用途地域と容積率で建てられる住宅の大きさが決まる。緩和条件についても解説!

土地を購入して住宅を建てる場合、その土地にどのくらいの大きさの住居が建築できるのでしょうか?ここでは、その大きさに関係する用途地域と容積率について解説します。併せて、緩和規定(ある条件をクリアすると、少し大きめに建てられる規定)も紹介します。

 容積率とは?

敷地面積に対する各階の床面積の合計の割合を容積率といいます。簡単に言ってしまうと、「土地に対して、どのくらいの大きさの住まいが建てられるのか?」を表しています。例えば、100㎡の土地に容積率80㎡と決まっているとします。この場合、2階建てで1階と2階が同じ面積だとすると、それぞれ40㎡となります。

あるいは、1階を50㎡、2階を30㎡となることもできます。また3階建ての場合は、1階と2階が30㎡、3階が20㎡とすることも考えれるのです。

せっかく土地の買うのですから、少しでも大きく建てたいと思うでしょう。しかし、容積率をオーバーした建築物は、建築確認が下りません。簡単に言うと、地方公共団体から、「この土地に建ててもよい大きさではないから、建築の許可を出しません。」と言われてしまうのです。住宅ローンも審査が通りません。容積率に合った設計をしないと建物を建てることはできないのです。

 用途地域とは?

 

用途地域は都市計画法で定められているもので、「その地域をどんな地域にしたいか?」が決まっています。例えば、住宅街の場合、敷地が広く低い建物ばかりのいわゆる「閑静な住宅街」エリアと、タワーマンションのように敷地いっぱいに建てて高い建物を建てられるエリアとでは、用途地域が違います。

大きく分けると、住居系が8つ、商業系が2つ、工業系が3つで合計13地域に分類されます。自分の購入したい土地の用途地域が知りたい場合は、市区町村の都市計画課に問い合わせするか、webで「自治体名+用途地域」と調べることができます。

 

用途地域 容積率
第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域 50・60・80・100・150・200
第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域 100・150・200・300・400・500
商業地域 200・300・400・500・600・700・800・900・1000・1100・1200・1300
工業地域、工業専用地域 100・150・200・300・400
高層住居誘導地区(住居部分の床面積が延床面積の3分の2以上のもの) 都市計画で定められた数値の1.5倍
用途地域の指定のない区域 50・80・100・200・300・400

 住居系の用途地域について

8つのうち、一番条件の厳しいのが、「第一種低層住宅専用地域」です。これは「低層住宅の良好な環境保護のための地域」という趣旨のエリアです。

続いて、「第二種低層住宅専用地域」、「第一種中高層住宅専用地域」、「第二種中高層住宅専用地域」、「第一種住宅地域」、「第二種住宅地域」、「田園住居地域」、「準住居地域」に分かれています。

「第一種低層住宅専用地域」では、10mまたは12mまでの高さの建築物のみを建てることができます。住宅だけではなく、低層のマンションも建築可能です。コンビニエンスストアは、第二種低層住宅専用地域から建てられます。このように住居系用途地域により、住宅以外も建てられます。条件がゆるくなるにつれ、事務所、店舗、レジャー施設まで建てられるように決められています。「田園住居地域」は、2019年4月より設定された新しい用途地域です。農業と調和した低層住宅のエリアとなります。

 商業系と工業系の用途地域について

商業系は近所で買い物ができる「近隣商業地域」と、ショッピングセンターなど大型の施設を建築できる「商業専用地域」があります。また、工業系は「準工業地域」と「工業地域」、「工業専用地域」があります。「準工業地域」は軽作業の工場が建てられます。また「工業専用地域」には住居は建てられません。コンビナートが建てられている場所をイメージするとわかりやすいかもしれません。

 用途地域と容積率について

用途地域は、同じ用途地域でも容積率の指定は何通りかあります。例えば、「第一種低層住居専用地域」と「第二種低層住居専用地域」の容積率は、50・60・80・100・150・200と幅があります。実際の容積率が知りたい場合は、用途地域を知るだけではなく、その場所の容積率を調べる必要があります。容積率が低いほど、敷地に対して小さいサイズの建物が作られ、日当たりのよい環境が作られます。敷地に対して、大きい建物を建てると、容積率にひっかかるかもしれません。

 前面道路も要確認!

前面道路の幅員にも気をつけましょう。幅員が12m未満の場合は、道路の幅に4/10または6/10を掛けた数値が容積率の上限です。

また4m以内の道路の場合、中心線から2m下がった場所を道路との境界線とみなして、そこからが敷地面積と考えられます。そうすると、セットバックする必要があります。狭い道が前面道路の場合、実際の敷地面積より小さいスペースに対して容積率を計算することになります。こちらを基準容積率といいます。

基準容積率と用途地域の指定容積率、厳しい方が容積率として適用されます。

また前面道路が狭い場合でも幅員が15m以上の道路(特定道路)がある場合は容積率が緩和される場合があります。

 容積率をアップできる緩和条件とは?

容積率アップする方法を2つ紹介します。一つは、駐車場などの緩和です。駐車場や駐輪場は延床面積に入ります。しかし、駐車場等スペースを含めた総合計の面積の最大1/5までを限度として、駐車場等の延べ床面積から外す事ができます。例えば200㎡の土地に120㎡の住宅(駐車スペースの床面積30㎡を含みます)の場合、120の1/5に当たる24㎡を駐車スペースとして除外できます。そうすると、このときの容積率は(120-24)÷200=48%となります。

また、地下室を設置することでも容積率を緩和することができます。ただし、地下室を作る場合は建築費が大幅にアップします。また工期も大幅にかかります。お金と時間をかけても、土地を有効利用したい場合におすすめです。

 まとめ

「土地に面している道路が狭い場合は、狭い家を建てることになる可能性がある」また、「イメージした建物がその土地に建てられるとは限らない」ことがあります。用途地域と容積率を確認して、悔いの少ない家作りの参考にしてください。

 

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