不動産投資に重要な返済比率とは

不動産投資の安全性をはかる指標のうち、最も重要なのが返済比率です。不動産投資の際、融資額を引っ張れたことで満足してしまい、その後の実際の返済についてあまり考えていない方もいらっしゃいます。融資後にこんなはずじゃなかったとならないためにも、物件の出口戦略を立てるためにも返済比率を理解しておくことは大切です。そこで今回は返済比率の目安や不動産投資を安全に行うための返済ラインについて解説していきます。

返済比率とは

返済比率とは家賃収入に対する返済額の割合のことです。返済比率は不動産投資での安全度を判断する指標として重視されています。なぜなら、返済比率は毎月のキャッシュフローをどのようになっているのかを理解しやすいためです。

家賃収入がいくら高くても、返済比率が高いのであれば、実際手元に残る収益は減ります。収益の度合によっては赤字や滞納といったリスクも発生します。その点、低い返済比率であれば手元に残るお金がより多くなり、突発的な赤字といったリスクにも備えた資産運用が可能となります。返済比率が低いほど不動産投資における安全性は高いと考えることができます。

返済比率の計算方法

「不動産投資用ローンの毎月の計算額」÷「満室時の家賃収入」=返済比率(%)

ここで考えておかなければならないことは、返済比率は投資物件が満室で経営している場合であるということです。また、購入前は金融機関への返済期間や金利なども確定していません。賃料が下がるという可能性もあります。金融機関への返済額については、金融機関が提供している返済シュミレーターを利用してみましょう。空室が出る部屋数や期間、賃料も下がると見込んでゆとりを持った計算をしておくと後で困りにくくなります。

返済比率が高いほど儲かる!が、リスクも高い!

「返済比率が高い」とは、同じ物件を買う場合でも元手を減らして取得が可能です。

物件価格(諸手数料込) 5,000万円、表面利回りが8%、20年で金利が1.5%で一定とすると、このようになります。

【自己資金=2,000万円の場合】  借入金額=3,000万円  年間家賃収入=400万円  年間返済金額=174万円  返済比率=174/400=43.5%
【自己資金=300万円の場合】  借入金額=4,700万円  年間家賃収入=400万円  年間返済金額=272万円  返済比率=272/400=68%

返済比率が高い分、自己資金は少なく済ませることができます。浮いたお金で2棟目、3棟目と買い進めることも可能です。しかし、いいことばかりではありません。返済比率が高いことによるデメリットもあります。

予想外の支出に対応できない

不動産は所有していれば経年劣化による修繕が必要となります。水回りや空調機器などの破損や、賃貸人が退去したのちのクリーニング代などもオーナー負担です。返済比率を高くしたことによって手持ちの資金が不足している場合、このような急な出費に対して支払いができなくなる可能性があります。

空室が出ると、赤字になることも

入居者が退出した際の空室リスクも発生し、時には赤字になることもあります。予想以上の空室が起きてから困らないためにも、ギリギリの状態でのキャッシュフローで回すのは避けたいものです。赤字はもちろんのこと、金融機関への返済が滞ってしまうことは避けたいもの。そうならないためにも、返済比率は適切な数字に直して計算しておきましょう。

金利上昇リスクに備えることができない

借入期間中に金利が変動しない「全期間固定金利」ではない限り、不動産投資のローンでも金利上昇リスクがあります。現在は低金利が続いていますので、変動金利による恩恵をうけている人も多いでしょう。変動金利のローンは全期間固定ローンよりも金利が低く設定されているためです。しかし、今後は景気の変動によって金利が上昇する可能性はあります。今は変動金利が安いから大丈夫と考え、高めな返済比率を設定しておくと金利上昇リスクに耐えることができなくなります。

返済比率が低いほど回収に時間がかかる!

返済比率が高いと資金効率がいいことがわかりました。その代わり、リスクも高いです。

返済比率は低いほうが回収に時間はかかりますが、不動産投資を安全に行うことができます。

キャッシュフローに余裕が出る

返済比率が低ければキャッシュフローに厚みがでますので、投資で稼いだお金を積立や株式など別の投資に回すことも可能です。想定外の修繕対応やリフォームなどにも余裕をもって行うことができます。

多少空室が出ても安心

年間を通して、入居者が入りやすい時期とそうでない時期があります。入居者が入りにくい時期にキャッシュフローに余裕がなく、空室期間が続くと入居者を募集するのに無理して家賃を下げてしまうことがあります。そうなるとそこからなかなか家賃は上がりませんし、後々の経営に悪影響を及ぼすこともあります。その点、キャッシュフローに余裕があれば無理に空室を埋める必要がありません。入居のハイシーズンまで待ち、正規の家賃で入居してもらうという方法を選択することができ、経営的も心にゆとりができます。ただし、返済比率が低いということは初期投資が大きくなりますので、投資の回収には時間がかかります。

目安とすべきは50%

不動産取引を行う上で理想的な返済比率は40%と言われていますが、そのような物件が市場に出回ることは少ないため、一般的には50%が安全な返済比率のラインと言われています。

金融機関への返済以外にも費用が必要になります。例えばリフォームや管理費などの経費や固定資産税などが該当します。それらの費用に対応する資金を貯めていくためにも、必要なラインが返済比率50%なのです。

返済比率を下げる方法は

返済比率を左右している要因は大きく分けて融資額、返済期間、金利です。必要に応じて、返済比率を下げる対策を行っていきましょう。

自己資金を入れて返済金額を減らす

物件購入時に頭金として自己資金を使います。この自己資金の金額を多くすることによって、結果的に融資額を減らすという方法があります。頭金以外にも自己資金が必要な初期費用もあります。諸費用もローンで支払うことは可能です。その分融資額は増えることになりますので、返済比率は高くなります。諸費用の中には物件購入時に発生する各種税金も該当します。税金は法定費用のため、購入先はどこで買っても金額が変わることはありません。ある程度貯蓄をしてから不動産投資をおこないましょう。運用後の備えとして手持ちに資金を残しておくのも忘れないようにします。仲介手数料が低いところ、提携ローンの利用といった施策によっても諸費用の軽減に役立ちます。

繰上げ返済を行う

繰上げ返済を行うことで返済比率を下げることができます。繰上げ返済とは毎月の返済額に上乗せして返済する方法です。繰上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つあります。

期間短縮型の繰上げ返済を行った場合、毎月の返済額などは等は変化しませんが、短縮された期間に予定だった利息が軽減されることとなります。同時期に同金額を繰上げ返済すると期間短縮型の方が返済額軽減型よりも利息削減効果は大きくなります。大きくはなりますが返済比率を下げることには貢献しません。

一方、返済額軽減型は返済期間は変わらず、毎月の返済額が引き下がります。通常の返済では返済額に利息分も含まれますが、返済軽減型の繰上げ返済をした場合は返済分がすべて元金の返済にあてられるため、支払う利息を減らすことができます。返済額が引き下がった結果、キャッシュフローに余裕が生まれることとなります。

しかし、繰上げ返済は自己資金の上乗せ同様、余剰金がある状態でしか使えない方法です。また、繰上げ返済を行う場合、金融機関に手数料を支払う場合がありますので注意しておきましょう。

返済期間を延長する

最初に設定した返済期間を伸ばすことにより、月々の返済比率を下げる方法もあります。しかし、これは最初に金融機関が購入物件価値を評価した上で算出したものです。長めの返済期間を希望したとしても、実現するとは限りません。融資実行後に返済期間の見直しを考える場合は借り換えを検討しましょう。

金利が低い金融機関を選ぶ

金利を下げることでも返済比率を下げられます。そのため、可能な限り金利の安い金融機関を選ぶという方法も考えられます。さまざまな金融機関でローンの金利を調べた上で、一番低いところに申し込むというのも1つの方法です。すでに不動産ローンを違う物件で行っており、数年にわたり返済した実績を持っている人や、ある程度のまとまった預貯金額を持っている人であれば金利の交渉を金融機関にしてみてもいいでしょう。その場合、他の金融機関への乗り換えする前提で現金融機関と交渉します。「他の金融機関に取られるくらいなら金利を安くしても利用してもらったほうが良い」と金融機関が判断すれば金利が下がる可能性があります。

返済比率は変化するので目安として利用する

返済比率は常に変化するということを前もって理解しておきましょう。物件購入前に算出した返済比率と、購入時での返済比率にも差が生まれます。運用後に金利が上昇した、空室が予想以上に発生した、家賃が下落したという事態も起こりえます。返済比率はあくまでの目安の数値です。想定外のことが起きることも考慮しながら、健全で安全な不動産投資を目指していくと良いでしょう。

安全で確実に返済していくために

物件購入時から売却による出口戦略までを立案する上でも、返済比率を算出することで非常にクリアになります。返済比率はあくまでも目安であり、返済中に変化することは起こりえます。安全な返済比率として50%を目安とし、確実に返済できることを目標にすると良いでしょう。その上で返済比率を使いながら、より現実に即した返済計画を立てていきます。早めに完済するよりも安全に確実に返済していくために、今回ご紹介した返済比率という指標をぜひ使ってみてください。

長久手古戦場
3,130万円
岡崎市百々町
2,780万円
中京競馬場前
2,880万円
池下・覚王山駅
3,180万円