日経平均・TOPIX・ダウ平均って何?

「証券市場で取引できる株式銘柄はたくさんあるけど、全部平均したらだいたいどのぐらいの値段なんだろう?」と思ったことはありませんか?

それを知るために、証券市場では様々な指標が発表されています。日本で最も有名なものが「日経平均」です。

「日経平均が大幅下げで前日比マイナス500円になった」
「日経平均がバブル以来の高値で30,000円を回復した」

ニュースではこのように伝えられることもよくあります。「上がったんだな・下がったんだな」とか、「過去最高なんだな」など言葉としては理解できるのですが、では、日経平均は、何の平均なのでしょうか?平均というからには分子と分母があるはずです。その分子と分母が何か、正確にご存知でしょうか?この記事ではなんとなく理解していた日経平均についてご説明します。

日経平均は「日本の上場株すべての平均」ではありません!

日経平均は日本の株式全体の動向を表すものとして理解されています。それだけに「日本の株をすべて足して割ったもの」に見えるのですが、実はそうではありません。日経平均は株式市場に上場している株のごく一部の平均に過ぎません。

日本には証券市場が4つ(東京・名古屋・福岡・札幌)あり、合計すると約3,800社もの会社が上場しています。

日経平均とは、このうち、代表的な銘柄225社を選んで、その株価を平均していません。3,800社のうち、わずか6%程度の株価しか反映していません。

3,800社から225社を選んでいるのは日本経済新聞社です。東証一部上場企業から業種のバランスや会社の規模、指数としての連続性などを考慮しながら選択しています。当然ですが、すぐに業績が悪化して株式市場から廃止されてしまうような恐れがある会社は選ばれにくくなっています。そのため、トップ6%のエリート企業が選ばれていると思って間違いないでしょう。実際、225の銘柄にはトヨタ自動車やファーストリテイリング、ソフトバンクなど日本を代表する大企業が含まれています。

日経平均は値がさ株の影響をうける「歪んだ指数」

日経平均の計算方式は225銘柄の株価を単純に平均しています

株式会社の価値は「時価総額」で決まります。たとえば、1万株を発行している会社の株価が2万円だとすると、1万株×2万円=2億円あれば、その会社の株式をすべて買い取り、自分のものにすることが出来ます。

株式の発行数は会社によって異なります。

たとえば、A社とB社、会社の価値である時価総額が2,000億円で全く同じだったとします。

A社の発行済株式数が1,000万株のとき、A社の株価は20,000円になります。

B社の発行済株式数が1万株のとき、B社の株価は2,000円になります。

このように、価値が同じ2社であっても、見た目の株価は10倍にも差があります。このA社のように、発行済株式数が少なく、単価が高く見える株のことを「値がさ株」といいます。

日経平均を計算する際に、時価総額は一切考慮しませんので、値がさ株の影響を受けやすい指数となっています。たとえば、ユニクロを運営するファーストリテイリング1社の値動きが日経平均の値動きの8%にもなるといった点が指摘されています。このため、日経平均は「歪んだ指数」とも言われています。

一方、知名度や「1万円」「2万円」などの節目がわかりやすいことから経済ニュースなどの話題としては取り上げられやすいものとなっています。

日経平均の値動き

日経平均の特徴的な値動きを紹介します。

史上最安値       1950年7月     85.25円         戦後の経済合理化政策ドッジラインによる

史上最高値       1989年12月  38,957.44円  バブル景気によるもの

バブル経済崩壊後最安値 2008年10月  6,994.90円 その後2009年のリーマンショックが起こる

リーマンショック後の最高値 2021年2月  30,714円

一日での最大の値上がり幅 2008年10月14日 +14.15%(+1,171.14円)

一日での最大の値下がり幅 1987年10月20日 −14.90%(−3,836.48円)

TOPIXとは?

日経平均は「歪んだ指数」というご説明をしました。それは全体のわずか6%しか代表していないこと、時価総額の影響を考えていないので、値がさ株の影響を受けやすいこと、などが主な理由です。

「市場の動向を正しく把握するためには、上場株すべての時価総額を計算する必要があるのではないか?」との考えから生み出されたのがTOPIXです。

TOPIX(トピックス)はTokyo stock price indexの略で東証株価指数と呼ばれています。東京証券取引所第一部に上場する国内株式全銘柄を対象として、昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100とし、その後の時価総額を数値化しています。

日本経済の動向を示す経済指標としての役割をもち、インデックスファンドやETFの指標としても用いられています。新規上場や上場廃止、増資や分割等による影響の修正を行うことで連続性を保つように計算されます。東証一部の約2000銘柄の時価総額を指数化しており日経平均よりも対象の株式の数が大きく、時価総額は国内株式の80%をカバーしていると言われています。

TOPIXの特徴

TOPIXの特徴は日経平均が225銘柄の株価を反映しているのに対して、東証一部の銘柄すべてを対象とした時価総額が指数化されていることから、特定の株価が高い企業の株価の影響を受けないことがあげられます。全銘柄を対象としているため対象銘柄を構成する企業が日経平均とは異なり、銀行株などの影響が取り込まれていることも特徴です。

日経平均が生み出されたのは、戦後すぐのこと。当時は計算するコンピュータも普及していなかったので、代表的な225銘柄の平均で十分でした。その後の計算技術の向上に伴い、より複雑な計算で正確に把握ができるTOPIXが開発されたと言えます。

ダウ平均は米国の指標。たった30銘柄の平均!

日本の株価の動向として使われる指数は日経平均・TOPIXです。世界にも同様の株式指数が存在します。最も有名なものはアメリカのダウ平均です。

ダウ・ジョーンズ社はアメリカの有力経済紙であるウォール・ストリート・ジャーナルを発行している会社で、同社が1800年代から株価指数を発表し始めたのが始まりになっています。日経新聞が日本経済新聞社が発表しているのと同様、新聞社が独自指標として運営していました。現在は、新聞社としてのダウ・ジョーンズ社から離れ、CMT(シカゴ・マーカンタイル取引所)傘下のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が指数を運営しています。

ダウ平均はNYダウ(ニューヨーク・ダウ)はニューヨーク証券取引所およびNASDAQの上場銘柄のうち優良企業30社の株価平均を指数化して提供しています。

米国を代表する株価指標で30社の株価の合計を株数で割り、連続性を担保するための調整が施されています。工業株価平均という名前がついていますが、時代を代表する優良銘柄が選出されていて工業という業種には縛られていません。名前は昔の名残を残しているだけで銘柄は適宜入れ替えが行われています。

30種に限られているため、銘柄は非常に厳選して選ばれます。その時代の米国を代表する企業が選択されています。例えば、現在ではアップルやマクドナルド、ボーイング、ディズニーなどなどがその対象です。最近では2020年8月に入れ替えがありましたが、SaaS業界の興隆を反映してセールスフォースドットコム社が組み入れられ、石油業界のエクソンモービルが外されました。

なお、現時点でダウ平均創設以降一貫して採用されている銘柄はありません。最も長い期間に渡って採用されていたのはゼネラル・エレクトリックで創設から2018年まで組み入れられていました。

30社の会社の値動きに大きく左右されることから、現在では、より広い株式をカバーしているNASDAQ指数、S&P500などが重要な指数として考えられていますが、ダウ平均は知名度、わかりやすさなどから引き続き注目されている指数です。

ダウ平均の値動き

ダウ平均の特徴的な値動きを紹介します。

史上最安値       1896年8月     28.48 USD   

史上最高値       2021年4月   34,256.80 USD 

大暴落           1929年10月  ウォール街大暴落 バブル経済がはじける

                         1987年10月   ブラックマンデー レーガン時代双子の赤字による

                         2008年9月     サブプライムローンの破綻、リーマンショックへ

値動きは株価大暴落をはさみながら基本的には右肩上がりで現在も高値を更新しています。

まとめ

日経平均、TOPIX、ダウ平均について解説しました。それぞれの指標の仕組みを理解しておくことは経済の状況を的確に把握するための手段として有効です。株式投資をはじめその他の資産運用を考えるときには必須とも言える代表的な指標。参考にしてみてください。

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