10年ほど前に離婚。それからずっと賃貸マンション暮らしです。事務所を別に構えているため、自宅はほぼ眠るだけ。住まいにこだわりはありませんし、身軽な単身なので「いずれは介護施設」と思っていました。しかし母を看取ったことがきっかけになり、少しずつ考えが変わっていったんです。
高齢の母は田舎の実家暮らし。リビングにベッドを置いて一部屋だけで生活していました。ほかにたくさん部屋があっても無意味です。年を取るというのはこういうことか、とリアルに実感しました。そんな母が亡くなる際に「病院はイヤ、家がいい」と言ったんです。
……そういえばそうだなと思いました。どうせなら自分も最後はなじんだ自宅で死にたい。満足して、納得して息を引き取りたい。だったらそれに見合う“終の棲家”を見つけよう。快適に暮らすことを考えよう――そうして2021年春ごろから家探しを始めました。