【2023年最新】中国の不動産不況による日本への影響は?

2020年に導入された不動産デベロッパーへの債務管理強化策(負債規制・融資規制)の影響を受け、中国では現在まで不動産市場の低迷状態が続いています。
またこうした不動産不況が続く中で、中国の不動産開発大手である「中国恒大集団(エバーグランデ)」や「碧桂園(カントリーガーデン)」の経営危機が報じられる等、いわゆる“バブル崩壊”の可能性も高まりつつあります。
この記事では現在の中国の不動産市況と、バブル崩壊が起きた場合の日本への影響について解説しているので、中国経済の動向が気になる方はぜひ参考にしてみてください。

中国の不動産市場の現状

まずは、不動産開発大手企業の現状から見る中国の不動産市場について詳しく見ていきましょう。

中国恒大集団(エバーグランデ)の経営危機

中国恒大集団(エバーグランデ)は中国を代表する不動産開発企業の1つです。
1996年の創業後、中国全土280以上の都市で1,300以上のプロジェクトを抱える大企業に成長しましたが、2020年に政府が負債規制を導入して以降、負債の利払いによって業績を悪化させています。
2021年には債務不履行(デフォルト)に陥り、2023年8月には米で破産申請を行う等、更なる経営危機も危ぶまれています。

碧桂園(カントリーガーデン)の経営危機

中国恒大集団と同様に経営危機による破綻リスクが高まっているのが、2022年度の成約額で中国1位となった不動産開発大手の碧桂園(カントリーガーデン)です。
碧桂園は、すでに支払期日が到来した一部の債権の元本およそ4億7,000万香港ドル(約89億円)について、いまだ支払いができていないことを明かしています。

また資金調達が厳しい状況にあることから、米ドル建てを含む全ての外貨建て債務についても期日までに支払いを行えない可能性があると報じられました。
碧桂園の2023年9月度の成約額は前年同月比-81.0%と急減している点からも、このまま経営破綻に向かっていくとの見方が強まっています。

融創中国(サナック・チャイナ)の破産申請

同じく中国の不動産開発大手である融創中国(サナック・チャイナ)も、米にて破産申請を進めている状況です。
実際に破産するわけではなく、米国内の資産の差し押さえを防いで経営再建に繋げることが目的だとされていますが、負債総額は1兆元(約20兆円)に上っており、再建は難しいとの意見も出ています。

中国政府の対応と今後

続いて、相次ぐ不動産開発大手の経営危機に対する中国政府の施策を詳しく見ていきましょう。
また中国の不動産不況に伴う日本への影響についても解説していきます。

不動産不況に対する中国政府の施策

近年の中国の不動産不況を受け、政府は2023年8月末に住宅ローンの支援策を打ち出しました。
2軒目以降のマンション等を購入する際に住宅ローンの頭金比率を引き下げるというもので、北京・上海・広州・深圳といった“1級都市”を中心に導入が進められています。

ただし、政府は「住宅は住むためのものであり、投資の対象ではない」という方針を強調しており、積極的な住宅支援策が行われているとは言えないのが現状です。
こうした政府の慎重な姿勢は、不動産不況の長期化や金融システムへの打撃の要因となっており、貸出債権の焦げ付き(売掛金の未回収)によって金融システムを揺るがす可能性等も出てきています。

日本への経済的な影響はある?

中国の不動産不況はあくまで国内の問題であり、日本の不動産価格に影響を与える可能性は低いと考えられます。
ただし、中国経済の減速が長期化した場合は、日本も以下のような影響を受けるリスクがあると言えるでしょう。

輸出量の減少

2020年から2022年にかけて、中国は日本にとって“最大の輸出相手国”でした。
しかし2023年以降、中国向けの輸出は前年割れの状態が続いており、今後も回復の見通しはたっていません。

在中日系企業の売上減少

経済産業省の調査によると、世界各国で円安に伴う売上増加が続く中、在中日系企業の円建て売上高は下振れ状態となっていることが明らかになりました。
これまでは中国でも他国と同様の推移を辿ってきていることから、異変の兆候があると言えるでしょう。

訪日観光客の減少

不動産不況による経済の減速は、中国人の雇用や所得情勢の悪化といった問題にも繋がっていきます。
中国からの訪日観光客は10代後半から30代の若者層が中心となっており、景気減速によるしわ寄せを受けやすい世代だと考えられるためです。

実際、2023年4月から6月にかけての若者層(16歳~24歳)の失業率は20%を超えており、その後も失業率は増加を続けていると見られます。(現在は公表停止)
訪日観光客の減少には福島県の処理水問題等も少なからず影響しているため、必ずしも不動産不況が原因とは言えないものの、今後しばらくは訪日観光客の増加は見込めないと考えた方が良いでしょう。

まとめ

中国の不動産不況は今が底という見方もあり、政府の施策等によっては数年内に改善する可能性も十分に考えられます。
一方で、景気減速が長期化すれば日本にも様々な影響を与える可能性があるため、不動産市場をはじめとする中国経済の動向については引き続き注意する必要があるでしょう。

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