1-4. 不動産市場の動向を知る

第1章: 不動産投資の基礎 4. 不動産市場の動向を知る

不動産市場の動向を理解することは、適切な投資判断を下すために重要です。以下に、不動産市場の主要な動向を考えるポイントを挙げます。

  1. 経済状況
    不動産市場は経済状況に大きく影響を受けます。経済成長期には需要が増え、物件価格や賃料が上昇する傾向にあります。逆に、経済が停滞すると、需要が減少し、価格や賃料が下落する可能性があります。
    しかし、実際の景気の動きと同じく、不動産の動向についても非常に複雑に動きます。
    たとえば、オフィスビルなどの需要に関しては、経済状況を受けて非常に大きく動きます。リーマンショックや新型コロナウイルスの流行などの大きな経済事件が起こったときには、すぐに空室率が上がり、賃料が低下します。逆に、景気が良い方向に回ると空室率が一気に下がり、賃料が急激に上昇します。
    一方で、住宅価格の上下動に関してはもう少し緩やかです。景気が良くなってから実際の給料が上がるまで少しタイムラグがあります。給料が上がって、物価が上がってから、最後に家賃が上がります。逆に不景気になったからといって、いきなり引っ越しをする人が増えるわけではありません。したがって、不景気が家賃に与える影響もかなり緩やかなものとなります。
    また、ホテルや旅館などについては、観光の需要動向によって大きく左右されます。インバウンド需要が伸び続けている状況においては、ホテル・旅館向けの不動産は値上がりを続けることになるでしょう。一方で、団体客が増えてくると今度は客単価が下がりますので、回転率の割に売上が伸びず、ホテル・旅館向けの不動産の値上がりも頭打ちとなります。
    このように、非常に複雑な値動きをしますので、自身の投資スタンスを決めたら、定期的にマーケットの状況を確認しながら、投資判断を適切に行なっていく必要があります。
  2. 人口動態
    人口の増減や人口構成の変化も、不動産市場に影響を与えます。例えば、都市部への人口集中は、都市部の不動産需要を増加させます。一方、人口が減少する地域では、空室率が上昇する可能性があります。
    日本においては、大きくは人口減少の傾向にあります。増え続けている空き家は社会問題ともなりつつあります。国内の多くの地域では、不動産需要が減っていくことは間違いありません。
    一方で、都心部においてはこれから世帯傾向が増えるとみられています。それは都心部では人口流出が起こりにくく、また、独居老人が増えることで、世帯あたりの人員が減り、逆に世帯数は増えるとみられているからです。
    では地方の物件には全く魅力がないのでしょうか?実はそういうわけではありません。地方だからといってすべてが右肩下がりなわけではなく、再開発やコンパクトシティなどで注目されているエリアもあります。それらの情報にしっかりとアンテナを張ることが重要です。
  3. 金利動向
    低金利環境は、不動産投資を促進します。なぜなら、低金利では融資コストが低下し、利益を上げやすくなるからです。一方、金利が上昇すると、融資コストが増加し、不動産投資の利益が減少する可能性があります。
    実際に、諸外国では利上げした途端に不動産価格が下がった、という事例が近年発生しています。
    収益物件の価格の目安が「利回り」です。表面利回りは(年間賃料収入)÷(物件価格)で決まります。もし年間賃料収入が800万円で、物件価格が1.6億円なら表面利回りは5%です。仮に利回りが8%に上昇すると、家賃が同じ800万でも、物件価格は1億円となります。プロの投資家は「他の商品と比べて投資妙味があるかどうか」で不動産を購入するかどうかを見極めています。他の商品の利回りが上がると、不動産にもそれなりの利回り上昇が期待されますが、そうなった場合、物件価格は下がってしまうのです。
    このように、金利動向は不動産価格に対して強い影響を与えます。
  4. 社会的なトレンド
    テレワークの普及やシェアリングエコノミーの台頭など、社会的なトレンドも不動産市場に影響を与えます。これらのトレンドに対応した新しい不動産の需要が生まれる可能性があります。
    テレワークの拡大、一般化によって、職場に近いところより、少し郊外であっても広い間取りで、自宅の中に執務専用のスペースを作ることが好まれるようになりました。
    また、シェアリングエコノミーもさまざまな需要を生み出しています。都心にあるマンションの一室を時間貸ししたり、民泊施設として運用するといったことがこの10年ぐらいで一気に広がりました。こういったスキマ領域についてはこれまでとは不連続な特異的な値付けが行われることがあり、凍死のチャンスがあります。
  5. 政策・規制
    政府の不動産関連政策や規制も、市場動向に影響を与えます。例えば、住宅補助金の増加や都市計画の変更、建築基準法の改定などは、不動産市場に大きな影響を及ぼす可能性があります。
    政策や規制による影響は、一般的には小規模なエリアに対して行われていますが、時に全国規模でも変容を迫るものもあります。

これらの要素を把握し、それぞれが不動産市場にどのように影響を及ぼすかを理解することで、市場の動向を予測し、適切な投資判断を下すことが可能になります。

次▶ 第2章 1.自己資金の確保と資金計画

緑区大将ケ根
2,680万円
知立市昭和
2,680万円〜
守山区松坂町
2,780万円〜
豊田市山之手
2,680万円〜