全身を使った攻防の「フリースタイル」と、上半身の攻防に限った「グレコローマン」の2種類がありますが、女子はすべてフリースタイル、男子は両方のスタイルがあります。
[女子フリースタイル]
五輪大会:50kg・53kg・57kg・62kg・68kg・76kg
五輪以外:50kg・53kg・55kg・57kg・59kg・62kg・65kg・68kg・72kg・76kg
直径9メートルの円形マットで行われます。外側の1メートル幅がオレンジ色で区別してあり、「パシビティ・ゾーン(レッドゾーン)」と呼ばれます。場外が近いことを選手に知らせる役割をもちます。
レスリングのユニフォームは「シングレット」といいます。
赤、または青のシングレットを着用し、組み合わせの際の抽選番号で、小番号の選手が赤、大番号の選手が青のシングレットを着用します。
出血の場合のため、ハンカチをシングレットの中で所持します。
3分×2ピリオドで行われます。
インターバルは30秒です。
テイクダウンを奪うまでの駆け引き!
相手の背後に回って両手・両ひざの4点のうち3点をマットにつかせる、あるいは相手に尻もちをつかせて背中をマットに向けさせることをテイクダウンと言います。フォールで試合を決めるためにも、ポイントを重ねる上でもテイクダウンを奪うことはとても重要です。
懐を深くとり、手足を上手く使い、揺さぶりをかけて相手がバランスを崩したところで、一気にタックルをしかけ、テイクダウンを狙います。逆に相手がタックルをしかけてきたところを、上手くかわし、バックをとることもテイクダウンを奪う上で、とても有効です。攻めと守りのバランス配分が、とても重要な競技です。
グラウンドの攻防で、相手をデンジャーポジションに追い込む!
相手からテイクダウンを奪い、グラウンド状態となったら次に狙うのがフォール(両肩をマットにつける)です。
ただ、実力が拮抗している選手同士では、なかなかフォールを決めることは難しいです。そこで、試合を有利に運ぶためにポイントの加算を狙います。
相手の両肩をマットに90度以上近づける状態を「デンジャーポジション」と言い、これを5秒以上続けると、2点が加わります。さらにローリング(グラウンドで相手の胴を絞め、1回転する)で2点追加されます。チャンスの時にどれだけポイントが稼げるかが、試合の行方を左右します。
第2ピリオド、残り時間わずかでの攻防!
レスリングでは、常に相手を攻めていく積極的な姿勢が求められます。守りに徹していると、場外に追い込まれたり、警告が与えられポイントを失ってしまうからです。ポイントが優勢だからと言っても、試合が終わるまで勝負はわかりません。4点が入る大技もあります(相手を投げ、一瞬でもデンジャーポジションの体勢に追い込む)。
ですから、最後の最後で試合が引っくり返ることも珍しくありません。リオ五輪での登坂選手、土性選手の奇跡の逆転劇は、まだ記憶に新しいですね。試合終了まで目が離せないハラハラドキドキの展開を、みなさん一緒に楽しみましょう。