【名古屋】母語学習協力員の制度とは?取り組み内容と今後の課題

公立小学校・中学校を対象に「母語学習協力員」の配置を進めている名古屋市。
この記事では、母語学習協力員の役割や具体的な取り組み、また母語学習協力員の制度が実施された背景などを解説しています。
外国籍のお子さんがいる方や、協力員の仕事に関心のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

母語学習協力員の概要

まずは2020年度の協力員募集要項に基づいて、母語学習協力員の概要を解説していきます。

母語学習協力員の主な業務内容は以下の通り。

  • 日本語指導が必要な児童生徒に対する学校への適応指導や日本語指導の補助
  • 学校の文書等の翻訳
  • 保護者と学校との意思疎通を図るための通訳

2020年度に募集が行われた言語はフィリピノ語・ポルトガル語・中国語の3言語です。
配置先となる学校の他、近隣で日本語指導が必要な児童生徒がいる場合は巡回指導なども行うことなります。

応募資格として挙げられている項目は次の通りです。

  • 日本語と対応言語(フィリピノ語・ポルトガル語・中国語)について、通訳・翻訳を正確に行うことができる能力を有する方
  • 名古屋市立小中学校の教育活動や名古屋市の実施する事業に関する知識と理解を有し、日本語指導の推進に真摯に従事することのできる資質を有する方
  • 心身ともに健康であるとともに、1年を通じて指定された学校又は名古屋市教育館で働くことができる方
  • 次の項目に該当しない方
    • ①禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
    • ②名古屋市職員として懲戒免職処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
    • ③日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

名古屋市で母語学習協力員の制度が施行された背景

名古屋市が外国籍の子どもに対する日本語指導に力を入れている要因として、愛知県で生活する在留外国人の割合の高さが挙げられます。(参考:http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00081.html)
愛知県に外国人が多く集まる理由は大きく2つあります。

まず、愛知県は2020年度の最低賃金が927円となっており、これは全国で5番目の高さです。
更に愛知県はトヨタ系企業が産業の中心にいるため、全国的にも就職しやすい地域と言えるでしょう。
このような労働環境の良さが1つ目の理由です。

また愛知県では、以前から外国人に対する支援施策として以下のような取り組みを実施。

施策 内容
あいち多文化共生推進プラン 多文化ソーシャルワーカーの養成・タウンミーティングの開催・教育期間と連携した意見交換会など
日本語学習支援基金 外国人児童生徒の日本語学習促進のための環境整備事業
外国人児童生徒日本語教育支援補助金 NPO法人による修学促進活動の経費を助成
外国人労働者の適正雇用と日本社会への適応を促進するための憲章 日本語教育・地域社会参画・子どもの社会的自立・雇用などの観点から日本社会へ適応するための憲章を策定

愛知県は全国的に見ても在留外国人への支援策が充実しており、これも在留外国人が愛知県に集まる理由の1つとなっています。

そして在留外国人が増えると、当然ながら外国籍の子どもも増えることになります。
実際、文部科学省実施の「日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の在籍状況」調査(2018年度)において、愛知県は他県から大きく差を付けて1位となりました。(参考:https://www.mext.go.jp/content/1421569_002.pdf)
こうした背景から、愛知県では名古屋市を中心に日本語教育を強化させているのです。

母語学習協力員の具体的な取り組みと今後の課題

2018年度の具体的な取り組み内容は以下の通りです。

  • 日本語指導が必要な児童生徒が特に多く在籍する学校34校に、母語学習協力員38人を配置した
  • 日本語教育相談センターが特別の教育課程(例)や教材集を蓄積し、学校からの相談に対応できるようにした
  • 『日本語教育相談センター』に「日本語学習支援コーディネーター(6人)」を配置し、日本語指導が必要な児童生徒の在籍校、『初期日本語集中教室』、『日本語通級指導教室』、「母語学習協力員」配置校などの関係部署の間の連絡調整を行った

(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001/1417404.htmより一部抜粋)

また今後の課題として、母語学習協力員の配置拡充に伴う人材不足が挙げられています。
特にフィリピノ語の母語学習協力員が不足しており、早急な人材確保が求められるでしょう。
更に、日本語指導が必要な児童生徒の散在化や多言語化も進んでいるため、今後は人材確保と合わせて自動翻訳機の導入などが目標となっています。

まとめ

愛知県の在留外国人および外国籍の児童生徒は年々増加しており、母語学習協力員による支援を必要とする学校も増加の一途をたどっています。
名古屋市では、より効果的な支援を受けられるような施策が検証されているので、外国籍のお子さんがいる方は今後の名古屋市の動きにも注目していきましょう。