オール電化は本当に安くなるのか

総務省の統計によると、2008年までほぼ横ばいだった1世帯あたりの支払電気料は、少しずつ値上がり傾向を続け、東日本大震災を境に一気に跳ね上がりました。
2017年は少々落ち着いたものの、依然、電気代は家計を圧迫する要因です。
ガス代を含めた光熱費を安くしようとオール電化を検討する人もいますが、はたして本当に節約になるのでしょうか?

オール電化はどういう仕組みか?

オール電化で光熱費が安くなるという話がありますが、それはなぜなのでしょうか?

家のエネルギーを電気のみにする=ガス代などがゼロになる
オール電化にすると、家庭で使うエネルギーの全てを電気で賄うことになりますます。
ガスレンジはIHクッキングヒーターに変わり、ガスファンヒーターは電気式の暖房器具になります。ガス給湯器もなくなり、電気でキッチンやお風呂のお湯を沸かします。
ガス代が不要となるので、光熱費を電気代に一元化できるのです。

夜間の電気代が安い電気料金プランに加入できる
電力会社によって異なりますが、オール電化向けの電気料金プランは基本的に夜間の電気代が安く設定されています。
このため、昼間は仕事で家庭に誰もいない一人暮らしや共働き世帯ならば、夜間の安い電気料金で電気を使うことが可能です。

夜間の安い電気を活用する機器を使う
オール電化向けの設備で人気なのが「エコキュート」です。これは、夜間の安い電気代で沸かしたお湯を溜めておき、キッチンや台所で使うものです。
また、電気蓄熱暖房機を使えば、夜の間に器具内の蓄熱レンガなどに熱を溜めておき、その熱を昼に放出して部屋を温めることができます。

家庭の光熱費を電気のみに集約し、さらに電気料金の安い夜間の電気を効率的に使うことで光熱費全体を下げるのが、オール電化で節約するための仕組みです。

電気料金が割高になるケースはどういう場合か

オール電化にしたのに電気代が割高になる原因は、「昼間に電気を使いすぎる」ことです。
オール電化住宅向けの電気料金プランは、夜間の電気代が通常より安く設定されていますが、昼間の電気代はむしろ割高になっています。このため、昼間に電気を使いすぎると電気代が高くなってしまいます。
意外と油断しやすいのがお湯です。オール電化住宅に多いエコキュートは夜間に電気でお湯を沸かして貯めておくのですが、日中にお湯を使いすぎるとストックしたお湯がなくなってしまいます。それでもまだお湯を使おうとすると、割高な昼間の電気を使ってお湯を沸かしてしまうのです。
また、オール電化にすると電気会社と契約しているアンペア数を上げなければいけません。IHクッキングヒーターなどはかなりの電力を使うからです。アンペア数を上げると基本となる電気料金が上がるので、トータルの電気代が高くなってしまいます。
アンペア数を上げるのは仕方ありませんが、昼よりも夜に電気を使うような工夫はできるはずです。オール電化にした場合は夜に電気を使いましょう。

年間どのくらい安くなるのか

冒頭で述べた通り、東日本大震災の後には電気代がグッと値上がりしました。
当時のオール電化向け電気料金プランの家庭では、年間平均約190,868円の電気代がかかっていたというデータがあります。月額にすると15,905円です。
一方、総務省統計局の家計統計調査によると、2014年の一般家庭の電気代平均額は月々11,203円となっています。一見するとオール電化の方が高いのですが、一般家庭では電気代に加えてガス代や灯油代がかかります。これらを合算した光熱費の平均は毎月18,651円となっており、オール電化の方がトータルで2,746円安くなっています。

まとめ

オール電化向けの電気料金プランは、夜間の電気代が安い代わりに昼間の電気代が割高になっています。
昼に電気を使うのを控えて夜間に効率よく電気を使えば、オール電化のメリットを活かせます。この点に注意すれば光熱費を下げることができるので、意識して生活してください。

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