新築一戸建てを検討するとき、「平屋にしようか、2階建てにしようか」と迷う方は少なくありません。
近年は平屋への関心が確実に高まっており、国土交通省「建築着工統計調査」によると、専用住宅全体に占める平屋(1階建て住宅)の着工割合は、この10年間で2倍以上に増加しています。
ただし「人気があるから」という理由だけで選ぶと、建築費や土地代で想定外の出費が生じることもあります。
この記事では、2026年時点における建築費・土地代・暮らしやすさの3つの観点から、平屋と2階建ての比較をまとめているので、愛知県・名古屋エリアでマイホームを検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
データで見る「平屋回帰」の現在地

「平屋ブーム」という言葉を耳にする機会が増えましたが、実際のデータはどうなっているのでしょうか。
国土交通省「建築着工統計調査」によると、専用住宅全体の着工戸数は2014年から2024年の10年間で約25%減少しています。
住宅全体の新築需要が縮小するなかで、平屋だけは着工数を伸ばし続けており、専用住宅に占める割合は7.4%から15.4%へ、10年間で2倍以上に拡大しました。
背景には、いくつかの社会的な変化があります。
まず、高齢化の進行により、階段のない暮らしへのニーズが高まっている点が挙げられるでしょう。
また子育て世帯からも「家族が同じフロアで過ごせる」という点が評価されており、平屋を選ぶ層は高齢者だけにとどまりません。
さらに世帯人員の減少傾向も、「広い2階は使わない」という判断につながっているようです。
こうした点から、平屋は一時的なトレンドではなく、人口構造や暮らし方の変化を反映した長期的な流れといえるでしょう。
平屋 vs 2階建て|建築費の違い

建築費の全国相場を確認する
住宅金融支援機構「2024年度フラット35利用者調査」によると、注文住宅(土地所有者が建物のみ発注するケース)の全国平均建築費は約3,936万円、平均延床面積は118.5㎡(約35.8坪)です。
土地も同時に購入する「土地付き注文住宅」では、平均所要資金は約5,007万円に上ります。
これはフラット35利用者のデータであり、すべての注文住宅の平均ではありませんが、現在の建築費水準を把握するうえで参考になる数値です。
なお、この調査では平屋と2階建てを分けた集計は公表されていないため、以下では構造上の違いから建築費の差を整理します。
平屋の建築費が高くなりやすい理由
平屋は、2階建てと同じ延床面積を確保しようとすると、基礎と屋根の面積がほぼ2倍になる計算です。
基礎工事と屋根工事は住宅建築のなかでもコストの大きい工程であり、この面積差が建築費に直接影響します。
加えて、延床面積が小さくなるほど1坪あたりの建築費(坪単価)は上がる傾向にあります。
キッチン・浴室・トイレといった水回り設備や、配管・電気工事などの費用は、床面積の大小にかかわらず一定程度かかるためです。
コンパクトな平屋を選ぶ場合は、この点を念頭に置いて予算を組む必要があるでしょう。
2026年時点、建築費は高止まりが続いている
国土交通省「建設工事費デフレーター」によると、木造住宅の建築費指数は2026年3月時点で前年同月比+5.9%と、上昇傾向が続いています。
2015年を基準(100)とした場合、現在の指数は149.3まで上昇しており、10年間で約5割のコストアップとなっています。
背景には、資材価格の高止まり・職人の人件費上昇・2024年から本格化した建設業の働き方改革による労務費増加などが重なっているといえるでしょう。
平屋・2階建てを問わず、現時点で建築費は高い水準にあり、今後すぐに下がる見通しは立っていません。
この前提を踏まえたうえで、予算計画を立てることが求められます。
平屋 vs 2階建て|土地代の違い

延床面積と必要な敷地の関係
平屋は全室を1階に配置するため、2階建てと同じ延床面積を確保しようとすると、その分だけ広い敷地が必要になります。
たとえば延床30坪の家を建てる場合、2階建てなら「1階15坪+2階15坪」で収まりますが、平屋の場合は1階に30坪分をそのまま確保しなければなりません。
土地には建築基準法に基づく「建ぺい率」(敷地面積に対して建物を建てられる割合の上限)が定められており、住宅地では概ね50〜60%が一般的です。
延床30坪の平屋を建てる場合、必要な敷地の目安は以下のとおりです。
| 建ぺい率 | 必要な敷地面積の目安 |
| 50% | 約60坪(約198㎡)以上 |
| 60% | 約50坪(約165㎡)以上 |
同じ延床面積の2階建てであれば、建ぺい率60%の土地で約25坪(約83㎡)の敷地があれば建築できる計算になります。
平屋は2階建てのおよそ2倍の敷地が必要になる、という点は、土地探しの段階から意識しておく必要があるでしょう。
愛知県の住宅地地価を確認する
国土交通省「令和8年(2026年)地価公示」によると、愛知県の住宅地平均地価は約13万2,130円/㎡(約44万円/坪)で、前年比+1.79%の上昇となりました。
平屋で延床30坪を確保するために、建ぺい率60%の土地を50坪(約165㎡)購入する場合、土地代の目安は以下のとおりです。
| エリア | 住宅地の地価目安(㎡単価) | 50坪(165㎡)の土地代目安 |
| 愛知県平均 | 約13万2,000円/㎡ | 約2,180万円 |
これはあくまで県平均の参考値であり、名古屋市内や人気の郊外エリアでは地価が大きく上回るケースもあります。
また同調査における愛知県内の地域別住宅地変動率は以下のとおりです。
| 地域 | 主な市町村 | 住宅地変動率(前年比) |
| 名古屋市 | 全16区 | +3.1% |
| 尾張地域 | 長久手市・日進市・東郷町など | +1.7% |
| 西三河地域 | 豊田市・安城市・刈谷市など | +1.4% |
| 知多地域 | 東海市・大府市・知多市など | +1.2% |
| 東三河地域 | 豊橋市・豊川市・新城市など | −0.2% |
名古屋市内は上昇幅が最も大きく、住宅地の地価水準も県内で最も高いエリアです。
一方、尾張・西三河地域は上昇が続きながらも名古屋市に比べて地価水準は低く、まとまった面積の土地を取得しやすい地域が残っています。
実際の土地探しでは、こうした購入候補地の地価公示・基準地価を個別に確認することが欠かせません。
愛知県・郊外エリアで平屋を選ぶ意味
国土交通省「令和8年(2026年)地価公示」における愛知県内の住宅地地価の傾向を見ると、名古屋市中心部に近いほど地価は高く、郊外に向かうにつれて取得しやすい水準になっています。
長久手市・日進市・東郷町といった名古屋東部の郊外エリアは近年地価の上昇が続いているものの、名古屋市中心部と比較すれば広めの土地を現実的な予算で取得できる地域です。
また豊田市・安城市・刈谷市などの西三河エリアも、自動車産業の好調を背景に地価は上昇傾向ですが、まとまった面積の土地が流通しやすいエリアでもあります。
平屋は広い土地が必要なぶん、土地代の総額が大きくなります。
郊外エリアで土地を探す場合は、この「土地の広さと地価のバランス」が平屋選びの現実的な判断軸になるでしょう。
平屋 vs 2階建て|暮らしやすさとトータルコストで比べる
平屋ならではのメリット
平屋の最大の特徴は、生活のすべてが1つのフロアで完結することです。
階段がないため、小さな子どもや高齢者にとって安全性が高く、将来的な介護や車いすへの対応も見据えたバリアフリー設計がしやすいという利点があります。
また家事動線のシンプルさも、平屋が支持される大きな理由のひとつです。
洗濯・料理・掃除といった日常の動きがワンフロアで収まるため、2階建てと比べて移動の負担が少なく、子育て中の共働き世帯にとっても使い勝手の良い間取りを実現しやすくなります。
さらに、家族間のつながりを感じやすいのも平屋の特性です。
2階建てでは子どもが自室に引きこもりやすくなりがちですが、平屋では自然と家族の気配が伝わる空間になります。
その他、重心が低く建物全体が地面に近いことから、地震時の揺れの影響を受けにくいといった構造面の特性もあります。
2階建てと比較して上層階への力の伝わり方が小さく、耐震性の確保がしやすい構造といえるでしょう。
見落としがちなデメリット・注意点
平屋を選ぶうえで事前に把握しておきたいのが、敷地の広さに依存した設計上の制約です。
プライバシーと採光の確保が、平屋の設計において最も難しい課題のひとつになります。
まず全室が1階に並ぶため、道路や隣家から室内が見えやすくなりがちです。
また建物の中央部に位置する部屋は窓を設けにくく、自然光が届きにくくなるケースがあるでしょう。
中庭を設けるなどの工夫で解消できますが、その分、設計の複雑さと費用が増す場合があります。
さらに防犯面でも注意が必要です。
すべての居室が地上階にあるため、2階建てと比較して不正侵入のリスク対策をより意識した設計が求められます。
維持管理費についても、2階建てとの違いを把握しておく必要があるでしょう。
同じ延床面積の2階建てと比較して、平屋は屋根と外壁の面積が大きいため、塗装や防水などの修繕工事が発生した際のコストは高くなる傾向があります。
トータルコストと選ぶ基準
ここまで見てきたように、建築費は同じ延床面積であれば平屋の方が高くなりやすい傾向があります。
土地代も、必要な敷地面積が大きい平屋の方が総額として高くなるケースが多いでしょう。
維持費(屋根・外壁の修繕費・固定資産税)についても、平屋は2階建てより負担が大きくなりやすい構造です。
一方で、平屋には「階段まわりの工事が不要」「構造がシンプルで耐久性を確保しやすい」という長期的なメリットもあります。
トータルコストだけで優劣をつけるのではなく、家族構成やライフプランに合った選択をすることが重要です。
以下に、それぞれに向いているケースを整理します。
平屋が向いているケース
- 高齢の家族と同居する、または将来の介護・バリアフリー化を見据えている
- 子育て中で、家族の気配を感じながら暮らしたい
- 郊外エリアで広めの土地を確保できる見通しがある
- シンプルな生活動線と管理のしやすさを優先したい
2階建てが向いているケース
- 名古屋市内など地価の高いエリアで、限られた敷地を有効活用したい
- 子ども部屋や書斎など、用途別に空間を分けたい
- 建築費・土地代を含めた総予算を抑えたい
- プライバシーを確保しやすい環境を優先したい
どちらが「得か」は、購入エリアの地価・家族構成・ライフプランの3つによって変わります。
「平屋は暮らしやすいが、総コストは高くなりやすい」という前提を理解したうえで、自分たちの条件に照らして選ぶことが、後悔のない判断につながります。
平屋に関するよくある質問
Q1. 平屋の建築費は2階建てより高いですか?
一概には言えませんが、同じ延床面積・同じ仕様で比較した場合、平屋の方が高くなりやすい傾向があります。
理由は、基礎と屋根の面積が2階建てのおよそ2倍になるためです。
これらは住宅建築において比重の大きい工程であり、延床面積が同じでも建築費に差が生じます。
また延床面積が小さいコンパクトな平屋では、水回り設備などの固定費が面積に対して割高になりやすい点も念頭に置いておきましょう。
Q2. 平屋に必要な土地の広さはどのくらいですか?
延床30坪の平屋を建てる場合、建ぺい率60%の土地であれば約50坪(約165㎡)以上が目安です。
建ぺい率50%の場合は約60坪(約198㎡)以上が必要になります。
同じ延床面積の2階建てであれば約25坪程度の敷地で建築できるケースもあるため、平屋はおよそ2倍の敷地を見込む必要があります。
土地を探す際は、購入候補地の建ぺい率を事前に確認することが欠かせません。
Q3. 愛知県・名古屋エリアで平屋を建てるとき、土地探しのポイントは?
国土交通省「令和8年(2026年)地価公示」によると、名古屋市内の住宅地は前年比+3.1%と県内で最も上昇幅が大きく、広めの敷地を確保するには相応のコストがかかります。
一方、尾張東部(長久手市・日進市・東郷町など)や西三河(豊田市・安城市・刈谷市など)のエリアには、生活利便性を保ちながら比較的まとまった面積の土地を探しやすい地域もあります。
平屋を前提に土地を探す場合は、建ぺい率と地価水準をあわせて確認し、「必要な延床面積を確保できる敷地が、予算内で取得できるか」を判断の軸にすると良いでしょう。
Q4. 子育て中の家族にも平屋は向いていますか?
向いているケースは多くあります。
階段がないため転落リスクがなく、家族全員がワンフロアで過ごすことで自然と目が届きやすい環境になります。
また家事動線がシンプルになることで、日常の負担軽減につながる間取りを実現しやすいという点も利点です。
ただし、子どもの成長にともなって個室の独立性を確保しにくくなる点は、間取り計画の段階から考慮しておく必要があるでしょう。
まとめ
- 平屋の着工割合は10年間で2倍以上に拡大しており、住まいの選択肢として定着しつつある(国土交通省「建築着工統計調査」)
- 建築費・土地代・維持費のいずれも、同条件の2階建てより高くなりやすい傾向があるため、トータルコストで比較することが欠かせない
- 暮らしやすさでは平屋が優れる面も多く、「得か損か」は家族構成・ライフプラン・購入エリアの地価水準の3つを軸に判断することが重要
平屋か2階建てかという選択に、絶対の正解はありません。
それぞれの特性を正しく理解したうえで、自分たちの暮らしに合った家を選ぶことが大切です。
東新住建では愛知・名古屋エリアを中心に平屋をはじめとした一戸建て物件を多数取り扱っています。
土地探しや資金計画のご相談もあわせて、ぜひ物件情報をご覧ください。


















