によって「一戸建」「長屋建」「共同住宅」「その他」の4つに分けています。
このうち長屋建は、2つ以上の住宅を1棟に建て連ね、各住宅が壁を共通にしながら、それぞれが外部への出入口をもつものと定義されており、いわゆる「テラスハウス」と呼ばれる住宅もここに含まれます。
一方の共同住宅は、廊下や階段などを共用する住宅が中心です。
つまり、廊下や階段を共用せず、各戸から直接外に出入りできるかどうかが、長屋建と共同住宅を分けるポイントといえるでしょう。
名古屋市では長屋建の半数以上が借家として使われている
長屋建は、住宅全体のなかでは数が少ない住まいです。
2023年における全国の長屋建は126万5千戸で、居住世帯のある住宅の2.3%にとどまります。
愛知県全体では9万9,900戸(3.1%)、名古屋市に絞ると2万4,800戸で割合は2.2%となっています。
1983年には8万1,010戸(12.3%)あったことから、この40年で大きく減ったといえるでしょう。
また所有の関係を見ると、名古屋市の長屋建は借家が1万3,300戸(53.6%)と半数を超え、持ち家は4,100戸(16.5%)です(残りの約3割は不詳)。
持ち家が91.2%を占める一戸建と比べると、長屋建は賃貸住宅として使われている割合が高いと読み取れます。
購入を前提にテラスハウスを探す場合は、候補となる物件が限られる可能性も念頭に置いておくと安心です。
出典:
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」
愛知県「あいちの住宅・土地 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」
名古屋市「令和5年住宅・土地統計調査結果(名古屋の住宅・土地)住宅及び世帯に関する基本集計」
テラスハウスと一戸建て・マンションの違い

建て方による主な違い
テラスハウスをひと言で表すと、一戸建てとマンションの中間にあたる住まいです。
暮らし方は一戸建てに近い一方で、建物のつくりや権利の持ち方には、マンションと共通する部分があります。
以下は住宅・土地統計調査等の定義に基づき、一戸建て・テラスハウス・マンションの特徴をまとめた表です。
| 一戸建て | テラスハウス(長屋) | マンション(共同住宅) | |
| 建物のつくり | 1棟に1住宅 | 1棟に複数の住宅が連なる | 1棟に複数の住宅が入る |
| 隣の住戸との関係 | 独立している | 壁を共有している | 壁や床を共有している |
| 共用の廊下・階段 | なし | なし | あり |
| 玄関の位置 | 屋外に直接面する | 各戸が屋外に直接面する | 共用廊下などに面するものが多い |
| 権利の持ち方 | 土地と建物を所有するのが一般的 | 区分所有や共有など物件によって異なる | 区分所有が一般的 |
暮らし方は一戸建てに近い
テラスハウスには共用の廊下や階段がなく、各戸の玄関から直接外に出入りできます。
マンションのように、共用のエントランスや廊下を通って自宅に帰る必要はありません。
また住戸が横に並ぶ形なので、自分の住戸の上や下に別の世帯が住んでいることは基本的にありません。
住宅ローンの【フラット35】でも、テラスハウスのような連続建ての住宅は、マンションではなく「一戸建て住宅等」として扱われています。
上下の生活音を気にせずに済み、玄関まわりを自分の家として使える点は、一戸建てに近い暮らしやすさといえるでしょう。
建物は隣の住戸とつながっている
一戸建てとの大きな違いは、建物が隣の住戸と一体になっているという点です。
住戸の間の壁(界壁)については、建築基準法第30条で生活音を低減するための遮音性能の基準が定められています。
具体的には、界壁は原則として小屋裏や天井裏まで届かせることになっており、音が回り込みにくい造りにすることが求められています。
とはいえ、壁1枚で隣とつながっていることに変わりはなく、また屋根や外壁、基礎なども棟全体で一体です。
そのため、外壁の塗り替えや屋根の修理に関して、自分の住戸だけの判断では進めにくいという点は事前に理解しておく必要があります。
権利の持ち方はマンションに近いケースもある
一戸建ては、土地と建物を1人、または夫婦などの共有で取得するケースが一般的です。
これに対してテラスハウスは、1棟の建物を複数の世帯で分け合う仕組みとなっています。
そのため、マンションと同じく住戸ごとに区分所有として登記されている場合もあれば、建物や土地を複数人で共有する形になっている場合もあります。
区分所有または共有の場合、建て替えや建物全体の修繕を決めるときには、ほかの所有者との話し合いおよび決議・同意の手続きが必要です。
どの形で所有しているかは物件ごとに異なるため、購入前に必ず確認しておくようにしましょう。
具体的な確認方法は次章で解説します。
出典:住宅金融支援機構「【フラット35】対象となる住宅・技術基準」/e-Gov法令検索「建築基準法」(第30条)
テラスハウスを購入するときの注意点

テラスハウスは隣の住戸とつながっているぶん、一戸建てを買うときにはない確認ポイントがあります。
ここでは、購入前に押さえておきたい3つの点を順に見ていきましょう。
権利関係と建て替えのルール
最初に確認したいのは、その住戸をどのような形で所有することになるのかです。
法務局で取得できる登記事項証明書を見ると、住戸ごとに区分所有の建物として登記されているのか、建物や土地を共有しているのかがわかります。
区分所有の場合は、マンションと同じく区分所有法のルールが適用されます。
建物全体の建て替えは所有者による集会での決議で決まり、その要件は原則として区分所有者と議決権の各5分の4以上です(耐震性が不足している場合などは4分の3以上)。
また建物や土地を共有しているケースでは、民法のルールに従います。
民法第251条では、共有物に大きな変更を加えるには、ほかの共有者全員の同意が必要とされています。
いずれにしても「建て替えたいときに自分だけでは決められない」という前提で検討することが大切です。
住宅ローンと住宅ローン減税の面積要件
資金計画の面では、住宅ローンと住宅ローン減税の要件を事前に確認しておきましょう。
【フラット35】を利用する場合、テラスハウスは「一戸建て住宅等」として扱われ、住宅部分の床面積が50㎡以上であることや、原則として一般の道に2m以上接していることなどが求められます。
中古住宅の場合は、建築確認日が1981年(昭和56年)6月1日以後であることも要件です(それ以前の場合は耐震評価基準などへの適合が必要)。
また住宅ローン減税では、2026年から2030年までに入居する場合、床面積が原則40㎡以上であることが求められます。
ただし合計所得金額が1,000万円を超える人や、子育て世帯などへの借入限度額の上乗せを利用する人は50㎡以上が必要です。
なお区分所有として登記されている住戸では、壁の内側で測った面積(内法面積)で判定される点に注意が必要です。
図面や広告の面積と登記上の面積が異なる場合もあるため、要件ぎりぎりの住戸は登記事項証明書で確認しておくと良いでしょう。
外壁や屋根の修繕ルールと生活音への備え
購入後の暮らしに関わるのが、修繕と生活音の問題です。
外壁・屋根は棟全体で一体のため、塗り替えや修理の時期、費用の分担方法について取り決めがあるかを確認しておきましょう。
区分所有の建物であれば、管理規約や修繕のための積立金の有無も確認しておきたい項目です。
取り決めがない場合は、修繕が必要になるたびに、ほかの所有者と話し合って決めることになります。
また生活音については、建築基準法の遮音基準があるとはいえ、感じ方には個人差があります。
内見の際には、隣の住戸と接している壁の位置や、その壁に面した部屋の使い方を確認しておくと安心です。
出典:
法務省「区分所有法・被災区分所有法の改正について」
e-Gov法令検索「民法」(第251条)
国土交通省「住宅ローン減税」
国税庁「床面積の判定」
テラスハウスに関するよくある質問
Q. テラスハウスとタウンハウスは何が違う?
一般的には、敷地の持ち方によって呼び分けられることが多いようです。
各戸が自分の住戸部分の土地を所有する形をテラスハウス、敷地や庭、駐車場などを住民全体で共有する形をタウンハウスと呼ぶ使い分けが代表的です。
ただしこの呼び分けは慣習によるもので、不動産会社や物件によって使い方が異なる場合もあります。
建て方としては、どちらも隣と壁を共有して横に連なる住宅であり、統計上は「長屋建」に当たります。
そのため呼び名だけで判断せず、登記の内容や敷地の持ち方を確認することが大切です。
Q. 中古のテラスハウスでも住宅ローン減税は使える?
要件を満たせば、中古(既存住宅)でも住宅ローン減税を利用することが可能です。
耐震性については、1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅であれば要件を満たします。
それより前に建てられた住宅でも、耐震基準適合証明書などで一定の耐震基準を満たすことが証明されていれば対象になります。
あわせて、前章で紹介した床面積の要件も確認しておきましょう。
Q. 自分の住戸だけリフォームすることはできる?
住戸の内側の内装や設備の交換は、比較的自分で進めやすい部分です。
一方、外壁や屋根、隣との界壁など建物全体に関わる部分は、ほかの所有者との調整が欠かせません。
区分所有の建物では、管理規約で工事のルールが定められている場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
- テラスハウスは、隣と壁を共有して横に連なり、各戸に専用の玄関がある住宅で、統計上は「長屋建」に分類される
- 暮らし方は一戸建てに近い一方、建物のつくりや権利の持ち方にはマンションと共通する部分がある
- 購入前には、登記で権利の形を確かめたうえで、住宅ローン・住宅ローン減税の面積要件と修繕の取り決めを確認することが大切
テラスハウスは、一戸建てのような暮らしやすさを持ちながら、建物全体を隣の住戸と分け合う住まいです。
「自分だけでは決められないこと」を購入前に把握しておけば、入居後の想定外を減らせるでしょう。
戸建てとマンションの資産性の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。



















