確定申告が必要な退職金は?

3月で退職をされる方もいらっしゃると思います。退職を迎える際に考えるのは退職金のことではないでしょうか。定年退職をされる方はその後の生活資金に、就職を考えている方は就職するまでの生活資金や準備にと考えておられるのでは。当然ですが退職金にも所得税等の税金がかかります。税金の計算方法や手続きの仕方を理解しておくことは、手続きを忘れたり税金を納めすぎたりしないために大切なこと。ここでは退職金にかかる税金の仕組みと手続き方法、確定申告をすることによって税金が返ってくる場合と税額の計算方法について紹介します。

退職金に関して必要な手続きは?

退職金に関する手続きは通常勤務先にて行います。所定の手続きをしておけば、源泉徴収で税金の処理が完了です。原則として確定申告をする必要はありません。退職金にかかる税金は所得税と復興特別所得税、住民税などで、支払いを受けたときに課税されます。退職金は長年の勤労に対する報酬的な給与として、一括で支払われるものという考えがあります。そのため、退職所得控除があったり、他の所得と分離して課税されたりと税負担が軽減されたりする仕組みがあります。

勤務先での手続き

勤務先で行う退職金の手続きは、支払いを受けるまでに「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出するだけ。これによって源泉徴収だけで所得税、復興特別所得税の課税が終了し、原則として確定申告は不用となります。「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、退職金の収入金額から一律20.42%の所得税、および復興特別所得税が源泉徴収されてしまいます。この場合は確定申告をして還付を受ける必要があります。

還付の可能性があるケースは?

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していても確定申告をすると還付があるケースがあります。1つ目は年の途中で退職して再就職しなかったケース。退職した年の所得合計が前年よりも少なくなるため所得税が多く源泉徴収されています。この場合、退職所得を含めて確定申告をすることにより税額を減らすことができます。2つ目は退職後に社会保険料や健康保険の保険料を支払っているようなケース。社会保険料控除を適用するために確定申告をします。3つ目は退職所得のほかに不動産所得や事業所得があり、赤字となっているようなケース。退職所得があった年の不動産所得が赤字だったような場合、不動産所得を他の事業所得や給与所得と損益通算します。それでも赤字となる場合は配当所得、そして雑所得と差し引きします。残っている赤字は退職所得と損益通算。その結果、課税所得が減り、所得税額が減ることで、源泉徴収された所得税が還付されるというわけです。

退職金にかかる税金の計算のしかた

還付があるかどうか判断するには退職金にかかる所得税と復興特別所得税の源泉徴収額を計算してみる必要があります。計算方法は次の通りです。

(退職金の額 - 退職所得控除額)x 1/2 = 課税退職所得金額(A)

課税退職所得金額(A)x 所得税の税率(B)- 控除額(C)= 所得税額(基準所得税額)

所得税額+基準所得税額 x 2.1% = 所得税および復興特別所得税の源泉徴収額

なお、役員等の勤続年数が5年以下である方が退職金の支払いを受ける場合はその役員等の勤続年数に対応する退職金として支払いを受けるものについては退職金の額から退職所得控除を差し引いた額が課税退職所得金額となります。

退職所得控除額と所得税の税額表は以下に示します。

退職所得控除額(出典:国税庁)

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

令和2年分所得税の税額表(出典:国税庁)

(A)課税退職所得金額(B)税率(C)控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

例として勤続30年の方が2,500万円の退職金を受け取った場合の税額は次のような計算になります。

退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 x 10 = 1,500万円

課税退職所得金額 =(2,500万円 - 1,500万円)x 1/2 = 500万円  

所得税額(基準所得税額) = 500万円 x 20%(B)- 427,500円 = 572,500円 

所得税および復興特別所得税の源泉徴収額 = 572,500円 +572,500円 x 2.1% = 584,500円 

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、退職金の収入金額から一律20.42%の所得税、および復興特別所得税が源泉徴収されており払い過ぎの状態であることがわかります。確定申告をして還付を受けましょう。本人が死亡した場合で死亡後3年以内に支払いが確定した退職金が相続人などに支払われた場合には、その退職金は相続税の課税対象となり、所得税および復興特別所得税の課税対象にはなりません。

まとめ

退職金にかかる所得税および復興特別所得税の仕組みと手続き方法、確定申告をすることによって税金が返ってくる場合と税額の計算方法について紹介しました。退職は何回も経験するものではないからこそ仕組みを理解して税金を納めすぎることのないように参考にしてください。