定期予防接種は遅らせてもいいの?

新型コロナウイルス感染症拡大が叫ばれるようになり、お子さんや高齢のご両親を病院に行かせたくないという理由で、定期予防接種を遅らせる方もいらっしゃるようです。今すぐ必要というわけではない定期予防接種ですが、遅らせることや、接種をしないことにリスクはないのでしょうか?ここでは定期予防接種の目的、種類、接種時期、回数についてご紹介します。

定期予防接種とは?

予防接種とは病気に対する免疫をつけるため、免疫を強くするためにワクチンを接種することをいいます。ワクチンを接種することにより、自分がその病気にかかること予防するとともに人に感染させることも予防することができます。国は「予防接種法」という法律で予防接種を行う病気を定めており、それらの病気の蔓延を防ぐために予防接種を行うことや予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを規定しており、実施時期が定められています。

定期予防接種の対象の病気と接種スケジュール

予防接種法には誰もが受けるべきA類疾病と65歳以上の方や特定の機能障害があるなど限られた方が受けるべきB類疾病という区分けがあります。A類疾病は住んでいる市町村で受ける場合は公費で受けられる予防接種。以下に定期予防接種が用意されているA類疾病の内容と特徴、定期接種スケジュールを示します。

A類疾病病気の特徴ワクチン対象と接種スケジュール(標準的な接種期間)
ジフテリア

百日せき
破傷風
急性灰白髄炎(ポリオ)


ジフテリア:最後の報告は1999年であり稀だが重篤な病気百日せき:一歳以下の乳児子どもでは亡くなってしまうことがある破傷風:主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素がさまざまな神経に作用する。死亡する率が高い急性灰白髄炎(ポリオ):脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、ポリオウイルスによって発生する疾病。名前のとおり子ども(特に5歳以下)がかかることが多く、麻痺などを起こす4種混合(DPT-IPV)1期:初回接種については生後3ヵ月~12ヵ月の期間に20~56日までの間隔をおいて3回、追加接種については3回目の接種を行ってから6ヵ月以上の間隔(標準的には12ヵ月~18ヵ月の間隔)をおいて1回の接種
2種混合(DT)(ジフテリア、百日せき、破傷風の2期) 2期(ジフテリア、百日せき、破傷風):11~12歳の期間に1回の接種
B型肝炎B型肝炎ウイルス感染によっておこる肝臓の病気一過性の感染で終わる場合と、そのまま感染している状態が続く場合(キャリア)があるB型肝炎ワクチン1回目生後2月、2回目生後3月、3回目生後7~8月
Hib感染症ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌で発生する病気。ほとんどが5歳未満で発生する。肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎等の重篤な疾患を引き起こすことがあるヘモフィルスインフルエンザ菌b型ワクチン初回接種については生後2ヵ月以降(生後7ヵ月まで)の期間に接種を開始し、27~56日の間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後に7ヵ月~13ヵ月後に1回の接種
小児の肺炎球菌感染症肺炎球菌という細菌によって発生。ほとんどが5歳未満で発生する。集団生活が始まるとほとんどの子どもが持っているといわれる菌で、進展すると肺炎、や中耳炎、敗血症、髄膜炎等を発症、あるいは血液中に菌が侵入するなどして重篤な状態になることがある。 初回接種については生後2ヵ月以降(~7ヵ月まで)の間に接種を開始し、27日以上の間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後に3回目の接種を行ってから60日以上の間隔をおいて1回の接種
結核(BCG)結核菌が体の中に入ることによって起こる。咳、痰、発熱、呼吸困難等、風邪のような症状が出ることが多い。結核を発症した場合、無治療でいると50%程度の方が亡くなってしまうといわれるBCGワクチン生後5ヵ月~8ヵ月の期間に1回の接種
麻しん・風しん   麻しん:麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症。感染力は非常に強い。感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れ、高熱と発疹が出現する。患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われている。MRワクチン1歳児と小学校入学前1年間の小児の2回
水痘みずぼうそうのことで水痘帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる。空気感染、飛沫感染、接触感染し、発熱と発疹が症状で一部は重症化する乾燥弱毒生水痘ワクチン1回目の接種は標準的には生後12月から生後15月までの間。2回目の接種は、標準的には1回目接種後6月から12月まで経過した時期
日本脳炎日本脳炎ウイルスによって発声。蚊を介して感染する。高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす。後遺症を残すことや死に至ることもある日本脳炎ワクチン1期:3歳のときに2回(6~28日の間隔をおく)その後おおむね1年の間隔をおいて(4歳のときに)1回2期:9歳のときに1回
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっており、特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えているHPVワクチン対象:小学校6年~高校1年相当の女子2種類のうちどちらか接種 サーバリックス:中学1年生の間に、1ヵ月の間隔をおいて2回接種を行った後、1回目の接種から6ヵ月の間隔をおいて1回の接種ガーダシル:中学1年生の間に、2ヵ月の間隔をおいて2回接種を行った後、1回目の接種から6ヵ月の間隔をおいて1回の接種

まとめ

国で定める定期予防接種は感染予防のためにむやみに遅らせたり、スキップしたりするものではなさそうです。もし接種のスケジュールを逃してしまった場合は接種ができる年齢を超えていなければ公費で接種できます。お住まいの市町村に相談してみるのが良いでしょう。新型コロナウイルス感染症対策を万全にした上での定期予防接種を検討してみてください。

出典 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html