2025年の不動産市場は、価格の上昇ペースが前年から加速しています。
一方で、その動きは全国一律ではなく、地域や物件種別によって差が広がった1年でもありました。
この記事では、国土交通省の統計データをもとに2025年を振り返りながら、2026年の不動産市場がどう変化するのかを考えていきます。
愛知県・名古屋圏の動向についても、全国との比較を交えて解説します。
なおこの記事は、名古屋・愛知の住まいと暮らしの情報を扱うメディア「不動産の教科書」が、国土交通省をはじめとする公的統計をもとに整理したものです。
| 【この記事で分かること】 ・2025年の不動産価格指数の推移と、前年からの上昇ペースの変化が分かります。 ・全国と愛知県・名古屋圏の価格動向の違いを、データで比較できます。 ・戸建住宅とマンションで価格の動きが分かれている実態を解説しています。 ・2026年に予想される市場動向と、住宅購入を検討する際の判断材料が分かります。 |
不動産価格の動向

2025年の不動産価格は、全国で上昇が加速しました。
国土交通省の不動産価格指数(住宅総合)は、1月の140.9から12月には148.0へと、年間で5.0%上昇しています。
2024年の年間上昇率が2.1%だったことを踏まえると、上昇ペースが約2倍に高まった計算です。
【不動産価格指数(住宅総合・全国)】※()内は前月比
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 1月 | 137.8(1.26) | 140.9(0.16) |
| 2月 | 136.1(▲1.23) | 143.0(1.50) |
| 3月 | 136.8(0.48) | 145.9(2.00) |
| 4月 | 138.3(1.12) | 142.5(▲2.35) |
| 5月 | 137.9(▲0.30) | 143.1(0.47) |
| 6月 | 138.5(0.41) | 144.3(0.84) |
| 7月 | 137.3(▲0.87) | 144.4(0.03) |
| 8月 | 139.6(1.67) | 145.3(0.67) |
| 9月 | 140.8(0.88) | 146.0(0.44) |
| 10月 | 139.2(▲1.13) | 146.1(0.12) |
| 11月 | 140.4(0.86) | 147.3(0.79) |
| 12月 | 140.7(0.22) | 148.0(0.50) |
ただし、この上昇は一様ではありません。
「住宅地」「戸建住宅」「マンション」の内訳を見ると、上昇を牽引しているのはマンションです。
一方で住宅地と戸建住宅の動きは緩やかで、物件種別による差が広がっています。
地域による差も同様です。
次の章では、全国と愛知県・名古屋圏を比較しながら、この差の実態を見ていきましょう。
愛知県・名古屋圏の価格はどう動いたか
不動産価格指数は、全国だけでなく都道府県・都市圏別にも公表されています。
愛知県と名古屋圏のデータを全国と並べると、動きの違いがはっきりと表れます。
【住宅総合の指数推移】
| 2025年1月 | 2025年12月 | 年間変動 | |
|---|---|---|---|
| 全国 | 140.9 | 148.0 | +5.0% |
| 名古屋圏 | 121.8 | 121.3 | ▲0.4% |
| 愛知県 | 125.5 | 126.3 | +0.6% |
全国では5.0%の上昇が見られる一方で、愛知県はほぼ横ばい、名古屋圏はわずかに下落という結果でした。
「不動産価格が高騰している」という報道を目にする機会は多いものの、愛知県に限れば2025年は落ち着いた1年だったといえるでしょう。
ただし、これは物件種別をまとめた数値であり、内訳を見ると状況は大きく変わります。
【愛知県の物件種別・指数推移】
| 2025年1月 | 2025年12月 | |
|---|---|---|
| 住宅地 | 104.0 | 106.7 |
| 戸建住宅 | 117.2 | 116.6 |
| マンション | 193.0 | 196.5 |
戸建住宅は横ばい、マンションは196.5という結果です。
マンションは2010年の水準から約2倍に達している一方、戸建住宅は1.17倍にとどまっています。
同じ「愛知県の住宅」でも、市場としては別物になっていると言えるでしょう。
なお愛知県のマンション指数は、2025年9月に217.5という高い水準を記録しています。
取引されている物件の条件によって数値は変動するため、単月の数字だけで判断せず、推移として捉えることが重要です。
不動産市場に見られた特徴
2025年の不動産市場を動かした要因は、前年から入れ替わりました。
「アフターコロナ」がキーワードだった2024年に対し、2025年は「建築コストの高止まり」「金利のある世界への移行」「都市部への需要集中」が市場の輪郭を決めています。
これらの要因が住宅市場と投資市場のどこに作用したのか、順に見ていきましょう。
住宅市場の特徴
新設住宅の着工戸数は減少傾向が続いていますが、2025年はその減少幅が拡大しました。
前年比6.5%減の740,667戸となり、コロナ禍の2020年(前年比9.9%減)以来の落ち込みです。
背景にあるのが、建設コストの上昇です。
資材価格や人件費の高騰が続くなか、2025年4月には原則としてすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務化されました。
断熱材や設備の仕様が引き上げられたことで、建築コストはさらに押し上げられています。
これらの要因により新築住宅の価格上昇は避けられず、既存住宅の流通量を押し上げる方向に作用したと考えられるでしょう。
【新設住宅着工戸数の推移(全国)】
| 年 | 着工戸数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2019年 | 905,123戸 | ▲4.0% |
| 2020年 | 815,340戸 | ▲9.9% |
| 2021年 | 856,484戸 | +5.0% |
| 2022年 | 859,529戸 | +0.4% |
| 2023年 | 819,623戸 | ▲4.6% |
| 2024年 | 792,195戸 | ▲3.3% |
| 2025年 | 740,667戸 | ▲6.5% |
投資市場の特徴
2025年の投資市場では、賃貸住宅セクターへの関心が続きました。
新設住宅の着工が減少するなかで賃貸需要は底堅く、特に都市部では単身世帯の増加を背景に空室リスクの低い物件へ資金が集まっています。
一方、投資判断の前提は前年から変わりました。
日本銀行が金融政策の正常化を進めたことで、借入コストが上昇に転じたためです。
利回りだけでなく、金利上昇を織り込んだ返済計画が求められる局面になっています。
建築コストの高止まりも続いており、新規に建てる場合の採算は厳しさを増しています。
この結果、新築よりも既存物件を取得する動きが相対的に強まりました。
不動産市場を取り巻く環境
2024年に「予想」として語られていた金利の上昇は、2025年に現実のものとなりました。
あわせて建築コストの高止まりも続いており、住宅を取得する際の負担は両面から増しています。
本章では、金融政策・建築コスト・景気動向という3つの要素が、住宅市場にどのような影響を及ぼしたのかを見ていきまましょう。
金融政策の正常化が進み、金利上昇が本格化
2025年、住宅市場に最も大きな影響を与えたのが金利です。
日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除して以降、段階的に金融政策の正常化を進めてきました。
そして2025年12月の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%から0.75%へと引き上げています。
これは約30年ぶりの高水準です。
この利上げは住宅ローンの変動金利にも波及し、2026年春には多くの金融機関で基準金利が0.25%程度引き上げられました。
2024年時点では「0.15%程度の上昇」にとどまっていたことを踏まえると、変化の幅は明らかに大きくなっています。
金利のない世界を前提とした資金計画は、すでに通用しなくなったと言えるでしょう。
建築コストは高止まりから上昇継続へ
建築コストは高止まりを通り越し、上昇が続いています。
一般財団法人 建設物価調査会が公表する「建築費指数」では、2026年3月時点で木造住宅が149.3(前年同月比+5.9%)、集合住宅(鉄筋コンクリート造)が143.3(同+5.5%)となりました。
いずれも2015年を100とした数値で、10年間で4〜5割上昇したことになります。
特に木造住宅は上昇幅が最も大きく、木材価格と労務費の高止まりが続いている状況です。
戸建住宅を検討している場合、この影響を最も受けやすい区分にあたります。
さらに、現場では「建築費指数」に表れないほどのコスト高騰を実感するケースも少なくありません。
限られた労働力の争奪戦が激化し、建設現場での人件費が大幅に増加しています。
帝国データバンクの調査によると、2025年の建設業の倒産件数は前年比6.9%増の2,021件となりました。
4年連続の増加で、2013年以来12年ぶりに2,000件を超えています。
人手不足を直接の要因とする倒産は113件で、前年の99件から増加しました。
なかでも木造建築工事業は、住宅価格の上昇を背景に戸建の着工戸数が減少していることに加え、4号特例の縮小により工期が延び、資金繰りが悪化するケースも出ています。
こうしたコストの高止まりは、建築業界だけでなく不動産市場全体にも影響を与えており、開発計画や新築物件の供給にも影響を及ぼしています。
景気は緩やかに回復も、住宅投資は不安定
景気は緩やかな回復基調にあります。
2026年1〜3月期の実質GDP成長率は前期比+0.5%(年率換算+2.1%)となり、3四半期連続のプラス成長を記録しました。
2025年度通年でも実質+0.8%と、潜在成長率をやや上回るペースです。
ただし、住宅投資の動きは不安定です。
年率換算の前期比で見ると、2025年7〜9月期は▲28.7%と大きく落ち込み、続く10〜12月期は+21.3%へと急反転、2026年1〜3月期は+2.1%となっています。
四半期ごとに乱高下しており、購入判断が金利や価格の動向に強く左右されている状況がうかがえます。
個人消費は5四半期連続で増加しているものの、伸び率は+1.1%と緩やかです。
賃上げは続いているものの、物価上昇と金利上昇が重なり、住宅取得に踏み切る判断は慎重にならざるを得ません。
高額物件ほどこの傾向は強く出ています。
今後の展望
2025年の状況を踏まえ、2026年にはどのような変化が起こるのでしょうか。
すでに年前半で顕在化している動きも含め、予想される3つの市場動向について解説します。
金利上昇が住宅取得の判断を左右する
2026年6月の金融政策決定会合で、日銀は政策金利を0.75%から更に1.0%へと引き上げました。
この影響は、2026年10月ごろに多くの銀行が変動金利の基準金利を0.25%程度引き上げる形で表れる見通しです。
注目すべきは、上昇幅そのものより変化のペースです。
2024年時点では0.15%程度だった動きが、2025年以降は0.25%単位での引き上げが繰り返されています。
今後も追加利上げが続けば、借入時の想定と実際の返済額が乖離していく可能性があります。
これから住宅を取得する場合、重要なのは「今の金利で借りられるか」ではなく「金利が上がっても返済を続けられるか」です。
変動金利を選ぶ場合は、1〜2%程度上昇した場合の返済額を試算したうえで、無理のない借入額を設定しておくことが現実的な備えになります。
新築の供給減と価格上昇は続く
新設住宅着工戸数は2025年に740,667戸まで減少し、前年比6.5%減と落ち込み幅が拡大しました。
この流れが2026年に反転する材料は、現時点では見当たりません。
供給を抑えている要因は複合的です。
建築費指数は木造住宅で前年同月比+5.9%と上昇が続き、省エネ基準の義務化により求められる仕様も引き上げられました。
加えて建設業では人手不足を要因とする倒産が増加しており、施工能力そのものが縮小しています。
供給が絞られる一方で需要が残る以上、新築価格は下がりにくい構造です。
ただし、これは全国一律の話ではありません。
愛知県の住宅総合指数が2025年にほぼ横ばいだったように、地域によって価格の動き方は異なります。
全国の報道をそのまま自分の検討エリアに当てはめず、地域の数値で判断することが重要です。
名古屋・愛知エリアで実際にどの程度の価格帯の物件が供給されているかは、名古屋市内の分譲住宅の価格帯から確認できます。
統計上の指数と、実際の販売価格を突き合わせておくと、判断の基準を持ちやすくなるでしょう。
省エネ性能が住宅選びの判断軸になる
2025年4月の省エネ基準義務化は、新築住宅のコストを押し上げる要因として語られることが多いものの、購入者にとっては別の意味を持ちます。
一定水準以上の断熱性能が確保されることで、光熱費と居住性が住宅の性能に直結するようになりました。
電気料金が高止まりするなか、この差は年単位で積み上がります。
建築費の上昇分と、入居後に削減できる光熱費を合わせて比較する視点が求められる局面です。
あわせて、2025年4月以降に着工した住宅とそれ以前の住宅では、省エネ性能に明確な線引きが生まれました。
中古住宅を検討する場合も、建築時期によって性能が大きく異なる点は押さえておく必要があります。
不動産市況に関するよくある質問
Q. 2025年の不動産価格はどのくらい上がりましたか?
A. 国土交通省の不動産価格指数(住宅総合・全国)は、2025年1月の140.9から12月には148.0となり、年間で5.0%上昇しました。
2024年の上昇率2.1%と比べ、ペースが約2倍に加速しています。
Q. 愛知県の不動産価格も上がっていますか?
A. 愛知県の住宅総合指数は2025年1月125.5から12月126.3と、ほぼ横ばいでした。
全国が5.0%上昇するなかで、愛知県は落ち着いた動きにとどまっています。
Q. 戸建住宅とマンションで価格の動きは違いますか?
A. 愛知県では明確に分かれています。
2025年12月時点でマンションが196.5に対し、戸建住宅は116.6です。
マンションは2010年比で約2倍に達する一方、戸建住宅は1.17倍にとどまっています。
Q. 新築住宅はなぜ値上がりしているのですか?
A. 建築費指数は木造住宅で前年同月比+5.9%と上昇が続いています。
加えて2025年4月の省エネ基準義務化により仕様が引き上げられ、さらに建設業の人手不足も重なり、コストが押し上げられている状況です。
Q. 住宅ローン金利は今後どうなりますか?
A. 2026年6月に政策金利が1.0%へ引き上げられ、約31年ぶりの水準となりました。
この影響は2026年10月ごろに変動金利へ反映される見通しです。
今後も追加利上げの可能性があるため、金利上昇を織り込んだ返済計画が必要です。
まとめ
2025年の不動産市場は、全国の住宅価格指数が年間5.0%上昇し、前年(2.1%)から上昇ペースが加速しました。
一方で愛知県はほぼ横ばいにとどまり、地域による差が広がった1年でもあります。
供給面では、新設住宅着工戸数が740,667戸まで減少し、前年比6.5%減と落ち込みが拡大しました。
建築費の上昇、省エネ基準の義務化、建設業の人手不足が重なり、新築住宅を取り巻く環境は厳しさを増しています。
そして2025年12月以降、金利が明確に動き始めました。
2026年6月には政策金利が1.0%に到達し、変動金利への影響が今後表れる見通しです。
住宅の取得を検討する場合、全国の報道をそのまま自分の状況に当てはめるのではなく、検討エリアの数値と、金利が上昇した場合の返済計画を軸に判断することが重要になります。
「不動産の教科書」は、愛知県で注文住宅・分譲住宅を手がける東新住建株式会社が運営する情報メディアです。
名古屋・愛知エリアの住宅市場、行政情報、地域の暮らしに関する情報を発信しています。
本記事の不動産価格指数は国土交通省、新設住宅着工戸数は国土交通省「建築着工統計調査」、建築費指数は一般財団法人 建設物価調査会、倒産件数は帝国データバンク、GDP統計は内閣府の公表データに基づいています。
統計は公表時期により数値が改定される場合があるため、最新情報は各出典元をご確認ください。
なお国土交通省の不動産価格指数は、算出プログラムの不具合により2026年1月分以降の公表が延期されています(2026年7月時点)。
本記事では公表済みの2025年12月分までを使用しています。


















