2025年大阪・関西万博で景気はよくなる？

2025年に大阪・関西万博の開催が予定されています。万博といえば最新のテクノロジーを使ったパビリオンでの展示や催し物がある華やかな祭典。たくさんの入場者を迎え入れる会場の整備から施設の建築、催し物の開催など大きな経済効果も見込めるものです。ここでは万博の歴史、2025年大阪・関西万博の概要と経済効果の見込み、過去の万博の概要とそのときの経済状況について解説します。

そもそも万博とは？

万博というのは1928年に署名された「国際博覧会条約」で規定された国際博覧会のことです。条約には「二以上の国が参加した、公衆の教育を主たる目的とする催しであって、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段又は人類の活動の一若しくは二以上の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう」と規定されています。

最初の万博は1851年にロンドンのハイドパークで開かれた「第1回ロンドン万国博覧会」で、日本政府として公式参加したのは1873年にウィーンで開催された万博です。いつの時代も万博は人類が築き上げてきたその時代の技術・芸術の頂点を世界に向かって発信する機会として発展してきました。

日本で開催された万博

日本で開催された万博は過去5回、場所とテーマは次のようなものでした。

1970年　大阪　「人類の進歩と調和」

1975年　沖縄　「海－その望ましい未来」

1985年　筑波　「人間、居住、環境と科学技術」

1990年　大阪（国際園芸博）　「花と緑と生活の係わりを捉え　21世紀へ　向けて潤いのある社会の創造を目指す」

2005年　愛知　「自然の叡智」

1970年の大阪万博は日本での初開催の万博。岡本太郎氏がデザインした太陽の塔で有名です。1975年の沖縄万博は沖縄本土復帰後の開催で話題となりました。

2025年大阪・関西万博の概要。場所は「夢洲」

2025年大阪・関西万博は2025年4月13日(日)〜10月13日(月) の184日間で開催予定です。場所は大阪「夢洲（ゆめしま）」の人工島です。千里の万博記念公園ではなく、鶴見緑地でもありません。

テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、サブテーマに「いのちを救う」「いのちにちからを与える」「いのちをつなぐ」を掲げ、持続可能な開発目標（SDGs：持続可能な開発目標）達成への貢献、日本の国家戦略Society5.0（サイバー空間（仮想空間）とフィジカル空間（現実空間）を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を実現すること）の実現を目指します。

経済効果は？

大阪・関西万博の経済波及効果は約2兆円。日本経済及び大阪・関西の地域経済の活性化やビジネス機会の拡大による中小企業の経営強化により実現することが見込まれています。もともと大阪・関西が世界に誇るライフサイエンス、バイオメディカルの集積が、万博のテーマに沿った新たなイノベーションでさらに発展することや歴史や文化を誇る大阪・関西が、異なる文化との交流を通じてさらに豊かとなり、世界における認知度が向上することも目的のひとつです。次世代の若いクリエーターが世界に向けて才能を発信できる機会にもなること、安全で先進的な交通インフラが整備され世界中からのアクセスが可能となることなども万博開催の効果として期待されます。

大阪・関西万博によって株価はどうなる？

大阪・関西万博が日本の景気にどのように影響するでしょうか？

過去の万博開催時はこのようになっていました。

過去の万博の前後15ヶ月の株価（月初）について、開催前と、開催後の価格を比較しました。

大阪万博（EXPO’70）、沖縄国際海洋博覧会、国際科学技術博覧会（つくば万博）、愛・地球博のいずれにおいても、株価が約1.5倍以上にもなる大きな値上がりをしているのがわかります。唯一、国際花と緑の博覧会（花の万博・大阪）のみ、大きな値値下がりとなっています。しかし、これは開催前の’89年12月が非常に株高で、いまだ更新されていない史上最高値で、その後はバブル崩壊となっていったタイミングであることに気をつける必要があります。

2005年愛知万博　愛・地球博のときの経済効果は？

愛知万博のときの準備や開催によって生じた「建設」、「運営」及び「来場者消費」の支出合計は、広域幹線道路、空港等関連交通基盤まで含めると約3兆5千億円となりました。間接的な影響を含めた経済効果は約7兆7千億円とも試算されており、地元の中部地域の経済だけでなく国全体の経済にも多大な影響を与えたということができます。