はじめてこの家を見たとき、壁紙じゃなく“木そのまま”という仕上げに正直驚きました。
思わず、「壁、塗らないんですか?」って営業の方に聞いてしまったくらいです(笑)。
それまで、住宅と言えば白い壁紙というイメージで、壁紙を貼るのが当たり前だと思っていたので、木の壁というのは私にとってはかなり斬新でした。
実は、家を買おうと思ったのは、ごく個人的なタイミングでした。
「自分だけの空間を持ちたい」という気持ちが強くなったんだと思います。
仕事もある程度落ち着いてきて、毎日なんとなく同じサイクルを繰り返す中で、ふと「このままでいいのかな?」と感じたんです。
そんなときにこの家と出会って、ここなら帰ってきたくなるなと思えたんですよ。
営業の方との会話も印象的でした。
これだけ木が剥き出しのままだと、手入れも大変じゃないですかって聞いたら、「たしかに汚れも傷もつきやすいです。でも、それも一緒に育てていく感覚なんですよ」と言われて、なるほどなぁ…と妙に腑に落ちたんです。
それからもう一度内覧させてもらって、だんだん木の節やちょっとした釘の跡も、味として見えてきて…。
その魅力に引き込まれて、最終的に購入を決意しました。
私はウイスキーが趣味で、壁に棚を取り付けてもらったので、お気に入りのボトルを並べています。それがまた絵になるんですよ。
夜、照明を落として、静かな音楽を流しながらグラスを片手にくつろぐと、まるで山小屋のバーに居るみたいな、そんな雰囲気を感じるんですよ。
これはふつうの家では味わえないことですよね。
最初はメンテナンスのことも心配でした。でも、「ああ、この家も自分と一緒に歳を重ねているんだな」と感じることがあります。
これが木地仕上げの醍醐味なんでしょうね。
あのとき、勇気を出して自分のために家を買うという決断をして、本当に良かったと思っています。