総選挙とは、国会議員を選ぶために全国規模で行われる重要な選挙で、国の未来を左右する一大イベントです。
総選挙が行われると、ニュースやSNSが「総選挙」の話題で盛り上がり、何か大きな変化が起こるような気がしますが、実際はどうなのでしょうか。
この記事では、総選挙と不動産価格の関係について、知られざるポイントを分かりやすく解説します。
【この記事で分かること】 ・総選挙によって、不動産価格や需要はどのように影響を受けるのでしょうか。 ・政策が不動産市場に影響を与えた世界の事例を6つ紹介しています。 ・不動産取引を検討している人が、総選挙前に考えるポイントを解説しています。 |
総選挙で不動産価格・需要は変動するのか

まずは、「総選挙」と「不動産価格」の関係性について解説します。
選挙期間中の不動産ニーズは下がる?
総選挙が行われると、不動産市場が停滞するという印象を持つ方もいますが、実際には選挙期間中に大きな変動は見られません。取引数が減少したり、需要が極端に変わったりする様子はほとんどないです。
選挙後の不動産価格に変動はあるの?
総選挙は2〜3年ごとに行われるため、不動産価格への影響についても限定的です。売り時、買い時を見定めたくなりますが、選挙の前後で大きな価格変動が起こることも少ないでしょう。
不動産価格の変動はむしろ、経済全体や金利政策、グローバルな要因によるものが大きいのです。
選挙期間の前後、投資家はどう動く?
総選挙が近づいているため、「投資を控えよう」「選挙後まで購入を待とう」と考える投資家はあまりいないようです。
多くの投資家は通常通りに不動産の売買や投資を続けています。選挙の時期でも、市場全体の安定性は保たれていることがほとんどです。

自民党の総裁選など政治体制におおきな変化があるときは、どの候補者が選ばれそうか、という思惑で株価が動くことはあります。
また、政権交代が起こると株式市場にとってはショック反応があることもあります。ただ、普段投資をしない人が、そういった先行きが読めない状況で市場に参加するのはリスクが高いのでおすすめしません(個人投資家)
総選挙は「政策」に注視!不動産需要・価格の変動事例紹介

前章で解説したように、総選挙自体が不動産の需要や価格に与える影響はあまり大きくありません。
しかし、選挙後に新たに選ばれた政治家や政権が実施する「政策」には注意が必要です。不動産市場は経済状況や金利の影響を受けやすく、住宅ローン控除や都市開発、税制の変更といった具体的な政策が価格に変動をもたらすことがあります。
本章では、政策が不動産の需要や価格に大きな影響を与えた事例を紹介しましょう。
政策によってプラスになった事例
1. アベノミクスによる金融緩和と不動産市場の活性化(2012年〜)
安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」は、大規模な金融緩和や財政出動を含むものでした。
特に、日本銀行(日銀)による超低金利政策が不動産市場に与えた影響は大きく、住宅ローン金利が低下したことで、不動産購入のハードルが下がり、需要が急増しました。
また、日銀による不動産投資信託(REIT)の買い入れも不動産市場に対する強力なサポートとなり、価格上昇の一因となったようです。
2. 住宅ローン控除制度の拡充(2000年代〜)
住宅ローン控除制度は、住宅を購入する人々に対する税金の優遇措置の一つです。この制度が拡充されたことで、多くの人が住宅を手に入れやすくなりました。
特に2009年以降、景気を刺激するために控除額が大幅に増えたことで、住宅の需要が高まり、不動産価格も上昇しました。このような税制の優遇措置は、国民が住宅を購入するための後押しとなり、価格変動の要素となっています。
政策によってマイナスになった事例
3. バブル期の土地基本法とその後の影響(1989年)
1980年代後半の日本のバブル経済期に、不動産価格が異常に高騰したことを受け、政府は1989年に「土地基本法」を制定し、土地の売買に対する規制を強化しました。
これにより、不動産市場は急速に冷え込み、土地価格はバブル崩壊後に大幅に下落しました。この政策は、不動産価格に対して打撃を与えた大きな事例です。
4. 中国政府による不動産投資制限(2010年代後半)
中国では、不動産バブルの懸念から政府が投機的な不動産購入を抑えるための政策(不動産価格コントロール政策)を導入しました。具体的には以下4つの措置です。
- 住宅ローン規制の強化
- 購入できる物件数の制限
- 販売価格の制限
- 地元以外の居住者による購入資格を厳しくする
この結果、中国の不動産市場は冷え込み、不動産価格が大きく下がる状況が見受けられました。
5. トランプ政権の減税政策(2017年〜)
トランプ政権の減税政策では、株式市場が上昇し、経済が活性化しました。
通常、長期金利が上昇すると住宅ローン金利も上がり、不動産市場は冷え込むことが多いです。しかし、トランプ政権の下では株価の上昇や経済成長への期待から不動産投資が盛んになり、不動産価格も上昇しました。
株式市場の好調が、投資家のリスクを取る姿勢を引き出したようです。その結果、商業用不動産や高級住宅を中心に市場が活気づき、トランプ政権の政策は不動産市場に好影響を与えています。
6. インドのデモネタイゼーション(高額紙幣廃止)政策(2016年)
2016年、インド政府は脱税対策として高額紙幣を廃止する「デモネタイゼーション」政策を実施しました。これにより、不動産市場では現金での取引が激減し、価格が一時的に低迷する様子が見られています。
インドの不動産取引の多くに現金が関わっていたため、この政策は市場に大きな混乱をもたらしました。しかし、その後、デジタル決済の普及や政策の安定化により、市場は徐々に回復しています。
日本の土地基本法と同じように、世界各国で政府が市場を冷やすための政策を実施すると、価格が急激に変動することがあります。
不動産市場において総選挙で注目するポイント

前章で解説したように、総選挙で当選した政治家が実施する政策は、市場に大きな影響を与える可能性があります。不動産投資や住宅購入を検討している方は、候補者の政策をよく理解し、その後の市場の動きについて予測することが重要です。
以下では、総選挙の際に注目すべきポイントを詳しく説明します。
候補者の政策をしっかり確認しよう
不動産価格や需要は、選挙結果そのものよりも、当選した政治家が掲げる政策に大きく左右されます。例えば、住宅ローン控除の拡大や固定資産税の見直し、都市開発計画などを通じて、これらの政策が不動産市場にどのように影響するかを理解することが大切です。
特に不動産投資を検討している方は、各候補者の経済政策や都市開発に関するビジョンをしっかりと見極め、政策の実施が市場に与える影響を予測することが求められます。
不動産価格にとってプラスになる政策 |
・株価を高値で誘導する政策 ・金融を緩和する(利下げなど)政策 ・設備投資の促進など経済活動を活発にする政策 |
不動産価格にとってマイナスとなる政策 |
・社会保障の充実など、還元を中心とした政策 ・金融を引き締める(利上げなど)政策 ・相続税強化など資産への増税を伴う政策 |
また、都市開発(再開発)やインフラ整備が計画されている地域では、不動産価格が上昇する可能性が高まります。駅の新設や商業施設の建設など、候補者の都市開発計画を見逃さないようにしましょう。
候補者の政策を理解し、未来の市場を予測することが、賢く不動産取引をするための第一歩です。
選挙後の経済動向を踏まえた不動産戦略を立てよう
未来の市場を予測したら、それに応じて最適な不動産戦略を立てる必要があります。
例えば、金融政策によって金利上昇が行われるとしましょう。借入をして不動産を購入する場合、ローン金利が引き上げられ、総支払い額が増える可能性が高まります。
そのときは、政策や経済の変化に応じて、以下のように不動産戦略を柔軟に調整していくことが大切です。
- 金利が低い間に購入を決断する
- 変動金利で返済期間を伸ばすなど資金計画を調整する
- 金利上昇に悩まされないよう固定金利でプランニングする
特に、選挙後の政策が市場に与える影響をしっかり見極めた上で、購入や投資のタイミングを工夫することが、成功に繋がるポイントです。
まとめ
この記事では、総選挙が不動産価格、需要に与える影響、また不動産取引を検討している方へのポイントを解説しました。
総選挙自体が不動産市場に直接大きな影響を与えることは、ほとんどありません。
しかし、選挙後に新政権が打ち出す政策には注目する必要があります。不動産の購入を検討する場合は、候補者の政策や経済全体の動向を理解することが重要です。
市場の変化を予測し、適切なタイミングで行動することでリスクを減らせます。
不動産戦略は、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。政策や経済の変動に備えながら、自分に合ったベストな判断を見つけることが成功のカギです。
選挙があるから引っ越さないと、とか物件買わないと、売らないと、という話は聞いたことがないですね。選挙事務所なんかも仲介に入ること殆ど無いしね。(不動産仲介店 店長)