地面師について

不動産取引は金額が高額になりやすいこともあり、悪事をはたらこうと考える人がでてきます。不動産の場合、地面師と呼ばれる人たちもそれに該当します。今回は地面師の手口について解説していきます。安心して不動産取引を行う上でも、基礎知識として参考にしてみてください。

地面師とは

地面師とは不動産取引における詐欺師のことです。土地の所有者などになりすまし、売却をもちかけてお金をだまし取ります。地面師が起こした詐欺事件には大企業ですら見抜けなかったものもあります。

知られている手口

地面師詐欺がやっかいなのは、土地の所有者だけではなく司法書士や不動産業者などの専門家などを装う、複数のメンバーで構成されているグループだからです。個人間だけの取引であれば、「おかしい」と気づきやすくても、まさか専門家までグルになっているとまではなかなか思い浮かびません。

また、書類や証明書なども、近年ではデジタル技術の発達によって精巧な複製が容易になっていることも詐欺が発生しやすい状態になっているといえます。

地面師が狙いやすい土地として、所有者が特定しづらく放置されているような土地があります。現在は使われていないような土地、所有者が亡くなった後、相続を誰がしたのかよくわからない土地、所有者が高齢で施設に入っているような土地などが狙われやすいとされています。これは土地だけではなく、駐車場やアパートなども狙われることがあります。

有名な事件

積水ハウス地面師詐欺事件

積水ハウスが約55億円をだまし取られた「地面師詐欺事件です。当社の営業担当者は17年3月に私的な会合で知り合った仲介者より、東京品川区にある旅館跡地の売却情報を入手。それから2週間後である4月14日に担当部署が土地購入を決定。当時社長であった阿部氏も同月18日に現地を視察し、稟議書は担当役員のチェックを後回しにして決済を同4月20日に行いました。

同日に土地の所有者と名乗る女性と面会し、女性の身元確認としてパスポートを提示されたが見抜けませんでした。権利書も原本ではなくコピーで確認を行ったことも痛恨の極みでした。同24日に売買契約が結ばれ、手付金として14億円の支払いを済ませました。

5月に入り、本当の所有者から「契約はしていない」といった内容証明書が複数届いたが、社内では「怪文書」と判断してしまいます。社内外から不審点の指摘もありましたが、十分に検討をすることをせず、阿部氏の了承のもと、残金を当初の7月末から前倒ししである6月1日に支払いました。同月9日に法務局より登記申請却下の通知がとどいたことで発覚し、8月に積水ハウスは詐欺被害を公表することとなりました。

この事件によって積水ハウスは「地面師」グループに対し、約55億円をだまし取られました。十数人が詐欺容疑で逮捕、10人が起訴され、主導役の男に対し懲役11年が確定しました。

町田の事件  

都内で不動産会社を経営しているT氏が、かつてNTT寮だった土地・建物の売却話を知り合いのブローカーより持ちかけられたのが発端です。物件の場所は東急上野毛に近い世田谷の好立地であり、建物をリフォームしてマンションとして使えるとT氏は考え5億円で話がまとまります。

今回の場合は物件の持ち主も取引に登場するのですが、うまく丸め込まれていました。地面師グループは持ち主と不動産業者であるT氏の仲介者として双方を騙し、T氏から振り込まれた購入代金をそのままだまし取りました。

不動産取引のプロでもあるT氏は、仲介者である地面師グループに対し、持ち主本人との面会や直接交渉を希望していました。通常の地面師詐欺であれば、グループ内でなりすました「役者」を用意するわけですが、今回の場合は持ち主本人が立ち会ったこともあり、T氏も信用してしまい詐欺を見抜くことができなかったのかもしれません。

この事件は世田谷の物件を扱っていますが、町田市内にある銀行が取引場所として使われたところから通称「町田の事件」と言われています。

表参道地面師事件

地面師グループが、表参道にある約48坪の土地を所有者に内緒で不動産会社に売買の契約をしたのが表参道地面師事件です。この時、地主である老女と息子を、それぞれ装った演者が契約に立ち会っています。

地面師達は地主である所有者から委任状を受け、土地を譲り受けた申請を東京法務局に申請しましたが、法務局の職員が不審に思い、手続きを差し止めたことにより事件が発覚することとなりました。

安全な取引を行いたいのであれば不動産クラウドファンディングも有効

不動産取引においては登記の電子化などもあり、地面師が活動しにくくなっています。しかし、一般の人にとって不動産取引は不慣れな手続きや慣習もあるため、詐欺にあわないように気をつける必要があります。その点、不動産クラウドファンディングなら、身元がはっきりした企業が情報を公開して行うため安心です。一度検討してみてはいかがでしょうか。

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