脱ハンコ・オンライン手続きで行政サービスはどう変わる?ー婚姻届

菅義偉内閣が発足してから河野太郎行政改革担当大臣が音頭をとり、行政サービスの「脱ハンコ・オンライン化」を推進しています。行政手続きの書類に必要なハンコをやめよう、そしてオンライン化を加速しよう、という取り組みです。ここでは婚姻届を例にして「脱ハンコ・オンライン手続き」によって手続きがどのように変わるのか、考えられるメリット、デメリット、そして海外の事例についてご紹介します。

 脱ハンコ・オンライン化で何がどう変わるのか

いまの婚姻届は所定の書式に記入し、届出人(夫、妻となる人)の署名・押印、証人2名の署名・押印をしたうえで届出人が役所に出向いて提出するのが一般的です。そのほかに戸籍謄本の提出や本人確認書類、印鑑の持参も必要になります。では婚姻届がオンライン手続きになるとどうなるのでしょうか。政府ではこれから検討していく段階ですが、オンライン書式の記入、電子署名、本人確認書類の添付や郵送というような形を取ることが考えられます。役所での届出をオンラインで代用する仕組みが構築されることになります。

 脱ハンコ・オンライン化のメリット

では脱ハンコ・オンライン化になったとするとどんなメリットがあるのかを考えてみましょう。

いつでも、どこでも婚姻届の提出が可能

脱ハンコ・オンライン手続きによって、役所に出向く必要がなくなるためいつでも提出が可能になります。 持参する時間が取れない、一緒に行く時間が取れる日がない、などの問題が解消されます。また、紙の書式に書き込む必要もなくなるため、書き損じを気にすることもなくなるでしょう。これによって届出をする人の手間を減らすことができます。

確認、受理、集計の作業が機械化できる

いまは書類に目を通して内容を確認して受理するのは役所の人ですが、この作業をコンピュータで行うことや、専門機関に外注するなど効率化することができるでしょう。また、書類の内容を戸籍などのデータベースに記録する作業や統計的な処理をする作業も機械で行う事ができるため、行政機関のコストを減らすことができます。

 書類の保管が容易

今は提出書類が紙なので受理されたあとに一定期間保管されることになります。オンライン化された場合には電子帳票に保管されるため、紙保管のスペースが要らなくなり、台帳を作ったりする手間が省け、コスト削減ができます。 

脱ハンコ・オンライン化のデメリット

次にデメリットにはどのようなものが考えられるか見ていきましょう。

届出の際の本人確認が難しくなる・確認方法が複雑化する

いまの届出では本人確認書類の持参が必要となっており、写真つきの証明書での本人確認をすることもできます。オンライン手続きになったとすると、届出の際の本人確認をオンラインで行えるよう添付書類にするという方法になるでしょう。そうすると偽造や加工がされた確認書類を使われた、盗まれた証明書が勝手に使用され、届出がされてしまった、というようなケースをどのように防止するかが問題となるため、追加で確認書類や手続きが増えることになるかもしれません。

パソコンが使えない、使い慣れていない方への対応が必要

オンライン化が進んだとしても、オンラインでの申請ができない方が一定数はいると考えられます。オンライン手続きの普及のためにインフラ設備の普及やパソコン操作の指導、普及促進のための補助金等の施策が必要かもしれません。また、どうしてもオンラインでは手続きができない人のために、今の持参による届出対応が残り、手続きが完全には一本化できず、コストがかかってしまう可能性があります。

個人情報の流出防止やシステム構築のコストがかかる

個人情報保護の観点からは、情報流出のリスクが増えることが考えられます。オンラインサービスを皆が利用することになるため、情報を盗み取られる機会も増えることになるからです。情報のセキュリティ対策やフィッシング詐欺の防止の施策をセットで考える必要があるため、システムコストが膨らんでしまうことが考えられます。

婚姻届のオンライン化は困難?-オンライン手続き先進国の事例

実は婚姻届がオンライン化されている国はまれです。行政手続きが99%オンライン化されているといわれるエストニアも結婚、離婚、不動産売却に関してはオンライン化されていません。またUAEではオンラインで書類を提出することができるようですが、後日ビデオチャットでオンライン結婚式をおこなう必要があるそうです。偽装や犯罪を防ぐためなかなかオンライン化に踏み切れない事情がありそうです。

 まとめ

いかがでしょうか。「脱ハンコ・オンライン手続き」によって何が変わるのか、考えられるメリット、デメリット、そして海外の事例について婚姻届を例にして見てきました。便利で簡単な手続きにするには課題もあり、今後菅内閣がどのように制度を作っていくのか注目です!

 

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