日経225先物ってなに?

ニュースの中で「日経225先物が下げたことによって日経平均も値下がりをしました」という解説を聞いたことがありませんか?そもそも「225先物」とは何でしょうか?「日経平均」とはどう違うのでしょうか?今回は知ってるようで知らない、日経225先物に関してご説明します。

先物取引とはある商品の将来の売買をあらかじめ約束をし、取引をすること

先物取引の歴史は意外と古く、江戸時代の日本で行われるようになりました。その当時、先物で取引されていたのは「お米」。年貢を納めるときもお米が使われていた時代ですから、経済を回すためにお米は切っても切れないものでした。

ここで問題になるのは、米の価格が毎年変化してしまうことです。お米はその年の天候によって作量が左右されます。多く出来た豊作の年は値段が下がりますし、凶作でほとんど取れなかった場合、米の価格は高騰します。米は決済通貨として機能していましたから、値上がり、値下がりによって他のものの取引価格まで変動してしまいます。そこで、値上がりや値下がりのリスクをヘッジするため生まれたのが先物取引です。

実は、大坂(現在の大阪)の堂島米会所は世界初の政府公認の先物取引市場と呼ばれています。

先物取引の仕組み

たとえば6月の時点で、10月にお米20kgを5000円で買う予約をしたとします。その年の天候が不良で米が余りたくさん作れなかった場合、実際に収穫する10月にはお米の値段が6,000円になっていたとします。

しかし、先物で予約した人は、10月に5,000円で買うことが出来ます。
一方、豊作の年はお米がたくさん出回るため価格が下がります。

たとえば10月に4,000円になっていたとしても、予約通り5,000円で買うことが出来ます。

このように、生産者にとっては収益を安定させることが出来、買い手にとってはリスクを負うことで利益がでる可能性があります。

中には、お米を実際には必要とせずにただ転売するだけの人もいます。その場合、全額を支払うのではなく、発生する差額の金額だけを払うことで取引をすることができます。これを「差金決済」といいます。

6月にある投資家Cさんが生産者のAさんから10月に20キロ分を5,000円で買う予約をしたとします。その際に、予約金として500円を預けます。10月に値段が6,000円になっていた場合、Cさんは米がほしいBさんに自分の持っている予約枠20kgを6,000円で売ります。AさんはBさんに米を送り、Cさんに対しては、差額の1,000円とあずかっていた500円を返します。

このように、実際に取引するにあたって、その差額だけを預けたりやり取りすることを「差金取引」といいます。先物は実際に精算するAさんや需要があるBさんの存在があって成り立つものですので、先物取引をする投資家Cさんの自宅に大量のお米や金地金が届けられる、ということはありません。

差金取引では、実際に扱う金額よりも大きな金額を扱うことができます。

上記の例ですと、500円で5,000円分の米の予約をしています。結果、1,500円が帰ってきて、1,000円の儲けとなっています。実際の値上がり率は5,000円→6,000円の+20%なのに、Cさんの儲けは500円→1,500円の+200%と、10倍もの値上がり率になっています。

このように、差金取引では実際に持っているお金よりも大きなお金を動かすことが出来ます。このことを「レバレッジ」と呼んでいます。

これがいわゆる「先物取引」の基本的な仕組みです。

日経平均とは日本経済新聞社が選んだ225社の株価を織り込んだ指数

日経平均は東京証券取引所の一部に上場している会社225社を日本経済新聞社が選び、平均株価を表したものです。225銘柄にはトヨタ自動車や東レ、ソニー、ソフトバンクグループなどの名立たる企業が採用されています。

日経平均採用銘柄は年に1回、定期的に見直しを行っています。また225銘柄の中にある会社で業績が悪化したり倒産したりすると臨時で銘柄を入れ替えたりします。たとえば2010年に経営破綻をしたJALは、上場廃止になり日経225から外されてしまいました。

日経平均について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。

「日経平均」という株式は無いのになぜ先物が取引できるのか?

上記のとおり、「先物取引」は、数カ月先に上がる、あるいは下がることが見通せる場合に、リターンが見込める投資となります。米や金地金だけではなく、株式取引においても、先が見通せる事ができる場合があり、そういうときには先物を活用できます。

ところで米や金地金の場合、実際の「モノ」があることで理解がしやすくなっています。しかし「日経225」については、そういう名前の株式はありません。日経225先物は、あくまで「計算上存在する指数(株価の平均)」にすぎません。米の先物取引におけるAさんやBさんのような存在はありません。それではどのようにして取引が成り立っているのでしょうか?

「日経225」とはバーチャルな存在なのですが、過去の一定時点の締め切り(たとえば3ヶ月後)にも発表されることが間違いなく決まっています。その価格がどのようになるかを想像することも出来ます。そして「上がる」と想像する人と「下がる」と想像する人の両方がいれば、そこに市場が存在します。いまよりも上がるというひとは上がることについて差金を預け、今よりも下がるというひとは、下がることについて差金を預けます。差金を預けることを「玉を建てる(建玉)」といいます。そして、3ヶ月後に、売り建てたひと、買い建てたひとの玉を全部相殺して決済(清算)を行います。

つまり、先物取引について必要なのは下記の3つとなります。

・存在する事象(日経平均株価、など)

・売り手と買い手がいること

・締め切り

ある一定の締め切り日に売りと買いを清算することで、実際には存在しない「平均株価」を売り買いしています。

SQって何?その時まで持っていると何が起こるのか?

上に述べた「一定の締め切り日」のことをSQ呼んでいます。

Special Quotationの頭文字をとってSQ、訳すと「特別な価格」です。そのときに算出された価格のことをSQ値や特別清算指数、最終清算指数と呼ばれます。日経225先物などの株価指数先物取引は最終的な決済期日があります。

SQ値が決まる日は決まっていてSQ日と呼ばれますが、先物取引のSQ日は3月・6月・9月・12月の第二金曜日です。こちらのSQ日のことをメジャーSQと呼んでいます。なおマイナーSQは、先ほど挙げた4カ月以外の月です。SQ日までに決済をしなかった場合は、強制的に反対売買が行われて建玉(たてぎょく)はなくなってしまいます。

たとえば日経225先物を買っていてSQ日を迎えたときは、自動的に売られてしまい建玉がなくなります。

SQが近づくほど、売り手と買い手の思惑は一致してきますので、日経225先物の価格は日経平均株価に近づいていきます。そしてSQの日は、最終的に需要と供給をすべて相殺できる「ちょうどいい値段」で決まります。こうして全員が締切日に清算をすることで、実態のない指数を取引することができるのです。

「日経225先物」取引のメリットは「売り」からもエントリーできること

これまで、「先物取引について」「日経225先物」についてご説明してきました。これを取引するメリットはなんでしょうか?

基本的に株式は「安いときに買い、高いときに売る」ことで収益を上げることが出来ます(キャピタルゲイン)。これから好景気が来そう!という予感があるときであったり、近い将来の業績の大幅な改善が楽しみな会社があれば、株式を買うことで利益を見込むことができます。

しかし、「これから景気の先行きがわるくなりそう」あるいは「いまある会社の株をもっているけど市況につれて一時的に値下がりしそう」という見通しの場合は、どうしたらいいでしょうか?

ひとつにはその時点で持っている株式を売却してしまうことですが、日経225先物は「売り」から入ることができるので、「下がりそう」と思った場合に、日経225先物を売っておくことで、あとから安い値段で買い戻して清算することで、利益を得ることが出来ます。

このように「売り」から入れることが一番のメリットです。

たとえば、先行きに期待できるベンチャーA社の株を800万円持っていたとします。しかし、なんらか相場に悪いことがあり、日経平均全体が大幅に値下がりしたとします。

もし事前に、日経225先物を1枚売っていた場合、日経平均が3,000円下がったところで売り玉を手放すことで、300万の利益を得ることが出来ます。もしここでA社株に見切りをつけて売却してもトータルでは100万円のプラスです。さらにここから持ち続けてA社株が目論見通り値上がりした場合、さらに利益を得ることができます。このように「上がっても下がっても儲かる」ように、先物をつかって保険をかけることができるのです。

日経平均の「さや取り」って何?

投資関連の記事で「さや取り」という言葉を目にしたことがあるかもしれませんが、投資用語では裁量取引と呼ばれています。ここで日経平均のさや取りというと、日経平均株価と日経225先物のさや取りです。

日経平均株価と日経225先物の価格は常に同じではありません。そのためその価格差が生じたときに「さや取り」を行います。日経平均株価を売買するときには日経平均株価に連動したETFを使います。

たとえば日経225先物の価格が高い場合、日経225先物を売り日経平均株価連動型ETFを買います。価格差が大きい場合、さや取りはやりやすいですが実際にはさや取りを専門で行うさや取り業者がいるため、価格差はあまり大きくありません。そのため一般投資家でさや取りを行い、利益を得ることはかなり難しいことです。

日経225先物の買い方

証券会社の口座を開設した後、先物・オプション取引の口座開設の申し込みをします。先物取引の口座開設が終わったら、証拠金を先物取引ができる口座へ振替をします。日経225先物には2種類あり、日経225と日経225ミニがありますが、ミニを取引するときに必要な証拠金は日経225の1/10。

たとえば日経225先物に必要な証拠金が100万円であれば、ミニなら10万円です。必要証拠金はSPAN証拠金額×各証券会社が定めるSPAN係数で決まります。証拠金の金額は市況の変動によって変動します。変動が激しいときほど、必要な証拠金の額も大きくなります。

相場が大幅に変動して証拠金が足りなくなった場合、足りない金額を支払う必要があります。このことを「追証」といいます。これが支払えない場合、どれだけ損失があっても強制的に決済されてしまいます。

まとめ

個別株を保有しているときに景気の先行きが不透明だと、保有株式を売却しなければと考えてしまうはずです。個別株の売却するかは別として、投資で不景気に対応するなら日経225先物を売ることによってリスクをヘッジすることは可能です。ぜひ参考にしてください。

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