令和2年の人口変動は?空室率はどうだった?~不動産統計から~

不動産統計集をご存知でしょうか。公益財団法人不動産流通推進センターが年に2回、4月と10月に更新している不動産業に関連する統計集のことです。地価や人口、不動産業界の状況などの数字が年度ごと、地域ごとにまとめられていて推移を確認することができます。2020年はコロナ禍に見舞われた年でしたが、人口や空室率はどのように推移しているのでしょうか。ここでは不動産統計集からわかる人口、空室率の推移について解説します。

日本全国の人口の推移

まず日本全国の人口の推移です。下の表は「住民基本台帳」の日本人の数を基にしたものです。平成22年から人口はずっと減少しており、ここ数年は減少数も大きくなる傾向です。自然増加数は(出生者数)-(死亡者数)により算出、社会増加数は、転入者数のこと。日本の出生数は減っており、人口は減っていく一方であることが分かります。

日本全国の人口の推移

人口(人)対前年増加数(人)A対前年増加率(%)Aのうち自然増加数(人)Aのうち社会増加数(人)
平成30年125,209,603-374,055-0.30-392,37818,323
31年124,776,364-433,239-0.35-442,5649,325
令和2年124,271,318-505,046-0.40-511,9986,952

日本全国の人口構造

次に人口構造の推移です。人口構造は年少人口、生産年齢人口、老齢人口というように年齢別に集計して構成を見るものです。下の表は5年後との人口構造の変化を示しています。総人口、年少人口、生産年齢人口が減り続け、65歳以上の老齢人口が増え続けていることが分かります。

人口構造の推移

単位千人(%)1995年平成7年 2000年平成12年2005年平成17年2010年平成22年2015年平成27年
総人口125,570(100.0)126,926(100.0)127,768(100.0)128,057(100.0)127,095(100.0)
年少人口(0~14歳)20,014(15.9)18,505(14.6)17,585(13.8)16,839(13.1)15,945(12.5)
生産年齢人口(15~64歳)87,165(69.4)86,380(68.1)84,422(66.1)81,735(63.8)77,282(60.8)
老齢人口(65歳以上)18,261(14.5)22,041(17.4)25,761(20.2)29,484(23.0)33,868(26.6)

日本全国の世帯数の推移

続いて世帯数です。下の表は全国の世帯数の推移です。過去30年間世帯数は増え続けているものの、1世帯の構成人数がコンスタントに減少しており、人口が減っていることとあわせて考えると核家族化が進んでいることがわかります。

日本全国の世帯数の推移

世帯数(世帯)対前年増加数(世帯)対前年増加率(%)1世帯平均構成人員(人)
平成30年56,613,999392,4310.702.21
31年56,996,515382,5160.682.19
令和2年57,380,526384,0110.672.17

3大都市の人口の推移 愛知県は人口減少

次に東京都、大阪府、名古屋市の人口の推移です。下の表は直近3年の人口と増加率を表しています。東京都に関しては増加しているものの大阪府や愛知県は微減が続いています。首都圏への人口移動があることがうかがえます。

東京都、大阪府、名古屋市の人口の推移

千人(%)平成30年平成31年令和2年
東京都13,116(0.55)13,189(0.56)13,258(0.52)
大阪府8,631(-0.18)8,613(-0.21)8,597(-0.19)
愛知県7,317(0.02)7,312(-0.06)7,301(-0.14)

3大都市の世帯数の推移 愛知県は人口減少だが世帯数は増加

世帯数については以下のようになっています。どの地域においても増加しており、特に東京都だけは1%以上の増加です。このように人口の統計からは東京都のような首都圏は人口が増加し、世帯数も増加。大阪府や愛知県は人口については減少しているものの世帯数が増加しているということが分かります。

東京都、大阪府、名古屋市の世帯数の推移

千人(%)平成30年平成31年令和2年
東京都6,794(1.13)6,873(1.17)6,956(1.20)
大阪府4,135(0.69)4,163(0.69)4,197(0.82)
愛知県3,135(0.98)3,165(0.94)3,194(0.91)

総住宅数と総世帯数の推移

次に世帯数と住宅数について解説します。下の表のように、世帯数の伸びに合わせて住宅数も増えており、物理的には一世帯あたりに1つ以上の住宅が存在することが分かります。また持家率は61%程度で4割は借家に住んでいる計算です。持家率は東京圏では55~56%、大阪圏が59~60%、名古屋圏では60~62%程度となっています。東京圏のほうが持家率は低いという結果です。

総住宅数と総世帯数の推移

千人(%)総住宅数(千戸)総世帯数(千世帯)一世帯当たり住宅数(戸)全国の持家率(%)東京圏大阪圏名古屋圏
平成20年57,58649,9731.1561.155.158.760.6
25年60,62952,4531.1661.756.259.561.3
30年62,40754,0011.1661.255.860.161.9

空家の推移

住宅の空家の数は以下の表のとおりです。総住居数が増加しているなかで居住世帯がないという住宅、つまり空家の数も増加しています。

空家の推移

千人総住宅数居住世帯あり居住世帯なし
 (千戸)総数(千世帯)同居世帯あり総数(千世帯)
平成20年57,58649,5982767,988
25年60,62952,1022598,526
30年62,40753,6162868,791

建て方別の空家の住宅数

居住世帯がある、つまり空家でない場合について、建て方別の住宅数は以下の表のとおりです。総住宅数の伸びに対して共同住宅の伸びが大きく、一戸建ては少な目、長屋建ては減少と増加を繰り返しています。マンション等の共同住宅の需要が大きいと見ることができます。

居住世帯がある場合建て方別の住宅数

 総住宅数(千戸)一戸建て(千戸)長屋建て(千戸)共同住宅(千戸)その他
平成20年49,59827,4501,33020,684134
25年52,10228,5991,28922,085130
30年53,61628,7591,36923,353136

空家数及び空家率の推移 愛知県は横ばい

最後に東京都、大阪府、愛知県の空き家の数と空家の割合(空家率)の推移を紹介します。空家の数は東京都が多いのですが、率は東京都が低く、大阪府のほうが大きいことが分かります。東京都や愛知県では空家率は全国平均よりは低めという結果です。

空家数及び空家率の推移

 住宅総数(万戸)空家数(万戸)空家率(%)
 平成20年平成25年平成30年平成20年平成25年平成30年平成20年平成25年平成30年
東京都67873676775828111.111.110.6
大阪府43545946863687114.414.815.2
愛知県31334434834423911.012.311.3
全国5,7596,0636,24175782084913.113.513.6

まとめ

不動産統計集の人口、空室率の推移について解説しました。東京都以外は人口の減少が続いているものの世帯数は増加。同時に住宅数も増加しており空室率も増加している状況です。不動産の需要という意味では東京都以外では需要が活発とは言えず、不動産の活用のためには需要のある地域を選択すること、他の物件とは違うメリットを提供して入居を確保するなどの対策が必要となりそうです。不動産の活用を考えられている方は不動産業統計集の人口の推移、空室率を参考にしてみてください。

出典:公益財団法人不動産流通推進センター 不動産業統計集  (3月期改訂)7人口・世帯・住宅

https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/toukei/202103/202103_7jinko.pdf

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